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心理臨床の親面接

カウンセラーの基本的視点

著:永井 撤

紙版

内容紹介

心理臨床の親面接では,子どもの問題解決のために親と協力関係を結びつつ,時として親自身の課題や病理にも向き合う複雑な対応がカウンセラーに求められる。さらに親子関係の問題や課題は子どもの発達段階によっても大きく異なる。流派にとらわれない基礎を説き,初心者から熟練者まで実践の視野を広げる必携の手引書。

目次

第Ⅰ部 親面接の基本的枠組み

1 親面接とは
 親面接の第一歩
 まずは子どもの問題や症状を把握する
 子どもの育ち方について
 家族・親族との関わり
 親面接の基本は子どもの問題の見立て
 親面接の現実場面で起こっていること

2 親面接の構造と関係をどう考えるか
 第一段階――親との協力を前提とした対応
 第二段階――親と子の関係調整を中心に取り組む
 第三段階――親自身の課題や病理への対応
 子どもの問題と親自身の話題は7対3をめどに

3 子どもの問題と親の課題の見立て
 子どもの問題の見立て
 素質か環境か
 子どもの問題の基軸
 親自身の問題を課題としてみる
 親自身の課題・特性把握の四つのタイプ

4 子どもの発達段階に沿った親の課題
 乳幼児期(子どもが小学校に上がる前)
 児童期前期(小学校前半)
 児童期後期(小学校後半)
 思春期前期(中学生)
 思春期後期から青年期前期(高校生からそれ以上の専門的学習の時期)
 青年期後期から成人期

5 親子関係の問題は時代における社会の変化をどう反映してきたか
 一九七〇年代後半以降――不登校を手がかりに
 一九八〇年代後半以降――身体化・行動化の問題
 一九九〇年代後半以降――トラウマや児童虐待という問題
 二〇〇〇年以降――家族のあり方の大きな変化について
 これからの親子関係と支援のあり方

第Ⅱ部 親面接の事例

6 幼児期の養育不安 ―― 子どもを愛せない母親の課題
 来談にいたるまで
 面接の経過
 本事例を振り返って――子どものプレイに託された母の思い

7 児童期のアイデンティティ―― 家族の危機と自己確認
 来談にいたるまで
 面接の経過
 本事例を振り返って――児童期後期の子どもと母親への関わり

8 思春期の子離れ―― 分離と独立の課題
 来談にいたるまで
 面接の経過
 本事例を振り返って――親子の分離と不登校の意味

9 青年期の親子関係 ―― ひきこもりからの社会参加
 来談にいたるまで
 面接の経過
 本事例を振り返って――ひきこもりの親面接のポイント

10 子どもを自死で失った母親 ―― 喪の作業と家族の再構築
 来談にいたるまで
 面接の経過
 本事例を振り返って――親、夫、そして子どもとの関わり

第Ⅲ部 親子関係の二つの物語/本書のまとめ

11 オイディプス王の物語 ――「個の確立」をめざして
 エディプス・コンプレックス
 オイディプス王の三世代を取り巻く物語
 ライフサイクルの後半の課題について
 個の確立と関係性の継続

12 アジャセ王の物語 ―― 「関係性の継続」という課題
 アジャセ王の物語
 アジャセ・コンプレックス
 母に対する子どもの課題
 子どもに対する母の課題

13 親面接についてのまとめ
 親面接の基本的な立ち位置(ポジショナリー)
 親面接における親自身の課題には三割の関心を向ける
 子どもの問題の大きな枠組みと親自身の理解
 社会的・時代的な変遷について
 子どもの発達課題に対応した親の対応
 「個の確立」と「関係性の継続」について

著者略歴

著:永井 撤
永井 撤(ながい とおる)
 1955年生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程修了。文学博士,臨床心理士。東京都立大学助手,助教授,教授,首都大学東京教授を歴任し,2020年に定年退職。現在は首都大学東京名誉教授,東京都立大学特任教授。

【主書】
『不登校の心理―カウンセラーの立場から―』(サイエンス社,1996),『子どもの心理臨床入門』(金子書房,2005),『実践から学んだ心理臨床―クライエントと指導者,そして物語との出会い―』(人文書院,2008)『心理面接の方法―見立てと心理支援のすすめ方―』(新曜社,2013)他

【臨床実践】
原町田心理相談室を主宰。思春期から青年期の親支援と本人面接,専門家のスーパービジョン,教育分析など。さらに大学,中高一貫校などでのカウンセラーとして活動。
原町田心理相談室:https://www.n-haramachida.com

ISBN:9784762831454
出版社:北大路書房
判型:4-6
ページ数:208ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2021年03月
発売日:2021年03月05日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKM