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夢の翳 塩谷定好の写真 1899−1988

著:蔦谷 典子
写真:塩谷 定好

紙版

内容紹介

大正末から昭和初期にかけて一世を風靡した芸術写真は、福原信三、福原路草などで広く知られるが、塩谷定好はその草分け的存在であり、同郷の植田正治にとっては「神様のような存在」であった。

塩谷は、大正期に大人気となったポケットに収まる小さなカメラ・ベス単(ヴェスト・ポケット・コダック)を手に、独特な煙るようなソフトフォーカスの作品を生み出し、独自の手法で美しい印画を作り上げて、写真界で高い評価を受けていた。

本書は、遺族の手で大切に保管されてきた、極めて保存状態のいいプリントの中から選りすぐった、ベストセレクションとして纏める。

芸術写真の人気が再び高まる昨今において、塩谷作品の高質で品格のある美の世界は、時代を経てもなおモダンで、普遍の魅力を放つ。

また、プリントと共に大切に保管されていた厖大な量の塩谷資料(自身が立ち上げたベストクラブ(後に写研会)を母体として、生涯ほとんど休まず精力的に活動した記録、写真雑誌など)を反映。

その中には戦期に撮影がままならなくなる中、郷里赤碕から戦地に向かった若者へ向けて故郷の写真を送るなど、作品からも伺える慈愛に満ちた行動の記録なども残されている。

人間・塩谷定好の生涯、精神、写真家としての活動の全貌、ひいては日本写真の歴史を知る上でも貴重な一冊となる。


目次

第1章 村の情景

第2章 子供の情景

第3章 海の情景

第4章 花の情景

塩谷定好写真館

寄稿/塩谷晋

論文/蔦谷典子

TEIKO ALBUM

年譜

文献


著者略歴

写真:塩谷 定好
1899年鳥取県東伯郡赤碕町生まれ。1988年死去。 子供の頃から絵が好きで上手かった定好は、13歳の頃、父親から「ヴェスト・ホ?ケット・コダック」を与えられ、写真表現に出会う。倉吉農業学校卒業後、芸術写真を追求し、終生山陰の風景や人々を撮り続けた。やか?て時代は変わり、写真表現の変遷によって定好の存在は忘れられていく。 その中、同郷の植田正治が再評価に奔走。80歳となった定好は、日本の写真史を紹介した展覧会「日本の写真1848年から今日まて?」に、細江英公、奈良原一高とともに「1900年代の8人の巨匠」の1人として紹介され出品、3年以上をかけてヨーロッハ?10カ国を巡回、大変な注目を浴ひ?た。3年後、ドイツのフォトキナ展示会に出品され、最高賞のフォトキナ栄誉賞を受賞。同年、アメリカ、フランスの写真雑誌て?特集か?組まれる。翌年にはアメリカて?の第2 回国際編集デザイン展で優秀作家賞を受賞。定好が亡くなった 1988年、ヒューストン美術館での展覧会に招待出品、その後に開催された個展は、1990年まて?アメリカ国内の7会場を巡回。現在も海外で高い評価を得ている作家である。

ISBN:9784763019202
出版社:求龍堂
判型:B5
ページ数:240ページ
定価:3300円(本体)
発行年月日:2019年10月
発売日:2019年10月12日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WFA
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:AJC