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論理的な考え方 伝え方

根拠に基づく正しい議論のために

著:狩野 光伸

紙版

内容紹介

▼正しい考え方がわかれば、世界が違って見えてくる。

グローバルに通じる考え方とは? 科学や学問の考え方とは? 反知性主義ってどうしたら回避できる?
こんな疑問にあたった方、本書を読んでみてください。

意見の違いを受け止めて、新しい考えを広めるときに、感情や抑制でなく、理解と納得で進める「議論 argument」の方法を、説明しています。

目次

 はじめに

<b>0 正しい議論とは何か</b>
 0.1 正しい議論とは「理性的意見交換」のこと
 0.2 正しい議論を学ぶ理由1 ―― 文化的側面
 0.3 正しい議論を学ぶ理由2 ―― 心理的側面
 0.4 英語と日本語の違い ―― 本書における用語の定義

  <b>―― Ⅰ部 正しくない議論とは ――</b>

<b>1 正しくない議論の7つの例</b>
 1.1 理性的な意見交換にふさわしくないのは
 1.2 よく見られる「正しくない議論」
  ◆1 「みんながしているから」正しい ―― 衆人に訴える論証
  ◆2 人物を非難する ―― 人物非難
  ◆3 もとの発言内容を曲解して用いる ―― わら人形論法
  ◆4 ふさわしくない内容を導入し注意をそらす
  ―― 燻製ニシン論法
  ◆5 情に訴える ―― 同情論証
  ◆6 過剰な表現を使う ―― 過剰表現
  ◆7 脅迫によって正しいと認めさせる ―― 威力に訴える論証
 1.3 建設的な議論のために注意すべきこと

  <b>―― Ⅱ部 正しい議論の構成要素 ――</b>

<b>2 前提根拠と主張を明確にする</b>
 2.1 主張と前提根拠を見極める
 2.2 前提根拠と主張がすぐには明確ではない場合
 2.3 自分の主張を伝えるために
 2.4 前提根拠は信頼に足るか?
 2.5 関連した誤りのパターン

<b>3 前提根拠に用いる情報は確かか</b>
 3.1 他人の言を無批判には信頼しない
 3.2 情報源を明らかにする
 3.3 適格な情報源を探す
 3.4 情報源は複数調べて内容を比較しよう
 3.5 インターネットの情報は注意して使おう

<b>4 語の定義は一貫しているか</b>
 4.1 議論の前に、使用する語を定義する
 4.2 語の定義がはっきりしない場合は、より限定する
 4.3 語の定義そのものについて議論があるとき
 4.4 定義はあくまで定義
 4.5 関連した誤りのパターン

  <b>―― Ⅲ部 正しい議論の流れ ――</b>

<b>5 「原因と結果」を考える</b>
 5.1 因果関係と相関関係
 5.2 相関関係には、多様な説明がつく可能性がある
 5.3 最も適切そうな説明を探す
 5.4 複雑さを覚悟する
 5.5 関連した誤りのパターン

<b>6 一般化と統計の見方</b>
 6.1 「一般化」について
 6.2 複数の例を使うこと
 6.3 代表的な例を探そう
 6.4 背景に全体で何件ある中の何例?
 6.5 統計の結果を見るときは注意深く!
 6.6 反例を考えてみよう
 6.7 関連した誤りのパターン

<b>7 たとえ(比喩)を正しく使う</b>
 7.1 主張内容に対して、たとえの同じ点と違う点を探そう
 7.2 たとえによる議論は「関連がある似た例」が必要

<b>8 その他の論理学用語とその考え方</b>
 8.1 演繹的な議論
 8.2 帰納的な議論
 8.3 三段論法
 8.4 前件肯定と後件否定
 8.5 背理法

  <b>―― Ⅳ部 議論を表現する ――</b>

<b>9 議論の思考が必要な文章の型</b>
 9.1 物事がどのようであるかを説明する型(Report:報告文)
 9.2 物事がなぜ、どのように起こるのかを説明する型(Explanation:説明文)
 9.3 説得のための型(Persuasion:説得文)
 9.4 根拠に基づく意見交換のための型:(Discussion:討議文)

<b>10 本質と装飾を区別する</b>
 10.1 具体的かつ簡潔に
 10.2 事実に基づいて、強すぎない表現で
 10.3 一貫した語を用いよう

<b>11 謙虚に受け手の反応を活かす</b>
 11.1 議論における「謙虚」の意味
 11.2 謙虚の2つの意味

<b>12 学術論文を書く</b>
 12.1 論文の構成
 12.2 正しい議論と博士号
 〈正しい議論のための5つのステップ〉

  <b>―― Ⅴ部 主張内容を考え出す ――</b>

<b>13 新しい考えを思いつく</b>
 13.1 創造性を高める方法論の可能性
 13.2 考えついたアイディアを研究活動に展開するときの注意

 参考文献
 あとがき

<b>コラム</b>
 1 利益相反
 2 帰納法と演繹法
 3 数式の有用性
 4 交絡因子と中間因子
 5 ケーススタディ
 6 数値化できることだけを注目していてよいのか
 7 査読付き論文

著者略歴

著:狩野 光伸
狩野 光伸
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授。
1974年生まれ。東京大学医学部卒業・大学院医学系研究科修了。聖路加国際病院で臨床医・内科チーフレジデントとして勤務後、東京大学大学院医学系研究科老年病学・分子病理学、同大学ナノバイオ・インテグレーション研究拠点の特任教員、同医学部MD研究者育成プログラム室の初代専任教員を経て2012年より現職。研究テーマは、ナノバイオテクノロジーを応用した医学研究など。並行して、日本学術会議若手アカデミーの設置に携わり現在副代表、また世界若手アカデミー会員(2014年次の執行委員に選出)や、それらから派生して各種公職も務めてきた。膵がんが薬物治療に対して難治である原因の一端を、ナノテクノロジーを用いて解明し、ナノ病態生理学という新しい分野を提唱している。

ISBN:9784766422672
出版社:慶應義塾大学出版会
判型:A5
ページ数:176ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2015年10月
発売日:2015年10月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VSL
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:CJP