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輪島漆器からみる伝統産業の衰退と発展

著:安嶋 是晴

紙版

内容紹介

多くの伝統産業が衰退する中、輪島漆器産地ではなぜ生産体制が維持され、創造的気風が衰えないのか。
その鍵は「塗師屋文化」にある。
塗師屋とは輪島塗の生産から販売まで一貫して関わるプロデューサー的な存在であり、生産者と消費者をつなぐコーディネーター的存在である。
輪島漆器産地の歴史とその中で塗師屋が担ってきた役割を丹念にたどる。

目次

第1章 輪島漆器産地の発展と塗師屋文化
はじめに
1.伝統的工芸品産業の概況
2.漆器産地の概況
3 輪島漆器産地の歴史
4.輪島漆器産地の生産体制
5.塗師屋文化
おわりに

第2章 輪島漆器産地における昭和30年代の漆掻き職人衰退要因とその背景
―輪島の漆掻き職人経験者のヒアリングから―
はじめに
1 漆産地としての歴史的な経緯
2.ヒアリングからみる漆掻き職人の実態
3.昭和30年代の漆掻き職人衰退原因
おわりに

第3章 漆器産地におけるウルシ植栽事業の実践と展開-昭和40年代以降の輪島の植栽事業から―
はじめに
1.漆の活用の歴史
2.輪島の植栽の取り組み
3.植栽事業の課題
おわりに

第4章 輪島漆器産地の伝統的販売戦略の意義と課題―行商と椀講制度―
はじめに
1.輪島漆器産地の流通構造
2.椀講の仕組みとその意義
3.椀講の課題と現代的再生の意義
おわりに

第5章 高度経済成長期からバブル崩壊までの漆器産地成長要因の分析
-輪島と山中の漆器産地を対象に-
はじめに
1.高度経済成長期以降の伝統産業
2.高度経済成長期以降の漆器産業
3.輪島漆器産地の成長要因
4.山中漆器産地の成長要因
おわりに

第6章 バブル経済崩壊以降の輪島漆器産地の変容と展開
はじめに
1.バブル期の日本経済と輪島漆器産地
2.バブル崩壊後の輪島漆器産業衰退の実態
おわりに

第7章 輪島漆器産地における職人育成システムと教育機関
はじめに
1.漆器職人への経路
2.輪島漆器と地域教育
3.専門教育の取り組み
4.職場教育の徒弟制度
5.今後の展望と課題
おわりに

第8章 輪島漆器産地における地域コミュニティの意義と役割
―年齢組織の御当組を中心に―
はじめに
1.輪島の地域組織
2.御当組の歴史的経緯と役割
3.御当組の具体的活動 ―智翔會の事例より―
4.御当組と塗師屋文化
5.おわりに
第9章 塗師屋文化の意義と新たな展開の潮流
1.塗師屋文化とは何なのか
2.台頭する新しい組織・ネットワーク
3.近年の傾向とこれから

著者略歴

著:安嶋 是晴
富山大学学術研究部芸術文化学系准教授

ISBN:9784771033160
出版社:晃洋書房
判型:A5
ページ数:200ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2020年03月
発売日:2020年03月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AFT
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:AKP
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:WFK