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スーパーエッセンス心理学

編著:石田 潤
編著:谷口 篤

紙版

内容紹介

まさに心理学のこれまでの知見のエッセンスをギュッと凝縮した一冊。知ることによって心(人間行動)についての理解が深まるような事柄や,生活の役に立つような事柄を中心に内容を構成。それぞれの知見を理解するために,各項目毎,冒頭に本書オリジナルのスーパーエッセンスを配し端的かつ明確な理解の体系を提示する。

目次

1章 見る,聞く


1-01 知覚過程は解釈過程である。
1-02 右側の情報は左脳に,左側の情報は右脳に入る。
1-03 網膜像は二次元情報しかもっていない。
1-04 三次元の視覚情報は,さまざまな手掛かりによって構成されたものである。
1-05 両眼視差は網膜像から立体映像を構成する重要な手掛かりである。
1-06 図と地の分化とは知覚対象の輪郭が定まることである。
1-07 認識は上からと下からの情報処理の「はさみうち」でなされる。
1-08 動いていないのに動きが見えることがある。
1-09 人の目は高性能であるがゆえにエラーを起こすことがある。
1-10 網膜像が変化しても知覚される像は比較的安定している。
1-11 人はまとまりがつくようにものを見る。
1-12 まとまりが生じる要因として,近接,類同,閉合,よい連続,経験などがある。
1-13 聴きたいものを無意識に選んで聴くことができる。
1-14 同じものが同じように見えるとは限らない。
1-15 いつでも誰でも同じものが見えるわけではない。
1-16 情報は環境そのものの中に存在している。


2章 学ぶ,身につく


2-01 学習とは経験によって何かが変わることである。
2-02 古典的条件づけでは,「こうなったらこうなる」というルールが学習される。
2-03 オペラント条件づけでは,「こうすればこうなる」というルールが学習される。
2-04 最初から完璧を求めなくてよい。
2-05 恐怖も学習される。
2-06 無力感も学習される。
2-07 先の学習が後の学習に影響することがある。
2-08 人のようすを見るだけでも学習が起きる。
2-09 自ら発見することも学習となる。
2-10 自分の知識と関連づけることで学習は有意味なものになる。
2-11 技能学習を効果的にするには間のおき方も重要である。
2-12 表面に現われなくても学習が進行していることがある。
2-13 技能の習得には,認知,連合,自律の3段階がある。
2-14 学習は共同体との関わりの中で起こる。



3章 意欲を出す


3-01 行動や心は欲求によって動かされる。
3-02 動機には,人の中から出てくるものと,人の外から引き出すものがある。
3-03 欲求には生理的欲求と社会的欲求とがある。
3-04 基本的な欲求の多くは内的均衡の維持(ホメオスタシス)を助けるものである。
3-05 報酬は動機づけを高めるが,やること自体の楽しみも動機づけを高める。
3-06 動機づけは高すぎても,低すぎても良い成果が得られない。
3-07 あることを成し遂げたいという意欲を達成動機という。
3-08 無気力は学習によって身についてしまう。
3-09 行動の結果がどんな原因によるかを考えると,その後の行動は変わってくる。
3-10 自分の能力を適度に高く評価することが動機づけを高める。
3-11 自己実現の欲求は人間の欲求の中で最も高い位置にある。



4章 覚える,思い出す,知っている


4-01 記憶は「記銘」「保持」「想起」という3つの段階からなり,想起には「再生」や「再認」がある。
4-02 人の記憶はコンピューターの情報処理過程に似ている。
4-03 記憶には短期的なものと長期的なものとがある。
4-04 短期記憶はリハーサルによって長期記憶になる。
4-05 短期記憶内の情報は,そのまま放置しておくと,短時間で忘れてしまう。
4-06 短期記憶の容量には一定の限界がある。
4-07 短期記憶内の情報は,音韻的な性質をもっている。
4-08 短期記憶は,情報を保持するだけでなくその情報を用いた認知活動を行なう。
4-09 長期記憶には手続き的記憶と宣言的記憶とがある。
4-10 深い処理を行なった事柄は記憶に残りやすい。
4-11 自分のもっている知識構造と緊密なつながりができた事柄は記憶に残りやすい。
4-12 関連する事柄はまとめた方が記憶しやすい。
4-13 自分で生成した事柄は記憶に残りやすい。
4-14 イメージを利用することで記憶の保持を高めることができる。
4-15 思い出すための手掛りがあると思い出しやすい。
4-16 覚えたときの状況と思い出すときの状況が似ていると思い出しやすい。
4-17 出来事を思い出すときには断片的な記憶や知識・情報が再構成されている。
4-18 人間の記憶には意識的なものだけでなく,無意識的なものもある。
4-19 知識は概念のネットワークからなっている。
4-20 ある概念が活性化すると,意味的に関連する他の概念にも活性化が及ぶ。
4-21 スキーマという知識の枠組みが認知に大きな影響を与えている。
4-22 イメージは心の中の映像である。
4-23 自分の認知機能について知ることが上手に記憶したり思考したりする秘訣である。


5章 読む,話す,わかる


5-01 ことばを発することも行動の一種である。
5-02 人間は言語を習得するための生得的な能力をもっている。
5-03 人は誰も,言語の文法に関する高度な知識をもっている。
5-04 文を理解する際には,文構造をすばやく把握するための便法が使用されている。
5-05 文には,すでに知っている情報と,その文で初めて知る情報とが含まれている。
5-06 発話には対人的な行為としての機能が含まれている。
5-07 よい会話は基本的な原則に従っている。
5-08 文章を理解するためには,スキーマが使われる。
5-09 文章を理解するときには,すでにもっている知識を使う。
5-10 文章を読むときの視点と,思い出すときの視点の両方が,文章の思い出す内容に関係する。
5-11 物語の理解には物語特有の構造に関する知識が使われる。
5-12 文章や場面を理解するために,日常生活の一定のパターンの知識が使われることもある。
5-13 文章を読むとき,われわれは自然に要約を頭の中に作っている。
5-14 読んでわかりにくいときには,すでにもっている知識の中から,よく似たものと対比させると理解しやすくなる。
5-15 すでにもっている知識に影響を受けすぎて,書いてなかったものまで書いてあったと記憶してしまうこともある。


6章 考える,解ける


6-01 問題解決は,何が問題となっているかを見きわめることから始まる。
6-02 問題解決の手段には,「試行錯誤」「アルゴリズム」「ヒューリスティクス」などがある。
6-03 「手段-目標分析」は,有効なヒューリスティクスの1つである。
6-04 類推で問題が解けることもある。
6-05 「思い込み」から脱することで問題が解けることがある。
6-06 発想を変えてみることで問題が解けることがある。
6-07 過去の経験が,思考を妨げる「構え」を形成することがある。
6-08 考えるのを一時的に中断すると,問題が解けることがある。
6-09 人間の推理は必ずしも論理的ではない。
6-10 人はもっともらしさに頼って確率を判断している。
6-11 確率を判断する際に,サンプルサイズのことを無視しがちである。
6-12 人は前提条件を考慮せずに直観的に判断してしまうことが多い。
6-13 人は典型的な事例に頼って確からしさを判断する。
6-14 よく知っている事例に影響されて,生起確率を過大に見積もってしまうことがある。
6-15 自分の信念と合致している結論は妥当であるとみなしてしまいやすい。
6-16 人は仮説を裏付ける証拠ばかり探そうとする。
6-17 具体的な事柄であれば,論理的に推理しやすくなる。


7章 育っていく


7-01 発達には一定の順序と段階がある。
7-02 発達は一定の方向性をもっており,未分化-分化-統合へと移行していく。
7-03 ヒトとして生まれても,適切な生育環境が与えられないと人間らしく成長できない。
7-04 発達における初期経験は決定的なものではない。
7-05 発達には遺伝と環境の両方が深く関係している。
7-06 学習が成立するためには,成熟による準備状態(レディネス)が整うことが大切である。
7-07 乳児期から人間は人間の顔を特に好んで見る。
7-08 幼児,児童,大人とでは,思考のしかたが質的に違っている。
7-09 幼児期の思考は自己中心的である。
7-10 幼児期には,非生物にも心があると考えている。
7-11 フロイトは人間の性的な発達段階を5つに分けている。
7-12 乳児は特定の人との密接な関係を求めようとする。
7-13 子どもは集団の中で,社会性を育てていく。
7-14 子どもは,ことばを喃語,一語文,二語文と発達させていく。
7-15 心理的離乳の時期には,親や大人たちに対する強い不信感や反発心が生じやすい。
7-16 青年は大人と子どもの両方の特徴をあわせもつ境界人としての性質をもっている。
7-17 青年期における性的欲求の発達は男女で異なる志向性をもっている。
7-18 青年期は環境要因と衝動性により自我が揺れ動き,心の危機に陥りやすい。
7-19 若者文化はどの時代においても青年期に特有の特徴を示している。
7-20 自我同一性の形成は青年期の重要課題である。
7-21 自我同一性が拡散するとき,さまざまな不適応状態に陥る。
7-22 自我同一性を形成するための猶予期間が与えられることがある。
7-23 老年期の初期には自我の再統合が起きる。
7-24 老年期になっても,必ずしも衰えない能力がある。


8章 自分を生きる


8-01 1人ひとりの人間の全体像を「パーソナリティ(人格)」とよぶ。
8-02 パーソナリティはいくつかのタイプに分けることができる。
8-03 パーソナリティのタイプを,外向型と内向型に分けることがある。
8-04 パーソナリティのタイプを,分裂気質・循環気質・粘着気質に分けることがある。
8-05 パーソナリティはいくつもの特性からなっている。
8-06 個々人のパーソナリティの特徴を検査を使って調べることができる。
8-07 心の深層には意識されていない領域がある。
8-08 性の欲動は人間の根源的な欲動の1つである。
8-09 乳幼児にも性の欲動は存在する。
8-10 異性の親に対する性愛的な思慕の情を抱く時期がある。
8-11 人間の心は,欲動の渦巻く「エス」,エスと外界とを仲介する「自我」,自我の働きを一定の規範に従わせる「超自我」の3つの部分からなっている。
8-12 自我は,エスからの要求と外界の制約と超自我のもたらす規範との間を調整するためさまざまな手段を用いる。
8-13 無意識は意識を補う関係にある。
8-14 無意識の中には自分の劣悪な部分が潜んでいる。
8-15 人の心には仮面としての部分がある。
8-16 男性の心の中には女性的な部分が潜んでおり,女性の心の中には男性的な部分が潜んでいる。
8-17 心の働きには人類に共通する根源的形式がある。
8-18 無意識の中に潜む部分をも統合していくことによって,本来の全体性をもった自分らしい自分になっていく。
8-19 劣等感は人生を方向づける。
8-20 自由に伴う孤独感・無力感・不安感に耐えられないとき,人間はみずから自由を放棄してしまう。
8-21 人は誰も,「親としての私」「大人としての私」「子どもとしての私」をもっている。
8-22 自分でそう思い込んでいる自分の姿と,ありのままの自分の姿とのズレが大きいと,不適応状態に陥る。
8-23 ありのままの自分を受け入れることによって,不適応状態から解放され,より自分らしい自分へと変容していくことができる。


9章 患う,治る


9-01 ストレスとは,有害な刺激とそれに対処する能力不足によって引き起こされる否定的な状態のことである。
9-02 ストレッサーに対する対処法(コーピング)には,問題焦点型,情動焦点型,回避・逃避型などがある。
9-03 ソーシャル・サポートがストレスを緩和・低減する。
9-04 不安には「状態としての不安」と「特性としての不安」とがある。
9-05 ストレスや不安は,さまざまな身体症状に形を変えて表われる。
9-06 大きなショックを受けると,心の傷として残ることがある。
9-07 神経症は不安や悩みの延長線上にある。
9-08 過度の不安や抑うつ状態は,神経症の代表的な症状である。
9-09 恐怖症では,特定の対象や対人的な場面が恐怖の対象となる。 133
9-10 過度の強迫行為は,神経症の症状の1つである。
9-11 摂食障害は,身体的にも危険な心の病気である。
9-12 うつ病や統合失調症は,おもに内因による精神疾患である。
9-13 うつ病には,身体症状と精神症状とがみられる。
9-14 妄想は,統合失調症の代表的な精神症状である。
9-15 統合失調症の症状として,感情や意欲の障害,思考の障害がある。
9-16 統合失調症の病型は,「妄想型」「破瓜型」「緊張型」の3つがある。
9-17 統合失調症に関する誤解を解き,患者を支援する体制を作る必要がある。
9-18 心の病を訴える患者に対して臨床心理学的な測定と評価(アセスメント)が行なわれる。
9-19 心理臨床・心理療法の目的は,患者が主体的に生きていくことを,臨床家が治療的に関わりながら支援することである。
9-20 精神分析療法は,無意識の層にある愛憎感情や心的外傷を意識化することによって,それらを自分で制御できるようにする。
9-21 カウンセラーはクライエント(来談者)を無条件に受容し,共感的に理解する姿勢を保つことが基本である。
9-22 遊戯療法は,子どもが遊びの中で表出する象徴的な意味を,治療者が理解しながら進められる。
9-23 芸術療法は,芸術的な表現を通して,内面的な心理状態の解放を目指す治療法である。
9-24 家族療法は,家族や夫婦を一組のシステムととらえ,家族全体の治療的な変化を導き出していく治療法である。
9-25 行動療法は,症状のとらえ方や治療に対する考え方が,学習理論に基づいている。
9-26 乳幼児期の臨床的問題として,言語の障害,精神遅滞,自閉症などがある。
9-27 児童期の臨床的問題として,情緒障害,学習障害などがある。  146
9-28 思春期の臨床的課題の1つは,思春期危機を乗り越えることである。
9-29 青年期の臨床的課題の1つは,自我同一性を形成することである。
9-30 成人の臨床的問題として,うつ病,心身症などがある。


10章 他者と生きる


10-01 自分について考えるとき,主体的な自己と客体的な自己とよばれる2つの側面がある。
10-02 人は,現実の自己像や理想の自己像といった自分自身に関するイメージをもっている。
10-03 自己意識には,私的な側面と公的な側面とがある。
10-04 理想自己と現実自己のギャップが人を努力に向かわせる。
10-05 人は,自分の外に現われた行動から,自分の内面的な状態を知ることができる。
10-06 自分の能力はどれほどのものなのかは,他者との比較によって知る。
10-07 人は他者からの評価を気にしており,また自己評価を守り高めようとする。
10-08 人は,成功した場合はその原因が自分にあり,失敗した場合は原因が自分以外にあると考えようとするが,他人が同じように見てくれるとは限らない。
10-09 失敗が予想されるときは,あらかじめ失敗の原因を他者に話しておく。
10-10 不特定多数の集団の中では,自分らしさや自己統制が失われることがある。
10-11 他者を見るとき,暗黙のうちにどのような人物なのか推測判断しているが,その際に認知的な歪みが生じる。
10-12 人物を形容詞で表わす際,印象を大きく左右するものとそうでないものがある。
10-13 他者がどのような人間かを推測判断する際,「社会的望ましさ」「個人的親しみやすさ」「力本性」の3つの次元が存在する。
10-14 人は,他者に対して,自らが望む印象をもってもらうようにふるまう。
10-15 自分のふるまいが,その場にふさわしいかどうか意識できる人とそうでない人がいる。
10-16 自分のことを特定の相手にだけ開示することは,特別な意味をもっている。
10-17 態度の中身は,認知的なもの,感情的なもの,行動的なものに分けることができ,それらは互いに整合するように構成される。
10-18 人は,説得を受けると,抵抗するものである。
10-19 説得場面では,説得する人や説得内容の信憑性が問題になる。 160
10-20 要請を相手に承諾させるためのテクニックがある。
10-21 他者に魅力を感じる要因は,容姿や性格などのような相手側の要因だけではない。
10-22 同じ人に何度も会うと,その人を好きになる。
10-23 対人的コミュニケーションは,言語的なものだけではない。
10-24 相手と親密になると直接的なコミュニケーションはむしろ減少する。
10-25 他者がいると,援助の行動をすべき場面であっても行動を起こさない場合がある。
10-26 援助行動には,緊急事態での援助,日常的な援助,寄付行為,ボランティア活動などがあり,それぞれに特徴がある。


11章 集う,つながる,関わりあう


11-01 集団が成立するためにはいくつもの心理的条件が必要である。
11-02 集団への加入条件が厳しいほど,その集団への魅力が増す。
11-03 集団の各メンバーの能力の合計と集団全体の能力とは一致しない。
11-04 集団の暗黙のルール(規範)はコミュニケーションを行なう中で決まっていく。
11-05 集団で一度決まった規範はメンバーが単独で行動する時にも影響する。
11-06 多数者の意見が一致していると,その意見に個人が従うことがある。
11-07 個人や少数者が一貫した意見を示すと,その意見に多数者が従うことがある。
11-08 優秀なメンバーが所属する集団ほどまちがった意思決定を行なうことがある。
11-09 まちがった意思決定を行なう集団にはさまざまな特徴がある。
11-10 集団で議論した結果,各メンバーの当初の意見よりも極端な結論になることがある。
11-11 集団におけるリーダーの機能は,課題遂行と関係維持である。
11-12 自らが所属する集団を「内集団」,そうでないものを「外集団」とよび,人はふつう内集団のメンバーをひいきする。
11-13 ある人が失敗したり罪を犯したりした場合,外集団のメンバーよりも内集団のメンバーから激しい非難や攻撃を受けることがある。
11-14 流行とは,ある一定の期間,人々が同様の行動を採用することである。
11-15 流行の特徴,流行を採用する動機にはさまざまなものがある。
11-16 流行はものごとが,①革新者,②初期採用者,③前期多数者,④後期多数者,⑤遅滞者の順にとり入れられることで普及する。
11-17 ものごとが初期採用者の段階まで普及すると,世間が「流行している」と認識する。
11-18 流言は,内容の重要性と曖昧さによりひろまる程度が決まる。
11-19 流言は,ひろまるうちに「よりおもしろい話」に変えられることがある。
11-20 大衆はマスメディアが「多くの人が好んでいる」と報じた方に傾くことがある。
11-21 多数派の意見が少数派の意見をおさえて圧倒的に優勢になり,世論が形成されることがある。


引用文献
人名索引
事項索引

ISBN:9784762823756
出版社:北大路書房
判型:A5
ページ数:232ページ
定価:2500円(本体)
発行年月日:2004年05月
発売日:2004年05月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JM