シャンカラ派の思想と信仰
著:澤井 義次
内容紹介
▼信仰現象, その内的意味世界へ――。
インド最大の哲学者といわれるシャンカラが遺した宗教的著作の言葉は、
彼を信仰する人びとに、どのような意味世界を与えているのか。
そして、彼らの具体的な宗教伝統と、それらはどのように接合されうるのか。
信仰現象を、パロールとエクリチュールの両側面から捉え直し、信仰の本質に迫る、
新たな宗教学的パースペクティブを提示する画期的な一冊。
目次
はじめに
序 章 シャンカラ派研究の視座
一 インド宗教研究とシャンカラ派伝統
二 従来のシャンカラ研究の状況
<b>第一部 シャンカラ派の宗教学的研究とその立場</b>
第一章 宗教学的パースペクティヴ
一 方法論的な地平
二 信仰の意味世界への視座
第二章 シャンカラ派伝統とその宗教的コスモロジー
一 シャンカラ派の宗教思想とその特質
二 「生きたテクスト」としての信仰現象とその理解へ
三 シャンカラ派におけるバクティ頌とその意義
<b>第二部 シャンカラ派の宗教思想とその脈絡</b>
第三章 シャンカラ派僧院の歴史と伝承
一 シャンカラ派僧院に関する伝承資料
二 シュリンゲーリ僧院とスマールタ派
三 巡礼地としてのシュリンゲーリ僧院
第四章 シャンカラ派の宗教思想の特質
―― 特に「信仰」の概念と意味をめぐって
一 シュラッダー(信) ―― 聖典と師の言葉への信頼
二 バクティ(信愛)
―― カルマン(祭祀的行為)とヨーガとの関連において
三 シャンカラ派における「信仰」の特質
<b>第三部 シャンカラ派における在家信仰とその思想</b>
第五章 シャンカラ派の在家信仰と伝統的慣習
一 シャンカラ派の在家信仰
二 ヴェーダの学習と儀礼
第六章 シャーラダー神信仰とその意味構造
一 シャーラダー神信仰とその様態
二 シャーラダー神寺院におけるプージャーの諸相
三 シャーラダー神信仰の意味構造
第七章 シャンカラーチャーリヤ信仰とその意味構造
一 シャンカラーチャーリヤ信仰の基本構造
二 シャンカラの伝承とその信仰
三 シャンカラーチャーリヤ信仰の思想構造
<b>第四部 シャンカラ派の出家遊行とその思想</b>
第八章 出家遊行の生きかた ―― その思想と様態
一 シャンカラの出家遊行論 ―― 解脱論との関連において
二 伝承にみるシャンカラの出家遊行
―― シャンカラの伝説的伝記を手がかりとして
三 シャンカラと出家遊行
―― シャンカラの伝説的伝記の意味論的考察
四 伝承にみる具体的な出家遊行とその思想
―― シャンカラの伝説的伝記をめぐって
第九章 シャンカラ派における具体的な出家遊行とその思想
一 出家遊行の現実とそのプロセス
二 世師後継者の出家遊行
三 出家遊行者の日常生活
四 シュリンゲーリ僧院の統治者としての世師
結 論
略号ならびに参考文献
あとがき
索 引