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片麻痺の作業療法

QOLの新しい次元へ

著:中里 瑠美子

紙版

内容紹介

片麻痺の患者は変容した世界に生きている。 その経験を変えていく臨床とは。

「目をつぶると半身が消えます」「目で見ていても自分の手のような感じがしません」
このように語る片麻痺の患者さんに対して、作業療法士はどのような“治療”を提供することができるでしょうか。
本書は、外から観察できる動きだけでなく、患者さん自身の身体感やまわりの世界の認識の仕方を治療的に解釈し、
その特異的な動きを発現させる脳のはたらき方を変えていくことをめざす臨床の具体的な提案です。
症例を通して観察のポイントや治療の展開の仕方を詳しく解説します。

片麻痺の「治療」を模索している作業療法士にとって明確な指針となりうる、臨床のテキストです。

目次

片麻痺であるとはどういうことだろうか
◆患者の世界に接近するための手がかり~一般的な検査場面からの展開~
 関節可動域テストから患者の経験の内側に近づく
 ブルンストロームテストから患者の経験の内側に近づく
 痙縮のテストから患者の経験の内側に近づく 
 感覚テストから患者の経験の内側に近づく
◆片麻痺患者の特徴的な動きの必然性と変化の可能性
 自由な運動を生み出すメカニズム
 片麻痺患者特有の運動要素を生み出すメカニズム
 病的メカニズムを克服するための経験としての訓練
◆新しい経験を形づくる評価・治療のポイント
 訓練を展開するための評価の手順~患者にとっての経験の質を探る
 治療を組み立てる
 治療に用いる課題の例(道具の使用について)
◆患者と共に患者の世界を読み解く~感じて動ける身体へ~
 麻痺が改善しても行為につながらなかった症例(右被殻部梗塞;左片麻痺)
 筋緊張が強く、随意的な制御が困難な症例(右被殻部出血;左片麻痺)
 「今年は8月15日がない」という症例(クモ膜下出血;左半側空間無視・左身体無視)
 自分の感覚を他人に聞く症例(左被殻部出血;右片麻痺・肢節運動失行)
 肩の痛みで行為を創れない症例(右被殻部出血;左片麻痺)
 強い力で全身を固めて身体が変形した症例(右被殻部出血;左片麻痺)
 筋緊張が低く動きのない症例(左放線冠梗塞;右片麻痺)

ISBN:9784763921390
出版社:協同医書出版社
判型:A5
ページ数:192ページ
定価:2600円(本体)
発行年月日:2015年06月
発売日:2015年06月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MJ