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オトナ親子の同居・近居・援助

夫婦の個人化と性別分業の間

著:大和 礼子

紙版

内容紹介

今どきの世代間関係とは?
きょうだい数が減少し、男女平等意識が浸透する現代社会。
 親・義親との付き合い方も着実に変化を遂げている。「夫婦一体」型から、夫・妻それぞれが個人として、
親・義親との関係を模索する時代へ――

いま、「オトナ親子」は、どのような関係を結んでいるのか?
新しい世代間関係のあり様を社会学理論と調査分析から探る!

目次

序 章 今どきの世代関係の複雑さをとらえる

第1章 親と成人子をとりまく社会環境の変化
 第1節 経済と家族のあり方の変化
  経済成長からみる三つの時期 / 働き方の変化 / 家族形態の変化
 第2節 人口学的変化─親子関係の長期化と緊密化
  長寿化 / 晩婚化・未婚化 / 少子化
 第3節 親-成人子関係についての法・制度の変遷
  明治期~第二次世界大戦終了まで─父系の直系家族 / 戦後復興期─核家族
  / 1960~2000年代初めにおける経済的扶養の制度
  / 1960~2000年代初めにおける介護の制度
  / 2000年代後半~─親?成人子関係を再強化する政策
 第4節 ジェンダー関係についての法・制度の変遷
  明治期~第二次世界大戦終了まで─男女不平等 / 戦後復興期─形式的男女平等
  / 高度成長期─男性稼ぎ主型の実質化 / 低成長期─男性稼ぎ主型の部分修正と強化
  / ゼロ成長期─男性稼ぎ主型の揺らぎ

第2章 世代関係についての新しい視点―「夫婦の個人化」
 第1節 親-成人子関係についてのさまざまな理論
 第2節 これまでの研究でわかったこと
  北西ヨーロッパやアメリカにおける研究 / 日本での研究
 第3節 「夫婦は一体」から「夫婦の個人化」へ
  「夫婦は一体」という暗黙の想定 / 「夫婦の個人化」論 / 「女性の親族関係維持役割」論
 第4節 「夫婦の個人化」「性別分業の変化」は世代関係をどう変えたか
  世代関係における「夫婦の個人化」 / 成人子世代における性別分業の変化 / 同居と近居の比較

第3章 夫方同居・近居と妻方同居・近居
 第1節 同居か近居か? 夫方か妻方か?
 第2節 これまでの研究からみた夫方親/妻方親との同居・近居
  夫方同居が多い日本 / 近居や遠居の状況 / 同居の規定要因
  / 夫方同居と妻方同居の規定要因の比較 / 同居と近居の規定要因の比較
 第3節 分析で明らかにしたいこと
 第4節 データと分析方法
  データ・分析対象・分析法 / 変数と分析対象者の基本属性
 第5節 規範志向の夫方同居、ニーズ志向の妻方同居
  規範要因とニーズ・資源要因の効果 / 同居と近居の規定要因 / 妻の高収入の効果
  / 成人子の性別と親・義親との居住関係
 第6節 夫方同居慣行の変容と同居推進政策の意味

第4章 父との同居と母との同居
 第1節 なぜ父との同居と母との同居を比較するのか
 第2節 これまでの研究からみた父との同居と母との同居
  欧米での研究 / 日本での研究
 第3節 分析で明らかにしたいこと
  分析の視点 / 問い
 第4節 データと分析方法
 第5節 「規範」志向の父との同居、「母のニーズ」志向の母との同居
  父・母それぞれとの同居率 / 父との同居と母との同居─主効果のみの分析
  / 父母そろっての同居と単身の親との同居─交互作用効果についての分析
 第6節  親が権威を保ちやすい同居と保ちにくい同居─インタビュー調査より
  同居のあり方と親の権威 / 娘との同居に抵抗感がある母 / 政策への示唆

第5章 成人子から親への援助―「夫婦の個人化」に注目して
 第1節 親・義親への援助は男女でどう異なるか
  「夫婦は一体」という想定の再検討 / 分析で明らかにしたいこと
  / 先行研究にみる親への援助に影響する要因
 第2節 データと分析方法
 第3節 「夫婦の個人化」と「女性の親族関係維持役割」の並存
  クロス集計でみる夫方/妻方バランスの男女差 / 男性は個人化、女性は個人化と親族関係維持役割
  / 妻と夫それぞれの収入の影響 / 他の変数の効果
 第4節 親・義親への援助をとらえる新しい枠組み
  「夫婦の個人化」という視点 / 息子介護にみる「夫婦の個人化」

第6章 親から成人子への援助―援助の受け手としての女性
 第1節 親からの援助の受け取りは男女でどう異なるか
  親がイニシアティブをとる援助 / 分析で明らかにしたいこと
  / 先行研究にみる親への援助に影響する要因
 第2節 データと分析方法
 第3節 親からの援助の受け手としての女性
  「夫婦の個人化」は見られない─クロス集計の結果から / 女性の親族関係維持役割─性別の効果から
  / 妻は稼ぎ手として重視されない─収入の効果から / 他の変数の効果
 第4節 援助をめぐる親世代と子世代のずれ

終 章 多次元的な世代関係を紡ぐ
 第1節 分析結果のまとめ
  問いの確認 / 成人子世代における「夫婦の個人化」 / 親世代における「夫婦一体」でない同居
  / 子世代の妻・夫それぞれの収入の影響 / 同居と近居の規定要因
 第2節 これからの世代関係と求められる支援
  世代関係の多次元性を認識すること / 求められる支援
 第3節 今後の調査・分析のための方法論的な示唆

著者略歴

著:大和 礼子
(やまと れいこ)関西大学大学院社会学研究科・社会学部社会学科(社会学専攻)教授。

ISBN:9784762027376
出版社:学文社 (GAKUBUNSHA)
判型:4-6
ページ数:224ページ
定価:1900円(本体)
発行年月日:2017年09月
発売日:2017年09月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBS
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JHBK