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メルロ=ポンティ 現れる他者/消える他者

「子どもの心理学・教育学」講義から

著:酒井 麻依子

紙版

内容紹介

「他者」が生まれ出る、その現場へ
従来のメルロ=ポンティ研究において決定的に欠落していた「ソルボンヌ講義」を綿密に読み解き、そこに描き込まれた他者論を現代へと蘇らせる大作。

人間は人種・民族・性などの類型を帯びた歴史的身体である以上、それらの類型を通じた他者経験という問題は、文化間・民族間・市民間の分断の進む今日においてこそ重要である。

目次

序 論
 第1節 メルロ=ポンティの思想とソルボンヌ講義
 第2節 メルロ=ポンティの方法
 第3節 メルロ=ポンティの他者論

第Ⅰ部 われわれはいかにして他者を知覚しうるのか
第1章 現象学の他者論
 第1節 『知覚の現象学』における他者論
 第2節 ソルボンヌ講義における他者論

第2章 児童心理と他者論
 第1節 癒合性と自己中心性
 第2節 鏡像
 第3節 模倣

第3章 スティル
 第1節 フッサールの「類型」
 第2節 マルローの「スティル」
 第3節 『世界の散文』におけるスティル論
 第4節 ソルボンヌ講義のスティル論:個人と集団

第4章 言語活動と表現
 第1節 言語とその他の表現の関係
 第2節 構造の獲得
 第3節 言語獲得と対人関係
 第4節 コミュニケーションの分節化
 第5節 差異の体系
 第6節 意味作用

第5章 意味と他者経験
 第1節 「役割」と「自己表現」における意味作用
 第2節 意味として現れる他者
 第3節 役割を残し消える他者

第Ⅱ部 われわれは他者をどのようなものとして知覚するか
第1章 類型:身体、民族、階級、人種
 第1節 『知覚んの現象学』
 第2節 「戦争は起こった」

第2章 類型:コンプレックス
 第1節 病的なものとしてのコンプレックス:『行動の構造』
 第2節 前人格的実存としてのコンプレックス:『知覚の現象学』
 第3節 文化的なものとしてのコンプレックス:ソルボンヌ講義
 第4節 エディプスコンプレックスの普遍性をめぐる論争
 第5節 「心理学」か「社会学」か

第3章 類型:セクシュアリティ
 第1節 メルロ=ポンティにとってのセクシュアリティの重要性
 第2節 女なるもの:ボーヴォワールの議論
 第3節 メルロ=ポンティの応答
 第4節 女性の妊娠と子どもの誕生:ヘレーネ・ドイチュ
 第5節 男女関係に文化的相対性:マーガレット・ミード

第4章 類型の伝承:個人と社会
 第1節 文化人類学の流れ
 第2節 基本的パーソナリティ
 第3節 ナヴァホ研究
 第4節 家族における権威主義と自由主義
 第5章 精神分析的性格学

第5章 自由
 第1節 『知覚の現象学』の自由論
 第2節 芸術家の自由
 第3節 サイコドラマと人間の自由

第Ⅲ部 われわれは他者とどのように交流しうるか
第1章 嫉妬と愛 
 第1節 自由の新色と性質を通じた愛
 第2節 嫉妬
 第3節 遺棄神経症
 第4章 メルロ=ポンティの解釈

第2章 他者との交流
 第1節 メルロ=ポンティにとっての教育学と児童心理
 第2節 子ども、病者、未開人、女性という他者
 第3節 大人と子どもの原理的な不平等と当為
 第4節 自他の不平等と平等の創設

結論

著者略歴

著:酒井 麻依子
立命館大学文学部初任研究員

ISBN:9784771033634
出版社:晃洋書房
判型:菊判
ページ数:320ページ
定価:5000円(本体)
発行年月日:2020年03月
発売日:2020年04月05日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDH
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1DDF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:1DDN