どれがほんと?
万太郎俳句の虚と実
著:高柳 克弘
紙版
内容紹介
虚実のはざまにたゆたう普遍的な詩情。
その危うさの根源はなにか?
▼子規・虚子以降の近代俳句とは別の系譜の可能性を明示する!
▼タイトルは、万太郎の俳句「 時計屋の時計春の夜どれがほんと」から取っている。
虚と実のはざまにたゆたう普遍的な詩情を、卓越した言葉の芸で生み出し続けた久保田万太郎。
だが、いままでは「下町の抒情俳人」と評して安んじて、他の近現代の俳句にはない万太郎俳句の「言葉の力/巧みな芸」を言葉で掬いあげることが叶わなかったのではないだろうか。だれもが感受するその特質と危うい魅力を、俳句の本質に迫りつつ、はじめて論じきった若手俳人の画期的評論。
目次
序論
第Ⅰ章
季語の伝統にどう向き合うか
万太郎の中の「月並み」
非―イメージ
万太郎の取り合わせ
切れと切字
「型」と「型破り」
第Ⅱ章
言葉の共振
緩急
言葉のコストパフォーマンス
万太郎の時間意識
哀の人
前書との照応
地名、人名
言葉遊び
結論 万太郎俳句の未来
久保田万太郎 略年譜