モビリティ・イノベーションの社会的受容
技術から人へ,人から技術へ
編著:上出 寛子
他著:谷口 綾子
他著:笠木 雅史
内容紹介
自動運転やMaaS(マース:Mobility as a Service)をはじめ,新しい技術やサービスが広く日常生活に定着するためには,どのようなプロセスが必要か。移動支援の技術の進歩と人・社会の調和について,心理学,哲学,交通工学などから分析,学際的な視座を提供する。社会的受容における多様性,信頼や人々の幸福との関係についても議論する。
◆本書の主な目次
第1章 イノベーションに関する研究動向
第2章 自動運転システムの社会的受容
第3章 社会的受容に対する心理学的な検討
第4章 変容的経験としての自動車運転:自動運転によって何が失われるのか
第5章 モビリティと情報通信技術
第6章 日本社会におけるMaaSの未来
第7章 モビリティ技術におけるイノベーションの社会的受容
目次
はじめに
第1章 イノベーションに関する研究動向
1-1 イノベーションの歴史
1-2 イノベーションに関する理論
1-2-1 イノベーションの拡散
1-2-2 破壊的イノベーションとジョブ理論
1-2-3 技術の変遷に対するマルチレベルの視点
1-2-4 組織におけるイノベーション
1-3 モビリティ技術におけるイノベーション
第2章 自動運転システムの社会的受容
2-1 社会的受容とは何か?
2-1-1 自動運転システムが実現した社会への賛否意識とその規定因
2-1-2 「新技術の社会的受容」の包括的な定義
2-2 人々は自動運転システムをどのように捉えているか?:リスク認知マップ
2-3 実証実験の効果
2-3-1 実証実験の前後で賛否意識は変わるか?
2-3-2 実証実験のNIMBY問題
2-4 自動運転システムの事故報道で人々の意識は変わるか?
2-4-1 アメリカUber歩行者死亡事故報道がイギリス人に与えた影響
2-4-2 アメリカUber歩行者死亡事故報道で態度変容したドイツ人はどんな人?
2-5 自動運転システムは新聞でどのように報道されてきたか?
2-5-1 調査概要
2-5-2 記事件数と議題の変遷
2-5-3 「自動運転」の初出・転機となる記事とその考察
2-6 自動運転システムをめぐる論調への賛否意識の国際比較:日本人のパワーワード「規制緩和」
2-7 本章のまとめ
第3章 社会的受容に対する心理学的な検討
3-1 社会的受容に対する考え方
3-1-1 社会的受容を構成する次元やレベル
3-1-2 社会的受容における3つの層
3-1-3 社会的受容におけるマルチアクター
3-1-4 社会的受容の動的プロセス
3-2 個人の認知における技術の受容
3-3 モビリティ技術の受容
第4章 変容的経験としての自動車運転:自動運転によって何が失われるのか
4-1 自動車の世紀の終焉
4-2 変容的経験と科学技術
4-2-1 変容的経験とはどのようなことか
4-2-2 長期間にわたる変容的経験と科学技術
4-3 変容的経験としての自動車運転
4-3-1 運転経験の多様性
4-3-2 自動車運転による主体性の感覚の拡張
4-4 運転経験の喪失と自動運転車の社会的受容
4-4-1 自動車を運転するという選択の非合理性
4-4-2 自動車運転の非合理性と自動運転車の社会的受容
第5章 モビリティと情報通信技術
5-1 情報通信技術の進展
5-1-1 世界におけるICTの進展
5-1-2 日本におけるICTの進展
5-1-3 携帯電話の進化と利用
5-2 実空間活動とサイバー活動
5-2-1 モビリティとICTの関係
5-2-2 モビリティとICTの代替性
5-3 実空間活動とサイバー活動の効用
5-3-1 本源活動による効用
5-3-2 移動とICT利用の費用
5-3-3 移動の正の効用
5-3-4 移動またはICT利用の派生的効用
5-3-5 実空間活動とサイバー活動の選択
5-4 コロナ禍における交通とICT利用
5-5 モビリティ革命とICTの進展
第6章 日本社会におけるMaaSの未来
6-1 MaaSの本質
6-2 MaaSの社会的受容
6-3 先進的な取り組み
6-3-1 ダラス
6-3-2 ドイツ鉄道
6-3-3 アメリカMODプロジェクト
6-3-4 ウィーン
6-3-5 Uber等の交通ネットワークカンパニー
6-3-6 トリッププランナー
6-3-7 マイルート
6-4 MaaSの将来展望
6-4-1 モード(交通手段)の統合
6-4-2 運賃の統合
6-4-3 他サービスとの連携
6-4-4 社会的受容からみた課題
第7章 モビリティ技術におけるイノベーションの社会的受容
7-1 社会的受容における多様性
7-2 社会的受容と信頼
7-3 社会的受容と人々の幸福
7-3-1 パーソナリティ
7-3-2 活動内容
7-3-3 経済状態と教育
7-3-4 家庭環境,社会的結束,互恵性
7-3-5 身体的健康
7-3-6 ウェルビーイングに関連するその他の要因
7-4 まとめ
おわりに
ISBN:9784762831850
。出版社:北大路書房
。判型:A5
。ページ数:276ページ
。定価:3200円(本体)
。発行年月日:2022年03月
。発売日:2022年04月11日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KNG。