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法と心理学会叢書

マクマーチン裁判の深層

全米史上最長の子ども性的虐待事件裁判

他著:E.W.バトラー
編訳:黒沢 香
編訳:庭山 英雄

紙版

内容紹介

1983年の起訴から1990年に評決が出された,米国史上最も長く最も費用がかかった裁判。20世紀におけるこの「魔女裁判」は社会的に何を意味するのか。裁判制度はこのような事件にどのように対応すべきか。詳細を示した本書は,法学,心理学,社会学,ジャーナリズムなど,多様な分野の研究者に数多くの質問を提起する。

目次

第1章 概 観
本書の目標と目的/本書の構成/結語  

第2章 告発の展開
最初の刑事訴追/当初の逮捕と証拠の欠如/刑事訴追の展開/捜査の拡大/勾留と保釈/結語  

第3章 公判前の報道─メディアの動向─
テレビとマクマーチン事件/印刷メディアとマクマーチン事件/政治的宣伝/メディア報道の影響/結語  

第4章 公判前の報道─一般市民の見方─
ロサンゼルス・タイムズ紙による世論調査/公判前報道と世論に関する弁護側の分析/ロサンゼルス中央上位裁判所管轄区で陪審員になる可能性がある人たちの調査/結語  

第5章 予備審問
積極的弁護・裁判官と他の法廷出演者/公開か非公開か/親たちの証言/セラピストの証言/子どもたちの証言/医学的証拠と医学専門家/CII職員の潜在的予断偏見/検察官の誤り/保釈/告発の取り下げ/被告人の除外/結語  

第6章 第一次公判前の出来事
差別的な警察と検察による起訴/公訴棄却の申し立てと検察側の不正行為の問題/第一告訴者ジュディー・ジョンソンの死/公判前の弁護側申し立て/陪審構成に対する異議申し立て/結語  

第7章 陪審の選定─弁護側による科学的な陪審選定─
陪審選定─地域代表性と偏見─/科学的な陪審選定/マクマーチン事件での陪審員の選定─ヴォア・ディールと専断的忌避の研究─/最終選定陪審員と補充員/最終選定陪審員の経歴/科学的な陪審選定のアメリカの法廷での受けとめられ方/結語  

第8章 マクマーチン裁判─第一次公判─
冒頭陳述/親たちの証言/子どもの証言/証言のビデオ録画/セラピストによる証言/医学的証拠/弁護側の専門家証人/拘置所の情報提供者の証言/ダニエル・デイビスの証言/ペギー・アン・バッキーの証言/バージニア・マクマーチンの証言/ペギー・マクマーチン・バッキーの証言/レイモンド・バッキーの証言/その他の未完の証言/最終弁論/マクマーチン被告人 vs.親たち/レイモンド・バッキーの保釈/結語 

第9章 陪審員と評決─第一次公判─
陪審評決/証拠の評価/結語

第10章 裁判の余波
一般市民の反応/マスメディアの自己批判/不十分な証拠─訴追の脆弱性─/金銭的コスト/個人的損失/社会的コスト/結語

第11章 マクマーチン裁判─第二次公判─
再公判の決断/これは正当な訴追であったか?/陪審選定/公判/陪審に対する裁判官の説示/陪審評議/評決/第二次公判の余波/結語  

第12章 憲法上の権利─児童虐待の被害者と被疑者・被告人─
憲法上の問題/検察官の権限濫用/基本的人権の侵害/子どもたちと刑事司法過程/マスメディア/予断をもたらす資料の影響を遮断するための裁判所の措置/結語  

第13章 被害者と犯人とされる人の権利─可能な改革への処方箋─
反訴/改革への処方箋/結語  

第14章 エピローグ
終結後/政府側の権限濫用と非違行為/厳罰的な検察官/憂鬱な前途/危機に立つ公正な裁判─O・J・シンプソン裁判とロサンゼルス地方検察庁─/結語  

ISBN:9784762823664
出版社:北大路書房
判型:A5
ページ数:436ページ
定価:4200円(本体)
発行年月日:2004年04月
発売日:2004年04月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LNF