出版社を探す

アトピー性皮膚炎患者のソーシャルサポートと認知

成人患者のウェルビーイングに関する健康心理学的研究

著:神庭 直子

紙版

内容紹介

本書は、2011年に提出された学位論文をもとにまとめられたものである。完全な治癒が難しい慢性疾患の1つである成人のアトピー性皮膚炎患者に焦点を当てたすぐれた学術書となっている。近年では、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患は国民の5割が罹患する国民病であり、身近な疾病である。アトピー性皮膚炎は、以前には小児が主たる患者であったが、成人患者も増加し、難治化が指摘されている。アトピー性皮膚炎は生命を脅かすものでないにしても、個人の生活や自尊心に大きな影響を及ぼし、患者のウェルビーイング向上の対策が求められている。本書はこの要請に対し、アトピー性皮膚炎という慢性疾患患者の心理的健康を改善し、向上させるために何が有効なのかを、他者からのソーシャルサポートと病気に対する認知という側面から詳細に検討して答えている。

今後の応用を念頭において開発された2つの尺度、アトピー性皮膚炎患者におけるソーシャルサポート尺度とアトピー性皮膚炎認知尺度は、利便性の高い評価指標として今後の活用が大いに期待できる。また、アトピー性皮膚炎に対する肯定的認知とソーシャルサポートへの気づきを促すワークを含んだわかりやすいブックレットも、具体的な支援場面で使用できるものとなっている。

本書は、アトピー性皮膚炎患者という特定の疾患を有する患者を主な対象としているが、他の多くの慢性疾患患者支援においても参考にできる貴重な研究書籍となるだろう。

目次



第1章 成人アトピー性皮膚炎患者のソーシャルサポートと認知への着目
 第1節 アトピー性皮膚炎の概要
 第2節 成人アトピー性皮膚炎患者のwell-beingと心理学的支援の必要性
 第3節 成人アトピー性皮膚炎患者のwell-beingへの影響要因
 第4節 well-beingへの影響要因としてのソーシャルサポート
 第5節 well-beingへの影響要因としてのアトピー性皮膚炎に対する認知

第2章 本書の目的と概要
 第1節 本書の目的
 第2節 本書の意義
 第3節 本書の構成
 第4節 基本的概念と用語の定義

第3章 成人アトピー性皮膚炎患者の望むソーシャルサポート【研究1】
 第1節 目 的
 第2節 調査1
 第3節 調査2
 第4節 総合考察

第4章 成人アトピー性皮膚炎患者におけるソーシャルサポート尺度の作成【研究2】
 第1節 目 的
 第2節 方 法
 第3節 結 果
 第4節 考 察

第5章 アトピー性皮膚炎に対する認知【研究3】
    ――テキストマイニングによる探索的検討――
 第1節 目 的
 第2節 方 法
 第3節 結 果
 第4節 考 察

第6章 アトピー性皮膚炎認知尺度作成の試み【研究4】
 第1節 目 的
 第2節 方 法
 第3節 結 果
 第4節 考 察

第7章 アトピー性皮膚炎否定的認知尺度とアトピー性皮膚炎肯定的認知尺度の作成【研究5】 
 第1節 目 的
 第2節 方 法
 第3節 結 果
 第4節 考 察

第8章 成人アトピー性皮膚炎患者のソーシャルサポートとアトピー性皮膚炎に対する認知がwell-beingに及ぼす影響【研究6】
 第1節 目 的
 第2節 方 法
 第3節 結 果
 第4節 考 察

第9章 患者支援のためのブックレットの試案作成と評価【研究7】
 第1節 目 的
 第2節 方 法
 第3節 結 果
 第4節 考 察

第10章 患者のwell-being向上を目指した健康心理学的アプローチ
 第1節 本書の結果の要約
 第2節 成人アトピー性皮膚炎患者のソーシャルサポート
 第3節 成人アトピー性皮膚炎患者のアトピー性皮膚炎に対する認知
 第4節 成人アトピー性皮膚炎患者のwell-beingに関するモデル
 第5節 患者支援のためのブックレットの試案と本研究の応用可能性
 第6節 本研究の限界と今後の展望
 第7節 結 論

引用文献
あとがき

APPENDIX
 A 本研究で作成した尺度
 B 本研究で作成したブックレットの試案

索  引

著者略歴

著:神庭 直子
桜美林大学大学院国際学研究科環太平洋地域文化専攻博士後期課程 単位取得後退学。現在、桜美林大学健康福祉学群 助教。博士(学術)。

ISBN:9784771034549
出版社:晃洋書房
判型:A5
ページ数:176ページ
定価:4000円(本体)
発行年月日:2021年02月
発売日:2021年02月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MNC