出版社を探す

叢書 21COE-CCC 多文化世界における市民意識の動態 11

多文化世界における市民意識の比較研究

市民社会をめぐる言説と動態

編:山本信人

紙版

内容紹介

市民社会の現れる地域的および歴史的な特性を比較の視座 から論じ、市民意識の多様性を浮き彫りにする。

目次


巻頭言 安西祐一郎

刊行にあたって 小林良彰

序—市民社会をめぐる言説と動態の比較研究へ向けて 山本信人

第1部 言説
第1章 シティズンシップという理想 山下孝子 
はじめに
Ⅰ 市民社会の三類型
1 古典古代の市民と市民社会
2 近代の市民と市民社会
3 第三の市民社会論
Ⅱ シティズンシップの徳
1 自由の内実
2 リベラルな解釈とその批判
3 古典的解釈とその批判
Ⅲ シティズンシップからの排除
1 ナショナリティとシティズンシップ
2 シティズンシップの拡大と変化

第2章 中国における市民社会論の現在 高橋伸夫

はじめに
Ⅰ 市民社会論の背景(1)——政治・経済・社会の状況
Ⅱ 市民社会論の背景(2)——国家と社会の関係をめぐる知的状況
Ⅲ 天安門事件以降の議論
1 市民社会と国家
2 「市民社会」と民主化の構想
3 国家と社会団体 おわりに——「強国家—強社会」は実現するか

第3章 アフリカにおける「市民社会」と「市民」をめぐる視角
——概念と現実のあいだに生じる軋みと齟齬を中心に 矢澤達宏
 
はじめに
Ⅰ 「バロメーター」化した「市民社会」
Ⅱ 「規範的市民社会」論に向けられる二つの批判
Ⅲ もうひとつの「市民」像
——アフリカ社会の「二重性」をめぐる議論から
Ⅳ 蝕まれる「市民権」
——「市民」の名のもとに横行する格づけと排除 むすびにかえて

第4章 中東における市民社会論の展開
——1990年代以降のアラブ世界とイラン 富田広士 

はじめに
Ⅰ 1990年代以降アラブ世界の市民社会状況
1 活発な市民社会論議
2 アラブ市民社会の構成要素
3 アラブ諸国の政治体制と発生期の市民社会
Ⅱ エジプトのイスラーム主義者と市民社会
1 ムバーラク政権の統治
2 次期大統領選挙の民主的実施を求める市民社会
3 イスラーム主義者と市民社会
Ⅲ ハータミー・イラン大統領の市民社会論
1 イスラーム文明の危機と「イスラーム的市民社会」
2 2004年のハータミー政権
おわりに

第5章 韓国における市民意識研究の現状と課題 金善美
はじめに
Ⅰ 研究対象と研究範囲の設定
Ⅱ 韓国市民意識研究の現状
1 市民意識についての概念的・哲学的研究
2 韓国の市民意識についての基礎世論調査研究
3 市民意識や価値観の変化を追跡する研究
4 民主市民教育に関する研究
5 市民意識と政治参加・選挙に関する研究
6 民主化・世界化・民主主義と市民意識に関する研究
7 単純な特定領域(環境、経済意識など)に限定した研究 結語
——韓国の市民意識研究の課題

第2部 動態

第6章 「民族」としての黒人の連帯
——20世紀初頭におけるマーカス・ガーヴィーの国際運動 荒木圭子 
はじめに
Ⅰ マーカス・ガーヴィーとブラック・ナショナリズム
Ⅱ マーカス・ガーヴィーの活動とその発展
1 ジャマイカからの出発
2 米国における運動の開花
3 ガーヴィーの理念——経済的自立と政治的独立
Ⅲ 政治的独立の試行
1 被抑圧「民族」としての黒人
2 国際舞台でのアピール おわりに

第7章 「市民性」をめぐるナショナリズムとグローバリズムの交錯
——カナダにおけるシティズンシップ週間プロジェクトを中心に
大岡栄美

はじめに
Ⅰ シティズンシップ週間とは
Ⅱ 導入期(1987年—1993年)
1 カナダの経済グローバル化戦略と多文化主義政策
2 「多文化市民」の育成
Ⅲ 再編期(1993年—1999年)
1 多様化から均質化への揺り戻し
2 「カナダ市民権を大切にしよう」——自由党政権時代の取り組み
Ⅳ 充実期(2000年—現在)
1 均質的市民育成回帰の問題点
2 多元的帰属意識と共生スキルの育成
3 ナショナルな多文化市民を越えて、戦略的コスモポリタンを越えて
おわりに

第8章 ポーランドにおける市民社会とEU    山本啓太  

はじめに
Ⅰ 先行研究と市民社会の概念
Ⅱ 政府外諸組織
1 法的枠組み
2 組織
Ⅲ 世論調査から見た市民の社会活動
Ⅳ EUと市民社会 おわりに

第9章 ポスト冷戦期におけるロシアの東アジア諸国意識に関する比較分析 タルノフスキー セルゲイ 

はじめに
Ⅰ 先行研究の検討
1 歴史研究のアプローチ
2 外交戦略研究のアプローチ
3 政治社会学のアプローチ
Ⅱ 作業仮説
Ⅲ データの検討
Ⅳ 大衆文化とマスコミ
Ⅴ 歴史・時代認識
Ⅵ 極東地域における東アジア諸国に対する意識
Ⅶ 東アジア諸国の社会・経済・政治に対する意識
Ⅷ 国際情勢認識における東アジア諸国
Ⅸ 政策課題の設定
Ⅹ 支持基盤 おわりに

第10章 インドネシア選挙政治の新しい潮流
——データからみる政治動態と政治意識   山本信人  
はじめに
Ⅰ 選挙制度の変更と思惑
1 選挙制度の改革
2 正副大統領直接選挙
Ⅱ 選挙データと出口調査
1 総選挙
2 第一回大統領選挙
3 第二回大統領選挙
4 組織力への信仰
Ⅲ 世論調査と選挙
1 世論調査
2 政党不信
3 イメージの政治
おわりに

ISBN:9784766411454
出版社:慶應義塾大学出版会
ページ数:322ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2005年03月
発売日:2005年03月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHB