ジェンダーで読む映画評/書評
著:杉本 貴代栄
![ジェンダーで読む映画評/書評の商品画像](/img/books_icon/9784762030369.jpg)
内容紹介
ジェンダーを学ぶ方、関心を抱く方のための入門書。
身近にある書籍や映画を手がかりにして、ジェンダーに関連する知見を読み解いていく。
ジェンダー問題に関心を持ち、さらに関係する書籍を読み進めていく契機になる1冊。
おおまかに、ジェンダーをめぐる社会の動向を、第1段階(1980年代)、第2段階(1990年代)、
第3段階(2000年以降?現在)に分類し、この3段階のジェンダー課題を広く、
また日本だけでなく外国の問題も含めて取り上げる。
目次
Ⅰ.女性と社会福祉政策
映画評/ 町と自分の人生のために:女たちの挑戦を描く『フラガール』
1.石炭産業の衰退 / 2.ストーリー / 3.撮影とその周辺のエピソード
書 評/ イエスタ・エスピン=アンデルセン著・大沢真理監訳
『平等と効率の福祉革命:新しい女性の役割』
1.はじめに / 2.本書の内容 / 3.解題と翻訳について
/ 4.エスピン=アンデルセンとフェミニスト研究 / 5.本書の特徴と日本の課題
書 評/ 上野千鶴子『ケアの社会学:当事者主権の福祉社会へ』
1.社会福祉とジェンダー / 2.本書の内容 / 3.介護保険の評価 / 4.協セクターへの期待
映画評/ 『スタンドアップ』が描く「働く女性の権利」
1.「男の職場」で働く女性が経験したこと / 2.男女平等雇用法の進展 / 3.現実の訴訟の経過
/ 4.アニタ・ヒル事件
書 評/レ ナ・ドミネリ著・須藤八千代訳
『フェミニスト・ソーシャルワーク:福祉国家・グローバリゼーション・脱専門職主義』
1.社会福祉におけるフェミニスト研究の動向 / 2.本書の内容と特徴
/ 3.日本のソーシャルワークの課題について
書 評/ 吉川真美子『ドメスティック・バイオレンスとジェンダー:適正手続きと被害者保護』
1.本書の目的 / 2.問題の所在 / 3.アメリカのDV政策 / 4.2つのコメント
Ⅱ.アメリカの政策/大統領選挙をめぐる動向
映画評/ 『ドリームガールズ』が意味する「夢」について
1.「ブロードウエイ・ミュージカル」対「映画」 / 2.ストーリー
/ 3.ストーリーの歴史的背景
/ 4.公民権運動の進展
映画評/ 『ミリオンダラー・ベイビー』に見るアメリカの光と影
1.クリント・イーストウッドの注目作 / 2.「女性ボクサー」という存在
/ 3.貧困な母子世帯と社会福祉 / 4.後半の展開
書 評/ バーバラ・エーレンライク著・曽田和子訳
『捨てられるホワイトカラー:格差社会アメリカで仕事を探すということ』
1.「潜入ルポ」という方法 / 2.ホワイトカラー失業者の生活 / 3.不安定化する労働・企業
/ 4.団結し,運動すること
書 評/堤 未果『沈みゆく大国:アメリカ』
1.アメリカの医療改革について / 2.医療保険の現状
/ 3.2つの保険制度:「単一支払い皆保険医療制度」と「公的保険オプション」
/ 4.今後の展開
映画評/アメリカの「島の貧困」を描いた『ウィンターズ・ボーン』
1.映画の特徴とストーリー / 2.映画の製作について / 3.ヒルビリーといわれる人々
/ 4.豊かな社会のなかでの「貧困の再発見」 / 5.映画の結末とその行方
書 評/ J.D.ヴァンス著・関根光宏・山田文訳
『ヒルビリー・エレジー:アメリカの繁栄から取り残された白人たち』
1.誰がトランプ大統領を支持したのか / 2.本書の内容 / 3.ヒルビリーといわれる人たち
/ 4.白人労働者の貧困問題とトランプ大統領の今後
書 評/ エリザベス・ウォーレン著・大橋陽訳
『この戦いはわたしたちの戦いだ:アメリカの中間層を救う闘争』
1.はじめに / 2.トランプ大統領の出現 / 3.アメリカの中間層の創出と崩壊
/ 4.戦うための「基本原則」とは / 5.マイケル・ムーア『華氏119』の主張
/ 6.戦い続けるために
映画評/『ビリーブ:未来への大逆転』最高裁判事,ルース・ベイダー・ギンズバーグがたどった軌跡
1.2019年に公開された2作 / 2.映画のストーリー / 3.最高裁判事に女性が入る
/ 4.最高裁判事に黒人が入る / 5.反トランプのアイコンとして
Ⅲ.世界の趨勢と歴史から学ぶ
映画評/ 『かもめ食堂』に集う,普通の女たちの冒険物語
1.口コミによるヒット / 2.ストーリー / 3.なぜ,フィンランドなのか
/ 4.フィンランドという国 / 5.新しい冒険のはじまり
映画評/ 『ミレニアム:ドラゴン・タトゥーの女』に見る福祉国家スウェーデンの現実
1.スウェーデン製の,スウェーデン語による映画 / 2.映画のストーリー / 3.原作と著者
/ 4.福祉国家スウェーデン / 5.映画に描かれる暴力 / 6.スウェーデンと「女性への暴力」
/ 7.福祉国家のジェンダー課題
映画評/ 『Shall we dance?』の日米比較
1.日米の競作 / 2.シナリオの違い / 3.「ラスト」の違い / 4.女性の現実を描くということ
映画評/ 『隠された日記~母たち,娘たち~』女性解放運動がフランスにもたらしたもの
1.映画の見どころ / 2.ストーリー / 3.1968年の5月革命 / 4.その後の進展
/ 5.なぜフランスでは出生率が高いのか─「フランス型福祉国家」の挑戦
映画評/『オレンジと太陽』が描く,イギリスの児童移民政策を
明らかにするソーシャルワーカーの戦い
1.監督・原作・経過 / 2.ストーリー / 3.イギリスのソーシャルワーカーとは
/ 4.児童移民政策の目的とその後
映画評/『砂の器』ハンセン病をめぐる差別と排除の長い歴史
1.映画のストーリー / 2.松本清張の原作 / 3.捜査の進展と結末
/ 4.ハンセン病をめぐる政策史 / 5.TVドラマとしてリメイクされた『砂の器』
/ 6.ハンセン病をめぐる今日の現状:差別について考える
書 評/ミ シェル・オバマ著・長尾莉紗・柴田さとみ訳
『マイ・ストーリー』
1.本書の成り立ち / 2.子ども時代を過ごしたシカゴの黒人街
/ 3.高等教育へと背中を押したもの
/ 4.オバマから受けた影響─自分が本当にしたいことを仕事にする
/ 5.ホワイトハウスを後にして