保育所における母親への支援
子育て支援をになう視点・方法分析
著:小川 晶
内容紹介
子育て支援の中核をにない、社会の変化や家族・家庭の変容を捉えながら親を支援し、子育て支援をしてきた「保育所」に焦点をあて、保育所による、母親支援の方途を分析。
保育所には、さまざまな困難をかかえる母親たちが通ってくる。彼女らへの支援はこれまで保育士個々の感覚・経験として蓄積されてきているが、その方法論はなかなか応用できずにいる。そこで本書では、インタビュー調査等により、保育士による母親支援を具体化し、分析・体系化を試みた。
保育所のみならず、こども園、幼稚園、子育て支援センター等における子育て支援実践への礎になる一冊。
目次
まえがき
序 章 保育所での母親への支援を考える
「母」という役割を超えて捉えること
母親への支援をロジカルに検討すること
なぜ母親なのか
母親の孤独
保育現場でのフィールドワークとインタビュー調査
第1章 母親はどのような役割を期待されてきたのか――母親への支援の現状
1‐1 母親への役割期待
1‐1‐1 家族の変容 / 1‐1‐2 性別役割分業 / 1‐1‐3 伝統的母性観
1‐2 母親が抱える問題の捉えられ方
1‐2‐1 育児不安・育児ストレスと母親 / 1‐2‐2 夫の子育て参加と子育ての価値
1‐3 母親への支援の現状と課題
1‐3‐1 母親を支えきれていない政策 / 1‐3‐2 母親が支えられているメディア / 1‐3‐3 ソーシャル・サポート
第2章 保育場面での母親への支援
2‐1 保育所における母親への支援の特徴
2‐1‐1 日常的な生活の場としての保育所 / 2‐1‐2 子育てと仕事の両立を支える / 2‐1‐3 子育てに対する肯定感を育てる
2‐2 保育所がおこなう母親への支援の方向性
2‐2‐1 「保育指導」が対象とするもの / 2‐2‐2 「保護者支援」が対象とするもの / 2‐2‐3 「保育技術」が対象としているもの
2‐3 保育所における母親への支援の課題
2‐3‐1 保育所がもつジェンダー意識 / 2‐3‐2 保育所がもつ母親役割意識
第3章 どのような支援が有効か(1)――保育士による母親への支援に関する調査:調査と分析の方法
3‐1 調査の目的と方法
3‐2 分析方法
3‐2‐1 三つの分析方法
(1) 分析A:子育て課題をもつ母親への支援における母親の捉え方の分析
(2) 分析B:保育士の子育て課題をもつ母親への支援と母親の変容のプロセス分析
(3) 分析C:子育て課題をもつ母親への支援プロセス分析
3‐2‐2 分析方法の妥当性
(1) 母親の役割とバランス
(2) 「複線径路・等至性モデル(TEM)」を用いる意義
3‐2‐3 倫理的配慮
第4章 どのような支援が有効か(2)――保育士による母親への支援に関する調査:分析結果と考察
4‐1 分析結果と導き出した概念の構造
4‐2 各期の分析結果と解説
4‐2‐0 第0期 保育所入所前 / 4‐2‐1 第Ⅰ期 母親への支援に有効な関係の構築 / 4‐2‐2 第Ⅱ期 確実で安定的な関係の形成 / 4‐2‐3 第Ⅲ期 子どもに対する価値観の変容 / 4‐2‐4 第Ⅳ期 「母としての母親」の養育態度の改善 / 4‐2‐5 第Ⅴ期 母親の役割における価値の再認識 / 4‐2‐6 第Ⅵ期 母親の養育態度の改善
4‐3 考察
4‐3‐1 母親の肯定的な実感につながる「子としての母親」への共感
(1) 母親の肯定感な実感
(2) 「子としての母親」への共感
4‐3‐2 母親の役割のバランスの必要性
(1) 母親の役割へのかかわりのタイミング
(2) 自分らしいバランス
第5章 保育所における子育て課題をもつ母親への支援の視点と有効な方法とは――結びとして
5‐1 保育所における子育て課題をもつ母親への支援の視点
5‐1‐1 「子としての母親」にかかわるという視点 / 5‐1‐2 「子としての母親」に包容される「子ども期」と「親子関係での子ども」の視点 / 5‐1‐3 「良い母親像」からの解放という視点
5‐2 保育所における「子としての母親」への支援の固有な方法
5‐2‐1 ハードルの低さを活かした母親へのかかわり方 / 5‐2‐2 チームでの重なり合うかかわり方
5‐3 保育所における子育て課題をもつ母親への支援の課題
5‐4 おわりに
あとがき
引用・参考文献
索 引
ISBN:9784762024931
。出版社:学文社
。判型:A5
。ページ数:128ページ
。定価:1800円(本体)
。発行年月日:2014年12月
。発売日:2014年12月01日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS。