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「グリーン・ハウス」があった街

メディア文化の街はどこへ向かうのか

著:仲川 秀樹

紙版

内容紹介

『世界一と言われた映画館』(山形国際ドキュメンタリー映画祭)の街。
なぜ酒田に「グリーン・ハウス」が存在し、多くの人に愛され続けたか。
本書を紐解きながら一緒にその答えを探りたい。(映画監督 佐藤広一氏)

「世界一デラックス映画館」のあった中心市街地メディア文化の伝統を継承した
中心市街地の20年にわたる実証研究。メディア環境形成と800mショッピングモール化に夢を託して。

目次

序 章 「メディア文化の街」理論的前提としてのメディア文化とポピュラーカルチャー
 プロローグ 「メディア文化の街」と「メディア文化」
 第1節 メディア文化のパースペクティヴ
  1 メディア文化の前提
   メディアの多様化 / メディアの周辺に注目
  2 分化する集合体
   分化した人びとの先 / 分化したモデルとファッド / 人びとが向かう先
 第2節 メディア文化の意味
  1 メディア文化の取り組み
   メディア社会/メディア文化の考え方
  2 メディア文化とは何か
   メディア文化の概念 / メディア文化論とは
  3 メディア文化論への社会学的視点
   大衆文化から若者文化へ / 時代を反映したサブカルチャー
   / ポピュラー文化とサブカルチャー
 第3節 ポピュラーカルチャーとサブカルチャー
  1 サブカルチャーの二つの側面
   サブカルチャーの前提/サブカルチャーをめぐる論点 / サブカルチャーの二面性
  2 サブカルチャーから大衆文化へ
   サブカルチャーと大衆文化の関係 / サブカルチャーからメディア文化論に迫る
  3 ポピュラーカルチャーの分化としてのメディア文化
   「大衆文化」は「マスカルチャー」 / 「大衆文化」と区別された「高級文化」
   / 「サブカルチャー」は「ポピュラーカルチャー」の一つ
 第4節 メディア文化の世界の広まり
  1 メディア文化から生まれる身近なコンテンツ
   自己の周辺に存在する身近な話題 / 人びとの動機を分析する
  2 メディア文化から広がる対象
   大都市にみる人の集まり / 地方都市における人の集まる空間 / メディア文化の視点から探る

第1章 シンボリックな洋画専門館「グリーン・ハウス」
 プロローグ シンボリックな洋画専門館
  「グリーン・ハウス」とは / 「グリーン・ハウス」のスタイル / メディア環境の充実した街
 第1節 メディア文化の象徴「グリーン・ハウス」
  1 エンタテインメントの中心は映画だった
   エンタテインメントの主役「映画」 / 歴史的な映画館が揃う街並み
   / 洋画繁栄の時代とメディア文化の街
  2 映画館らしくない映画館「グリーン・ハウス」
   洋画専門館「グリーン・ハウス」 / 複合型映画施設の先がけ「グリーン・ハウス」
   / メディアが伝えた「グリーン・ハウス」
   / 「シネ・サロン」がNHK総合テレビで全国に紹介
 第2節 首都圏と酒田のタイムラグを解消してくれた
  1 「グリーン・ハウス」の魅力
   「グリーン・ハウス」の館内
   / 「グリーン・ハウスニュース(予定表)」と「GREEN YEARS(パンフレット)」
   / 女性の社会進出に応えたスタッフと観客へのサービス
  2 東京と酒田のメディア環境がリアルタイム
   東京―酒田同時ロードショー/リアルタイムのメディア環境
  3 「グリーン・ハウス」の独自性
   「グリーン・ハウス」の神髄 / 「グリーン・ハウス」的環境がもたらしたメディア文化
 第3節 中心市街地の象徴「グリーン・ハウス」
  1 「グリーン・ハウス」がもたらした文化
   「グリーン・ハウス」から培った感覚 / 「グリーン・ハウス」から影響を受けた人びと
  2 「グリーン・ハウス」の時代
   メディア文化の誕生した一九七〇年代 / 一九七〇年代にすべてを放った「グリーン・ハウス」
 第4節 一夜に消えた洋画専門館「グリーン・ハウス」
  1 「グリーン・ハウス」が消えた
   「グリーン・ハウス」から出火 / 「グリーン・ハウス」を語ること
  2 酒田の中心市街地も消えた
   「中町商店街」も一夜にして消えた / 「グリーン・ハウス」は記憶のなかへ
   / 一九七六年の出来事

第2章 世界一と言われた映画館「グリーン・ハウス」
 第1節 新聞の紙面に体が震え、心が躍った
  1 「伝説の映画館“再現”したい」
   「グリーン・ハウス」再現 / 「グリーン・ハウス」を現在進行形に
  2 再現をめざすスタッフの想い入れ
   映像文化の多様性を軸に / 再現するスタッフと協力者の共通した想い
 第2節 「グリーン・ハウス」を再現させた「山形国際ドキュメンタリー映画祭
  1 山形国際ドキュメンタリー映画祭
   山形国際ドキュメンタリー映画祭の重み / 山形国際ドキュメンタリー映画祭の特質
  2 山形国際ドキュメンタリー映画祭の軌跡
   第1回YIDFF/第2回YIDFF / 第3回YIDFF/第4回YIDFF
   / 第5回YIDFF/第6回YIDFF / 第7回YIDFF 2001
   / 第8回YIDFF2003 / 第9回YIDFF2005 / 第10回YIDFF2007
   / 第11回YIDFF2009/第12回YIDFF2011 / 第13回YIDFF2013
   / 第14回YIDFF2015/第15回YIDFF2017 / 第16回YIDFF2019
   / 第17回YIDFF2021(オンライン)
 第3節 『世界一と言われた映画館―グリーン・ハウス証言集―』開演
  1 伝説の映画館再現の試み
   「伝説の映画館再現したい」『山形新聞』(二〇一七年六月九日付)
   / 「短編映像制作進む」『荘内日報』(二〇一七年七月二一日付)
   / 「“世界一の映画館”回顧 酒田『グリーン・ハウス』山形で来月『証言集』上映」
   『読売新聞』(二〇一七年九月一六日付朝刊)
   / 「“世界一の映画館”上映 夢の空間 証言 集める」
   『毎日新聞』(二〇一七年一二月二八日付夕刊)
   / 「語ろう グリーン・ハウス」『朝日新聞』(二〇一七年一二月二八日付夕刊)
   / 「歳を重ねた方々と若い人びと」それぞれに「グリーン・ハウス」をとおして
  2 長編ドキュメンタリー映画『世界一と言われた映画館―酒田グリーン・ハウス証言集―』
    特別先行上映  
   「山形国際ドキュメンタリー映画祭二〇一七開催」山形美術館オープニング上映
   / 「映画館のない街酒田」での特別先行上映
 第4節 『世界一と言われた映画館』劇場公開
  1 山形県内での上映開始
   劇場公開から映画祭そして試写会 / 「有楽町スバル座」から全国上映
  2 全国上映にみる付加価値
   拡大公開が続く / 上映会場にみる映画と交流
  3 「山形国際ドキュメンタリー映画祭」の貢献
   誰もが抱きながらも封印していた「グリーン・ハウス」を再現/映画環境継続の困難さ
   / 「山形国際ドキュメンタリー映画祭」の果たした貢献

第3章 「グリーン・ハウス」とメディア文化の街
 第1節 メディア文化の街を考える
  1 メディア環境の充実
   メディア文化を生み出した街 / トレンドの街を前提/若者文化のエリア
  2 伝統的なストリート
   メインストリート「中町」 / 「中町ファッション」の地 / かつて老舗百貨店もあった
   / 年齢層によって異なる中心市街地の選択基準
 第2節 “おしゃれ”な「シアター」と「レストラン」があった街
  1 ふたたび「グリーン・ハウス」のこと
   シンボルだった「グリーン・ハウス」 / オーディエンスに応えたインフラ
  2 本格的“おしゃれ”レストラン
   「グリーン・ハウス」にリンクするレストラン「ル・ポットフー」と「欅」
    / 首都圏との時間差を解消
  3 “おしゃれな”ストリートとファッション
   「中町ファッション」/フィールドワークで提示したファッション・ルート
   / ルートをめぐる課題/必要とするトレンド選択空間
 第3節 「グリーン・ハウス」的メディア空間
  1 メディア文化的空間の再生産
   「グリーン・ハウス」想い出コンサートの意味 / メディア文化的空間の再生産
   / 三〇年の封印を解いて
  2 試みの一つだった「中心市街地シアター」の冒険
   「シネ・サロン」の再現/上映作品の特徴 / シネマとおしゃれ「中町でもう一度恋を」
   / 若者文化のノスタルジー / 「港座」復活へ / 「港座」と「お酒」
  3 メディア文化の街復活は「中町モール」“おしゃれ”空間
   「中町モール」へ若者を / 中高生のおしゃれ空間の可能性

第4章 メディア文化の街とメディア文化的プロジェクト
 第1節 メディア文化の街にアイドルを
  1 二〇〇〇年代のメディア文化的試み
   メディア文化の街の動き / 身近な等身大アイドル像
  2 商店街発アイドル登場の時代性
   地方アイドルブーム / 中央メジャーからの分化
 第2節 あらためてメディア文化の街の商店街発アイドル
  1 地方商店街のメディア文化的発想
   酒田発アイドル育成プロジェクト / 「SHIP」誕生/地元密着「SHIP」の活動
  2 商店街を結ぶ「SHIP」
   商店街を縦断する「SHIP」グッズ / 商店街を結ぶ媒体「SHIP」
 第3節 「SHIP」は商店街発メディア文化のモデル
  1 ホームタウンを堅持した活動範囲
   地方アイドルゆえんたる活動 / 学園祭ライブでの商店街広報活動
  2 いつも帰属は「中町商店街」
   ホームタウン「中町商店街」 / エンタテインメント性の高い場所

第5章 メディア文化の街のエンタテインメント空間
 第1節 「グリーン・ハウス」が消えたメディア文化の街
  1 中心市街地アーカイヴ
   メディア文化の街の中心市街地を振り返る / 酒田大火と社会構造の変化
  2 変化する中心市街地
   居場所がなくなった / 一九七六年以前の街は消えてしまった
 第2節 中心市街地と郊外型社会
  1 郊外店舗SCの賑わい
   モータリゼーションの必然性 / チェーン型郊外店舗との差別化
  2 郊外型消費の時代
   中心市街地への影響 / 動機は「とりあえず」という猶予時間 /
   「とりあえず空間」への一極集中
 第3節 揺れ動く中心市街地
  1 中心市街地に老舗百貨店があった
   中心市街地セーフティゾーン/かつて存在していた老舗百貨店
  2 揺れ動く百貨店事情
   「百貨店」冬の時代/追い打ちをかけた郊外型店舗
   /中心市街地シンボル「第一次清水屋百貨店危機」/正式に撤退表明
   /中心市街地空洞化を止める
 第4節 新生「マリーン5清水屋百貨店」の挑戦と限界
  1 中心市街地シンボル再生産
   撤退表明後の新生「マリーン5清水屋百貨店」/老舗百貨店の意地とプライド
   /中心商店街の独自性プラス百貨店の付加価値
  2 振り返る「マリーン5清水屋百貨店」のオリジナル性
   各世代をカバーするアメニティ空間/百貨店コミュニケーション
   /エンタテインメントとメディア環境
  3 限界状況下での「マリーン5清水屋百貨店」の答え
   最後までぶれなかった「マリーン5清水屋百貨店」/「マリーン5清水屋百貨店」の答え
   /新生百貨店に込められた「百貨店」らしさ
  4 「マリーン5清水屋百貨店」の限界と終焉、そして中心市街地再検証へ
   中心市街地シンボルの限界「第二次マリーン5清水屋百貨店危機」
   /ドラマチックに中心市街地シンボルの終焉/メディア文化の街の検証へ

第6章 メディア文化の街の検証開始〈第1回~第5回中町シンポジウムダイジェスト〉
 Ⅰ 第1回中町シンポジウム(二〇〇五)からの提言
  第1節 共通テーマ「メディア文化の街と商店街の進化」
   1 メディア文化から考える地域活性化とは
    最初の検証作業/検証1「酒田の街と中町商店街を歩いて」
    /検証2「メディア文化からはじまるコミュニティ意識/検証3「アイドルと地域活性化」
    /検証4「中心市街地における人の流れ」
  第2節 フィールドワークから浮上したこと
   1 商店街の問題点と課題
    コミュニティ意識の確立/商店街集客の規模/商店主の温度差
   2 コミュニティ意識の広がり
    活性化とコミュニティ意識/「グリーン・ハウス」と「SHIP」の関連性
  第3節 第1回中町シンポジウムからの提言
   1 中心市街地ルート構築
    ルートの提言/五つのルートを提示
   2 商店街における第一次的交流の再考
    第一次的な交流がはじまった/三者間での交流
 Ⅱ 第2回中町シンポジウム(二〇〇九)からの提言
  第1節 共通テーマ「おしゃれとカワイイスポットを探そう」
   1 なぜ、メディア文化の街なのか
    メディア文化の街の背景/メディア文化の街のフィールド
   2 一九七〇年代に放ったメディア文化の街
    中心市街地が消えた/「グリーン・ハウス」がもたらしたメディア文化
  第2節 フィールドワークの検証
   1 メディア文化の街のおしゃれとカワイイスポット
    “おしゃれ”と“カワイイ”を探す/再生産するメディア文化的プロジェクト
   2 おしゃれとカワイイを登録する
     伝統的カワイイ「酒田舞娘」の世界/「獅子頭」と「梨(フルーツ)」のキャラクター化
    /「刈屋梨」おしゃれなフルーツ/おしゃれ空間としてのレストラン/大火以前の酒田を知る
  第3節 第2回中町シンポジウムからの提言
   1 メディア・スポットはメディア環境
    メディア・スポットの検証/印象的なメディア・スポット
   2 メディア・スポットの文化的価値
    メディア・スポットから導き出されるスタイル/検証からみえたメディア文化
 Ⅲ 第3回中町シンポジウム(二〇一一)からの提言
  第1節 共通テーマ「中心市街地シンボルのゆくえ―百貨店の重要性と存在価値―」
   1 中心市街地の百貨店をめぐる前提
    百貨店は商店街と共存する/百貨店は目的をもつ消費行動と選択が構築されている空間
   2 百貨店におけるコミュニケーション空間
    百貨店という空間/百貨店で成立するコミュニケーション/百貨店の役割再考
  第2節 中心市街地百貨店の存在価値
   1 百貨店のシンボリック性
    百貨店に求めるもの/時代の変化に応じた百貨店の重要性
   2 百貨店の存在価値
    百貨店の重要な機能/中心市街地における百貨店の要素
  第3節 第3回中町シンポジウムからの提言
   1 地方都市のファッションとエンタテインメント
    百貨店のファッション・ターゲット/中心市街地のエンタテインメント
   2 多彩なコンテンツの提供
    デパイチフード/百貨店周辺にリンクしたコンテンツ/「移動街」イベントの提言
 Ⅳ 第4回中町シンポジウム(二〇一二)からの提言
  第1節 共通テーマ『コンパクトシティと百貨店のファッション性』
   1 コンパクトシティ中町とファッション・ストリート
    コンパクトシティ中町/百貨店のファッション性
   2 百貨店のファッション(文化)性
    地方都市の百貨店事情/百貨店から発信する文化
  第2節 酒田の若者のおしゃれ意識
   1 ファッション・ブランドとおしゃれ発信
    若者のおしゃれ意識/百貨店に関する地元の誤解
   2 ファッション意識の共有
    世代間ファッションの理解/百貨店ファッションのイメージ一新
    /メディア文化の街のおしゃれ環境の維持
  第3節 第4回中町シンポジウムからの提言
   1 ファッション・ストリートの認知活動とリピーター獲得
    ファッション・ストリートの発信/中町に漂う空間へ誘い出す
   2 誘発の鍵は娯楽的機能
    コンパクトシティ中町の時間と空間の開放/コンパクトシティの本質と百貨店
 Ⅴ 第5回中町シンポジウム(二〇一三)からの提言
  第1節 共通テーマ「中心市街地から発信するメディア文化
    ―ファッション・コミュニケーションと百貨店―」
   1 ファッション・ストリートの一体感
    中町と百貨店の関係/ファッション(フード)ストリート/中町全体での広報活動の強化
   2 ファッション・コミュニケーションの場
    ファッション・ストリートとファッション・コミュニケーション
    /多彩なコミュニケーションが成立
  第2節 中心市街地から発信するメディア文化
   1 ファッション空間とサポート
    アパレルファッションの現状/世代間の傾向とファッション感覚
    /ファッション意識とメディアの関係
   2 メディア文化の発信は続く
    ファッション空間と文化の発信/ファッション・コミュニケーション発信の場所
  第3節 第5回中町シンポジウムからの提言
   1 ファッション・コミュニケーションを提供する空間
    「食」はファッションとコミュニケーション/ファッションとおしゃれ空間
    /料理教室という空間から生まれる付加価値
   2 エンタテインメントとコミュニケーション空間
    エンタテインメント発信空間/キャラクターコーナーとカワイイ発信
    /エンタテインメントとコミュニケーション空間のカワイイ
    〈第1回~第5回中町シンポジウムを振り返る〉

第7章 メディア文化の街のおしゃれとコミュニケーション空間
 Ⅰ 第6回中町シンポジウム(二〇一四)からの提言
  共通テーマ『中町でおしゃれしよう!―社会学から考える―』
  第1節 メディア文化の街でおしゃれを考える
   1ファッションとおしゃれの舞台
    百貨店のファッション性を継承/ファッション・コミュニケーションの舞台
    /「中町でおしゃれしよう」という視点/ファッション意識を高める
   2 ファッション空間と文化の発信
    ファッション・コミュニケーションを提供する空間
    /エンタテインメントとコミュニケーション/中心市街地でのメディア文化の発信
  第2節 おしゃれコミュニケーションへ向けて
   1 食の空間でおしゃれコミュニケーション
    カフェ・ランチ・アフターティー・ディナー
    /カフェ・アフターティーで、おしゃれコミュニケーション
    /ランチでカジュアルなコミュニケーション/ディナーでおしゃれコミュニケーション
    /多彩なおしゃれコミュニケーション
   2 カルチャー・エンタテインメントとおしゃれコミュニケーション
    中心市街地のエンタテインメント空間/伝統文化とおしゃれコミュニケーション
  第3節 おしゃれとファッション・コミュニケーション空間の発信
   1 食をとおしてのコミュニケーションとファッション
    コーヒーと紅茶のおしゃれコミュニケーション
    /地元日本酒と料理のコラボによる大人コミュニケーション
   2 エンタテインメント空間とファッション  
    ミュージックと子どもダンス/プラス子どもスイーツ/高校生ダンス対決
    /いつでもおしゃれして中心市街地へ
 Ⅱ 第7回中町シンポジウム(二〇一六)からの提言
  共通テーマ『ローカル百貨店から考える地方創生―中心市街地のショッピングモール化―』
  第1節 メディア文化の街の現在
   1 中心市街地のあらたな取り組み
    中町でおしゃれするために/酒田大火から四〇年
   2 中心市街地ショッピングモール化の布石
    老舗百貨店を軸とした地方創生/ショッピングモール化
  第2節 中心市街地の実情
   1 酒田大火から40年「中町」のいま
    中心商店街機能の問題/「中町モール」の重要性
   2 「マリーン5清水屋百貨店」にみる新店舗導入と新規顧客の獲得
    コンパクトシティのメディア環境/若者向け店舗に照準/ファッションブランドの必要性
  第3節 老舗百貨店の遺したもの
   1 中心市街地の人びとの関心と人の集まり
    地方都市の百貨店事情を把握する/焦点はヤングカジュアルの動向
   2 百貨店の専門店街化と中心市街地ショッピングモール化
    専門店街化への道/中心市街地生き残りとしてのショッピングモール化
    /人びとの関心と人の集まりへ「八〇〇mの商店街をコンパクトにまとめる」

第8章 メディア文化の街の伝統からあたらしいポピュラーな文化へ
 Ⅰ 第8回中町シンポジウム(二〇一七)からの提言
  共通テーマ『ショッピングモール化を軸とした中心市街地再生
       ―伝統からあたらしいポピュラーな文化の発信―』
  第1節 前回シンポジウムの重要事項を検証する
   1 百貨店の専門店街化・スーパーのショッピングモール化
    第7回中町シンポジウムの重要な論点を振り返る
    /中心市街地生き残りとしてのショッピングモール化
   2 重要な部分を実践的に検証する
    実践的な試み/実践的検証第一弾予備調査第一グループ(五月一八日~二一日)
    /実践的検証第二弾予備調査第二グループ(六月二日~四日)
    /実践的検証第三弾予備調査第三グループ(六月九日~一一日)
  第2節 伝統からあたらしいポピュラーな文化
   1 伝統文化の検証からその先へ
    酒田の伝統文化のカテゴリー/伝統文化に沿った実践事例
   2 伝統からあらたな文化的スタイルを考える
    伝統四大まつり(既存スタイル)/中心商店街プラスフェスタ(既存スタイル)
    /あらたなポピュラーな文化の発信「中町ショッピングモール」の夢
  第3節 あたらしいポピュラーな文化の発信
   1 伝統「酒田まつり」の継承と変革
    伝統文化イベント/「獅子頭」にみる伝統/伝統の付加価値
   2 あたらしい文化としてのキャラクター
    キャラクター導入による地域活性化/酒田市公認キャラクター登場
    /中心市街地商店街公認キャラクター登場
   3 キャラクター効果の二面性
    知名度アップとネット映え/キャラクターから地元をイメージ
  第4節 第8回中町シンポジウムからの提言
   1 「人が集まらない中心市街地に人を」1年に12日間集める
    「街に人がいない」からの脱却/人がいないのに人が集まるのはなぜか
    /さらに四大まつりを考える/市内居住者以外の人びとの存在
   2 「四大フェス」プラス「ミニフェス」&イベントの発想
    プレ四大まつりにリンクさせたミニフェスティバル
    /ミニフェスプラス生産者との関連イベント/1年に12日間、中心市街地に人を集める

第9章 メディア文化の街と中町モールを軸とした中心市街地再生
 Ⅰ 第9回中町シンポジウム(二〇一八)からの提言
   共通テーマ『 中町モールを軸とした中心市街地再生
        ―メディア文化の街とエンタテインメント空間ふたたび―』
  第1節 前回振り返りと中心市街地での文化発信
   1 伝統からあたらしいポピュラーな文化を発信する
    人の集まりと伝統文化/「中町モール」に注目
   2 ポピュラーな文化発信のために1年に12日間人を集める
    /プレ「メディア文化の街」ふたたび
  第2節 二〇一八年の実証研究
   1 メディア文化の街にみる人の集まり
    実践的予備調査第一グループ(五月一八日~二一日)
    /実践的予備調査第二グループ(六月八日~一〇日)
    /実践的予備調査第三グループ(六月一五日~一七日)
   2 中心市街地中町イベントにおける集客
    重要な市民の一体感/いくつかの複合的な要因
    /若者たち(子どもたち)の居場所確保「中町モール」
  第3節 美味しい美しい快適な「中町モール」演出の提言
   1 美味しい「中町モール」の演出
    酒田チャーハンからダンスイベントまで/庄内米で「盛る」美味しい「中町モール」の演出
    /「酒田チャーハン」「酒田チャーシュー」「酒田パイ」「まるごと酒田ソーダ」
   2 美しい「中町モール」の演出
    ダンスイベントで「盛る」美しい「中町モール」/「中町モール」で「盛る」
   3 快適な「中町モール」で映画上映の演出
    あらたな風景を「中町モール」で/「中町モール」映画上映会/あらたなシネコン環境の誕生
    /新しい提案とともに歴史的過程から中心市街地の原型を活かす

第10章 メディア文化の街と中心市街地のゆくえ
 Ⅰ 第10回記念中町シンポジウム&ワークショップ(二〇一九)からの提言
  共通テーマ『地方都市中心市街地のゆくえ―メディア文化の街はどこへ向かうのか―』
  第1節 酒田フィールドワーク・中町シンポジウムの経過(二〇〇三―二〇一九)
   1 フィールドワークからみえた中心市街地の現実
    すべては二〇〇三年/中心市街地の進化に注目した/永遠の研究対象「中町商店街」
   2 フィールドワークから感じた「原型のパターン変化」
    メディア文化の街と向き合い17年/あえて中心市街地の郷愁へフィードバックしたい
    /「ワークショップ」
  第2節 二〇一九年の実証研究
   1 中心市街地の原風景を探す
    実証的予備調査第一グループ(五月一八日~二一日)
    /実証的予備調査第二グループ(六月七日~九日)
    /実証的予備調査第三グループ(六月一四日~一六日)
    /実証的予備調査第四グループ(六月二一日~二三日)
   2 予備調査共通エリア
    中心市街地共通スポット/食のスポット
  第3節 中心市街地から生まれるコミュニティの提言
   1 メディア文化の街にみる人の集まり
    日常と非日常のギャップ/大人の空間/獅子頭の進化と獅子頭ファミリー
   2 中心市街地コミュニティ空間
    非日常の酒田まつりにみるコミュニティ/地域コミュニティのまとまり
  第4節 地元民の求めるものと観光客が求めるもの
   1 ガイドマップとは異なる発見
    観光雑誌と正確な情報/観光スポットのギャップ
   2 隠れたスポットの発信
    外部への積極的発信/地元民が求めるものは観光客の求めるもの
  第5節 中心市街地のレトロ空間の発信
   1 レトロ空間再考、あえて昭和“映え”を前面に体験したレトロ空間
    /中心市街地のレトロな空間の発見
   2 外部に発信したくなる欲求に応える
    自慢したくなる空間/中心市街地レトロ空間再考の提言/中心市街地のゆくえにつなげる

結 び メディア文化の街はどこへ向かうのか
 Ⅰ 社会学から考える地域社会―理論と実践の20年
  1 メディア文化の視点から追った
   これまでの研究テーマを振り返る/メディア文化の街という位置づけ
   /メディア文化の街の意味/中心市街地ストリート
  2 中心市街地のシンボルと変化
   中心市街地の消滅の危機/コンパクトシティ中町構想/中心市街地のシンボル
   /ステレオタイプから脱却の試み/現代版「中町でおしゃれしよう!」
  3 「中町モール」に照準
   「中町モール」と「百貨店」そして「商店街」
   /伝統からあたらしいポピュラーな文化を発信する
   /「中町モール」に注目続けたフィールドワーク
  4 中心市街地の本質と中心市街地のめざすもの
   シンポジウムで提案した「1年に12日間人を集める」
   /エンタテインメント空間と「メディア文化の街」ふたたび
   /メディア文化を発信する中心市街地/メディア文化の街はどこへ向かうのか
 Ⅱ 中心市街地の原風景をみつめなおす
  1 原風景を探す旅
   原風景を探しに/酒田の実風景/あらためて原風景とは
  2 メディア文化の街のファジー(新旧の狭間と曖昧さの同居)
   新旧の狭間/同居する「新規・既存・ファジー」なモデル空間
  3 地方都市でファジーを活かす
   伝統を維持しあらたなスタイルを/ファジーからメディア文化を探る
   /新旧の狭間、歴史的過程から酒田の街を考える
 Ⅲ メディア文化の街ふたたび―中心市街地再生の切り札「八〇〇m中町ショッピングモール化
  1 ふたたびメディア文化の実践
   メディア文化の原風景/あらたな風景を「中町モール」で
  2 中心市街地再生の切り札「八〇〇m中町ショッピングモール」
   歴史的八〇〇m商店街/八〇〇m商店街をコンパクトにまとめる
   /商店街におけるショッピング環境としての「ショッピングモール」と「商業ビル」
   / 商店街の分散した機能と「商業ビル」の共存
   / 中心市街地のシンボリックな「ショッピングモール」
   / 「ショッピングモール」に直結する「バスターミナル化」
  3 「中町ショッピングモール化」
   ショッピングモール構想と人びとの集まり / 目的をもつ空間、とりあえず空間再考
   / 「八〇〇m中町ショッピングモール」
 Ⅳ 「グリーン・ハウス」があった街
  1 メディア文化の街の資源
   酒田大火から約半世紀、メディア文化の街 / メディア文化の街の資源
  2 「グリーン・ハウス」があった街
   「メディア文化都市“酒田”」の夢 / 既存の環境の再構成と時代に沿った環境構築

エピローグ 社会の構図が変わる
  1 賑わいを取り戻すという幻想
  2 アーカイヴと現実、幻想からの脱却
  3 社会の構図の変化と新しいシステム

あとがき ―「グリーン・ハウス」と「中心市街地」の過去と未来―

著者略歴

著:仲川 秀樹
(なかがわ ひでき)日本大学文理学部社会学科教授。

ISBN:9784762032523
出版社:学文社 (GAKUBUNSHA)
判型:A5
ページ数:340ページ
定価:3300円(本体)
発行年月日:2023年08月
発売日:2023年08月29日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KCCD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:NH