朝鮮王朝の侯国的立場と外交 汲古叢書167
著:木村 拓
内容紹介
◎朝鮮前期の対外関係――対日本・琉球・女真人外交の実態に迫る!
目次
【主要目次】
序章 本書への導入
一 本書の目的
二 先行研究の議論とその限界
三 本書の構成と概要
(一)第一部――朝鮮の外交論理・秩序――
(二)第二部――朝鮮の外交と「私交」問題――
(三)終章――一七世紀前半朝鮮の対日本外交の変容――
第一部 朝鮮の外交論理・秩序
第一章 朝鮮世宗代における女真人・倭人への授職の対外政策化
一 授職の対外政策化前史
(一)五衛職授与への一本化
(二)向化受職人の待遇
二 授職の対外政策化とそれ以後
(一)授職目的の変化――侍衛から羈縻へ――
1女真人の場合
2倭人の場合
(二)授与官職の変化――実職から散職へ――
三 女真人・倭人の官教における印の変更とその意味
補 論 朝鮮の国王印と侯国的立場
第二章 朝鮮による女真人酋長への授職と羈縻――明の品帯を超えて――
一 女真人羈縻における品帯の意味
二 都万戸授与による女真人酋長の羈縻
(一)女真人への万戸職授与の再開
(二)酋長への都万戸授与と明の金帯
第三章 朝鮮による女真人・倭人への授印政策
一 印信と図書
二 女真人・倭人への授印政策の意味
(一)女真人への授印信
(二)倭人への授図書
三 女真人・倭人への授印政策と侯国的立場
第四章 朝鮮の対馬認識の体系的考察――一五世紀を中心として――
一 朝鮮の対馬認識の変遷
(一)高麗末期から己亥東征までの対馬認識
(二)己亥東征前後における対馬認識の変化
二 朝鮮の「藩籬」としての対馬の性格――豆満江流域の女真人集落との対比から――
第五章 朝鮮の対日外交秩序の新たな理解――『海東諸国紀』を手掛かりとして――
一 『海東諸国紀』のなかの「日本国」
二 対日外交秩序における「日本国」
(一)進上・粛拝儀礼と「日本国」
(二)授図書の制度と「日本国」
三 対日外交秩序の新たな理解
(一)朝鮮の主張した二つの対日外交秩序
(二)明中心の国際秩序との関わり方
第二部 朝鮮の外交と「私交」問題
第六章 朝鮮初期における室町幕府への遣使の目的
一 太祖・定宗代――頻繁な使節往来までの前史――
二 太宗代――倭寇対策のための遣使――
(一)頻繁な使節の往来
(二)室町幕府への遣使の途絶
三 世宗代――「交隣の礼」履行のための遣使――
(一)初期三度の回礼使の派遣――宋希璟・朴熙中・朴安臣――
(二)通信使朴瑞生の派遣
(三)回礼使李藝・通信使高得宗・通信使卞孝文の派遣
四 室町幕府への遣使の再途絶
第七章 一五世紀前半朝鮮の対日「交隣」と「私交」
――明に送られた世宗の行実を手掛かりとして――
一 明の「東藩」の立場と対日通交
二 明の「東藩」の立場と「私交」・「交隣」
第八章 朝鮮世宗による事大・交隣両立の企図
一 世宗による被虜明人張清らの送還の意味
(一)事大の礼に基づく被虜明人の送還
(二)事大と交隣の矛盾の解消
二 交隣使節の接待をめぐる世宗と臣下の立場
(一)日本使節の場合
(二)琉球使節の場合
第九章 朝鮮の交隣文書における図書使用の理由
一 書契における印の選択
二 世宗による印信使用の提案の意図
三 図書使用と「私交」問題
(一)「私交」問題をめぐる世宗と臣下の対立
(二)図書使用による「私交」問題回避の論理
終 章 一七世紀前半朝鮮の対日本外交の変容
――「為政以徳」印の性格変化をめぐって――
一 対日本国書と「為政以徳」印
二 「為政以徳」印の性格変化――図書から璽宝へ――
三 対日本外交の変容――国書の「公文書」化――
(一)明の権威を借りた対日本外交
(二)対日本外交における「天の申命」の登場
(三)対日本国書における璽宝の使用
引用文献一覧
あとがき
索 引