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早稲田教育叢書 38

国語科教材の中の「中国」 38

著:堀 誠

紙版

内容紹介

国語科の古典「漢文」を中心に教育方法・教材研究・教育実践の方面から多角的に
共同研究を推進してきた著者が、新学習指導要領への移行を視野に入れて、
『国語科教育教材の中の「中国」』について、考察する。

第一部〔唐詩と道真詩〕、杜甫と王維、日本の菅原道真の詩歌に関する考察を展開。
第二部は、〔中国小説と教材〕として、唐代の「人面桃花」、中島敦「山月記」、
魯迅「故郷」という小説教材への考察を行う。
第三部は、〔史伝と英傑〕と題し、漢楚興亡の項羽と劉邦に源頼朝を絡めて比較文学的な考察を試み、
第四部〔文化と言語〕には、「鶏鳴」「竹馬」「扇」を通した伝統的な文化や
漢字・漢語・漢文に関わる学びを試みている。

目次

第一部〔唐詩と道真詩〕
 第一章 国語科唐詩教材と杜甫
  一 アニバーサリー・イヤー
  二 「伝統文化の教育」
  三 小学校の教材
  四 中学校の教材
  五 高等学校の教材
  六 李白・杜甫と古典
  七 教材間の連携
  八 震災下にあって
  九 結びに

 第二章 王維の詩篇 ――「輞川」の地と教材――
  一 「語文」および「国語」教科書における王維の詩篇
  二 輞川荘の銀杏樹
  三 日本近代文学における王維
  四 阿倍仲麻呂との交友

 第三章 菅原道真「九月十日」の詩篇をめぐって
  一 「九月十日」詩と「断腸」
  二 「九月十日」詩と注
  三 「秋思詩篇独断腸」
  四 「九月十日」詩の注を考える
  五 「断腸」の解釈
  六 「九月十日」詩の意味空間

第二部 〔中国小説と教材〕
 第四章 「人面桃花」という古典(漢文)教材
  一 はじめに
  二 「人面桃花」を読む
  三 「買粉児」の男と女
  四 「霍小玉伝」の負心と薄命
  五 習俗儀礼と情愛

 第五章 中島敦『山月記』と中国小説
  一 唐代伝奇小説のテキスト
  二 六朝志怪と「異」字の時空
  三 友情と「人虎伝」のタイトル
  四 「人虎伝」の「月」字
  五 『山月記』の「月」
  六 「月」と「鏡」と「水鏡」
  七 月への咆哮

 第六章 魯迅『故郷』という教材
  一 ある教場から
  二 対比の構造
  三 『故郷』の風景と表現
  四 『故郷』の一つの読解
  五 訳語の比較対照
  六 原文に基づく読解
  七 訳語の問題点
  八 物語の仕組みと月

第三部 〔史伝と英傑〕
 第七章 覇王の最後――歴史と文学――
  一 乾坤一擲
  二 巻土重来
  三 抜山蓋世
  四 項羽と虞美人
  五 虞美人の死
  六 項羽と義仲
  七 覇王別姫

 第八章 古典漢文と古文の比較文学的学習の試み――劉邦と頼朝の英傑像を例として――
  一 「漢文」を読む
  二 劉邦の敗走と鳩杖
  三 劉邦救難の稗史を読む
  四 源頼朝の敗走と救難
  五 鳩と蜘妹
  六 鳩杖余話

第四部〔文化と言語〕
 第九章 日中「鶏鳴」談義
  一 「鶏鳴」の詠歌
  二 「鶏鳴狗盗」と故事
  三 「鶏鳴」と日の出
  四 中国現代革命小説と「鶏鳴」
  五 鶏鳴のアヤ

 第十章 日中「竹馬」小考
  一 「竹馬の友」印
  二 「竹馬」と道具
  三 童蒙の世界
  四 「竹馬」余談

 第十一章 「扇」をめぐる日中比較文学的考察
  一 班婕妤 「怨歌行」
  二 「団扇」「秋扇」と白居易「雨後秋涼」詩
  三 『和漢朗詠集』の班婕妤と「怨歌行」
  四 『経国集』と『文華秀麗集』
  五 「扇ゆゆし」

 第十二章 漢字・漢語・漢文を考える
  一 日本の風土の中で
  二 いわゆる「国語力」と漢字
  三 漢字の学習
  四 漢字の「離」と「合」
  五 漢語の成り立ちと意味理解
  六 句読点のいたずら
  七 「漢字」をめぐる戦前・戦後(l)
  八 「漢字」をめぐる戦前・戦後(2)
  九 「改定常用漢字表」の答申
  十 『学習指導要領』と漢字指導
  十一 生活を逆手に取る

著者略歴

著:堀 誠
(ほり まこと)早稲田大学教育・総合科学学術院教授。

ISBN:9784762030765
出版社:学文社 (GAKUBUNSHA)
判型:A5
ページ数:240ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2021年03月
発売日:2021年03月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNT
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JNU
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:JNW