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教師のための教育学シリーズ

新版 学校法 3

監:教師のための教育学シリーズ 編集委員会
編:佐々木 幸寿

紙版

内容紹介

近年、学校をめぐる法制も大きな変化を遂げている。
教育政策、教育立法における政治主導の進展も見逃せず、子どもの権利条約、
障害者権利条約等の趣旨が教育機会確保法、障害者差別解消法などの国内法として浸透しつつあり、
「権利基盤アプローチ」の法制が整備されつつある。
そして、さらに、近年、学校において注目されているのが、
弁護士等の法律専門家が学校問題に関わる動きである。
いじめ等の法的紛争に対応するための法律専門家の知識や実務能力が
学校運営上も必要とされてきており、学校法務のあり方が注目されている。

こうした社会状況の変化に対応すべく、学校教育に関する最新の内容を盛り込むと同時に、
学校問題に関する紛争に詳しい専門家の弁護士の皆様にも執筆に加わって頂いた。
本書は、学校・教育にまつわる法律の概説は網羅しつつ、
新しい時代の「学校法」のあり方の検討、ひいては「学校法学」の構築を目指している。

【執筆者】
佐々木幸寿 東京学芸大学理事・副学長
牛   玄 東京学芸大学先端教育人材育成推進機構助教
鬼澤 秀昌 おにざわ法律事務所 弁護士
森本 周子 坪井法律事務所 弁護士
國本 大貴 新堂・松村法律事務所 弁護士
清水 陽平 法律事務所アルシエン 弁護士
佐々木幸駿 佐々木法律事務所 弁護士
坂本 順子 六田・坂本法律事務所 弁護士
伊藤 ゆり 総務省東北管区行政評価局

目次

第Ⅰ部 学校関係法を学ぶ
 第1章 日本国憲法―教育の基本理念に関する法①―
  第1節 基本的人権の性質と国民の基本的人権の享有(第11条)
  第2節 個人の尊重,生命・自由・幸福追求の権利の尊重(第13条)
  第3節 法の下の平等(第14条①)
  第4節 公務員の選定罷免権・全体の奉仕者(第15条①,②)
  第5節 思想及び良心の自由(第19条)
  第6節 信教の自由(第20条①,②,③)
  第7節 学問の自由(第23条)
  第8節 表現の自由(第21条①,②)
  第9節 教育を受ける権利,義務教育(第26条①,②)
  第10節 公の財産の用途制限(第89条)

 第2章 教育基本法―教育の基本理念に関する法②―
  第1節 教育基本法改正
  第2節 教育基本法の内容

 第3章 学校教育に関する法律①―学校制度,学校組織運営,教育課程と教科書―
  第1節 学校制度と法規定
  第2節 学校組織と学校運営
  第3節 教育課程と教科書

 第4章 学校教育に関する法律②―児童生徒・特別支援教育・健康教育・学校事務―
  第1節 児童生徒の身分の取扱い
  第2節 特別支援教育
  第3節 健康教育(学校保健,学校安全,学校給食)
  第4節 学校事務(帳簿管理)

 第5章 教職員に関する法律
  第1節 教職員の任命
  第2節 服務
  第3節 分限と懲戒
  第4節 免許・資格,研修

 第6章 教育行政組織,制度に関する法律
  第1節 教育行政とは
  第2節 国と地方の教育行政機関
  第3節 教育委員会による学校の運営

第Ⅱ部 学校法
 第7章 教育法の変化と学校法という視点
  第1節 現代における教育法の変化
  第2節 学校法という視点の重要性

 第8章 学校法の課題を考える
  第1節 我が国の学校法が抱える法的課題
  第2節 学校法学において追求されるべき法理
  第3節 学校における法的教育実践

第Ⅲ部 教育課題と法
 第9章 弁護士の活用とスクールロイヤー弁護士の活用とスクールロイヤー
  第1節 弁護士と学校の関わり方の整理
  第2節 有効な助言をするために必要なこと
  第3節 弁護士が教育分野に関わることの法的な影響
  第4節 今後の展望

 第10章 いじめ問題と学校教育
  第1節 いじめ防止対策推進法
  第2節 「いじめ」の定義
  第3節 学校に求められる対応
  第4節 いじめ重大事態

 第11章 生徒指導提要の活用と法
  第1節 生徒指導提要改訂の経緯
  第2節 新提要の概要
  第3節 生徒指導提要の法的価値
  第4節 生徒指導提要と教育紛争
  第5節 教育現場における提要の活用

 第12章 ネット中傷問題への対応
  第1節 誹謗中傷とは何か
  第2節 相談機関と事前準備
  第3節 ネット中傷の削除
  第4節 プロバイダ責任制限法の改正と発信者情報開示請求

 第13章 少年非行と学校教育
  第1節 少年法の原則と少年非行の現状理解
  第2節 少年事件における手続
  第3節 少年非行問題への具体的な対応

 第14章 教師の労働環境と働き方
  第1節 学校設置者と教員の法律関係
  第2節 教員の働き方をめぐる問題
  第3節 教員の日常業務に潜む労働問題
  第4節 教員の過労と職場環境づくり

 第15章 体罰と教育実践―最高裁判決と体罰法制―
  第1節 学校教育における体罰の禁止と包括的支配権
  第2節 学校教育法の規定と「懲戒」「体罰」
  第3節 行政実例における「体罰」,通知の変化
  第4節 最高裁判決にみる「有形力の行使」と「体罰」
  第5節 法的教育実践への視点

Column
 〇旭川学力テスト事件
 〇第4次教育振興基本計画(令和5年度~9年度)
 〇学習指導要領の基準性
 〇認定特別支援学校就学者
 〇スクールロイヤーの議論から考える対話のコツ
 〇いじめの定義をめぐる解釈
 〇生徒指導提要と校則
 〇迷惑動画のアップと賠償責任
 〇サイバー補導
 〇学校の責任の範囲を考える
 〇親による体罰禁止―児童虐待防止法の改正―

索 引

著者略歴

編:佐々木 幸寿
(ささき こうじゅ)
1960年、岩手県奥州市生まれ。
東北大学大学院教育学研究科博士課程修了。
博士(教育学)。

主な経歴:公立学校教員、岩手県教育委員会指導主事・主任管主事、信州大学准教授、東京学芸大学准教授、東京学芸大学教授。日本学校教育学会・2016 ~ 2019年期会長。

現在:東京学芸大学理事・副学長,教職大学院長,
先端教育人材育成推進機構長。

【研究領域】
学校法、学校法務、教育行政(地方教育行政システム)、教師教育

ISBN:9784762032707
出版社:学文社 (GAKUBUNSHA)
判型:A5
ページ数:260ページ
定価:2500円(本体)
発行年月日:2023年10月
発売日:2023年10月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JND