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国際コミュニケーションとメディア

東アジアの諸相

編:山本 賢二
編:小川 浩一

紙版

内容紹介

グローバル化といわれている現在の世界状況の中で、国家という枠組みの内側と国家を越えた枠組みにおいて、
マス・メディアを介したコミュニケーションが、
それぞれの国のあるいは国の枠組みを超えた「文化」現象によってどのような影響を受けているのか。
直接、間接の視点からアプローチを行い論じた成果をまとめた。

国際コミュニケーション研究の枠組みの全体像、国から国への国際コミュニケーションの形式である
ODA(政府開発援助)の歴史と意義、中国共産党とジャーナリズムとの関係、
インドネシアの大統領選挙の際の国民・候補者とメディアの関わり、
社会調査データに基づいた日韓両国における国民の意識とメディアの報道姿勢の意味、
タイにおける日米のテレビ番組の放送実態、
「ポップ・カルチャア」としての「オタク」「コスプレ」を事例とした文化の錯綜性・複雑性、
オーストラリアのジャーナリズムの変貌と社会変動、などをテーマにした論考を掲載。

【執筆者】
山本賢二、伊藤陽一、本多周爾、内藤 耕、奥野昌宏、ウォラワン・オンクルタラクサ、小林義寛、
鈴木雄雅、小川浩一

目次

はじめに (山本賢二)

第1章 国際コミュニケーション研究の枠組み (伊藤陽一)
 1 市場原理,または比較優位論
 2 メディア帝国主義/文化帝国主義論
 3 発展段階説

第2章 ODAの過去・現在・未来
 ―日本と欧米の開発援助アプローチの違いを超えて (本多周爾)
 1 ODAの定義、概要と犠相
 2 開発と発展の理論的枠組と基本的な概念の有意性
 3 ODAをめぐる言説と位相の変容と開発戦略の変移
 4 日本のODAの意味とその政策に見る理念と実践
 5 日本のODAに対する批判

第3章 ジャーナリズムの中国モデル
 ―習近平時代の言論空間を中心にして (山本賢二)
 1 習近平の発言と党と政府の動向
 2 中央弁公庁の「当面のイデオロギー領域における状況に関する通報」
 3 「主戦場」としてのインターネット
 4 「ウイグルオンライン」閉鎖
 5 党の指導・外交・国際報道
 6 中国共産党とジャーナリズム教育
 7 「四権」(知る権利,参与する権利,表現する権利,監督する権利)の消長
 8 中国共産党の言論規律

第4章 インドネシアにおけるポピュリズムとメディア (内藤耕)
 1 スハルト後のメディアと政治
 2 インドネシア政治における寡頭支配の構造
 3 2014年大統領選挙とメディア
 4 ネガティブ・キャンペーン
 5 ジョコウィの辛勝とイスラム保守

第5章 日韓関係をめぐる日韓両国民の意識とメディア (奥野昌宏)
 1 日韓関係の動向と日本人の対韓意識
 2 日韓両国民の相互意識の現状
 3 人的往来とメディアの位置
 4 日韓関係とメディアの今後

第6章 タイテレビ業界における米国および日本メディアの影響 (ウォラワン・オンクルタラクサ)
 1 タイメディアの歴史概要
 2 タイに進出した米出メディア・日本メディアの進出経緯およびその影響
 3 タイの児童に対するメディアの影響
 4 研究方法
 5 分析結果
 6 結果からの推論

第7章 「文化(the cultural)」の文脈化
 ―あるいは雑種化と土着化― (小林義寛)
 1 オタク発見―「はじめに」に代えて
 2 日本のポップ・コンテンツの広がり
 3 コスプレの文脈化
 4 グローバルな文脈のなかで―「結び」に代えて

第8章 オーストラリア国家の成立とメディアが果たした役割 (鈴木雄雅)
 1 オーストラリアメディア再考
 2 オーストラリア国家の成立
 3 ナショナリズムの高揚
 4 寡占化の進行と混乱の道、そして崩壊へ
 5 多文化主義とメディア
 6 新聞メディアの凋落、サイバースペース上のメディア
 7 オーストラリア国家とメディア

第9章 まとめに代えて (小川浩一)
 1 各論文の概要と若干のコメント
 2 国際コミュニケーションを考える際の文化の困難性

著者略歴

編:山本 賢二
(やまもと けんじ)元日本大学大学院新聞学研究科・法学部新聞学科教授。
編:小川 浩一
(おがわ こういち)東海大学名誉教授/元日本大学法学部新聞学科教授。

ISBN:9784762029073
出版社:学文社 (GAKUBUNSHA)
判型:A5
ページ数:324ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2019年03月
発売日:2019年03月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHB