教師教育テキストシリーズ
生活指導-改訂版 13
改訂版
生き方についての生徒指導・進路指導とともに
編:折出 健二
内容紹介
「生活を指導する」のではなく、教師と子どもたちとの共に作る「生活が(子どもたちを)導びく」
という視点に立つ新しい生活指導手引き書。
生活指導のもつ子ども観について、現代社会とかかわらせながら示し、教科指導との関係を、
学びの共同性という視点から掘り下げる。
孤立化しがちな子どもとの共生的関係を創り出す方法を専門的見地から考察。
そして、生活指導の目的でもある市民としての自立について、教育実践の課題に即して全体的に考察し、
そのための教師性を提起する。
現場教師の報告による実践編では、具体的に子どもとどうかかわるのか、現代の教師とは何か、
生活指導においてどういう役割を発揮すべきかがわかりやすく述べられている。
改訂版では、生活指導観や教育方法上の基本的視点は継承して、新たに最近のいじめ問題、
子どもの生き方と進路指導に関する章を設け、さらに「厳しい指導」(ゼロトレランスなど)
のあり方について補うともに、各章ごとにも教育現場にいま求められている課題に照らして
必要な論点を書き加え、これから教職をめざす読者の学習に十分に役立つよう工夫した。
【執筆者】
三輪定宣、折出健二、藤田昌士、山本敏郎、庄井良信、湯浅恭正、楠 凡之、田代高章、間宮正幸、
照本祥敬、今関和子、柏木 修、藤木祥史
目次
序 教師と教育学
第1章 現代の生活指導と子ども観
1 生活指導とは何か
2 生活指導の実践形態
3 活動の公共性と生活指導―参加・共同・自治
4 教師の指導的役割―働きかけるものが働きかけられる
5 地域生活指導の可能性
第2章 子どもの権利と生活指導
1 子どもの権利宣言から子どもの権利条約へ
2 子どもの権利と指導
3 校則の問題
4 子どもの権利条約と生活指導
5 子どもの権利条約を子ども自身に知らせる
補 論 懲戒・体罰、出席停止、ゼロトレランス
1 懲戒と体罰
2 出席停止
3 ゼロトレランス
第3章 今日の学級の意義と生活指導―生活集団と学習集団
1 可視化してきた生活集団と学習集団
2 日本における学級の成立事情
3 第一次生活圏,管理集団,自治集団―生活集団としての学級の3つの側面
4 学びの公共空間の創造―現代的課題に応答する学びの場
第4章 学びの共同性と生活指導
1 人類における「学び」の誕生―その本源的共同性について考える
2 現代教育学は「学び」をどうとらえるか―社会参加による自己物語(self-narrative)の構築
3 競争する学びから共同する学びへ―学びの回復と成長を支援する3つのエピソード
第5章 発達障害児の理解と生活指導
1 発達障害児の世界と生きづらさ
2 生活づくりと生活指導
3 発達障害児と集団づくり
第6章 子ども虐待と生活指導
1 虐待的環境のなかで子どもたちがかかえる「生きづらさ」を考える
―大学の教職課程の3人の学生の感想から
2 児童虐待とは
3 被虐待児が学校のなかで表出してくる問題事象
4 被虐待児に対する指導,援助の課題
第7章 子供の生き方と進路指導
1 日本の子どもの生き方や将来に対する意識の現状
2 進路指導の位置づけ
3 キャリア教育と進路指導
4 これからの進路指導のあり方―社会参加力を育むために
第8章 家庭・地域の問題と教育相談
1 今日の教育相談
2 家庭・地域の問題
3 家庭・地域とのつながり
第9章 市民的自立の課題と教師の指導性
1 「市民的自立」をどうとらえるか
2 市民的自立への教育課題
3 市民的自立を励ます教育実践
4 市民的自立の課題と教師
第10章 いじめ問題と生活指導
1 いじめとは何か
2 いじめの実態と子ども参加
3 生活指導の実践的な課題
実践編1 子どもたちとの出会いと生活指導―ユウタと仲間たち
実践編2 思春期の課題とクラスづくり
実践編3 暴力と非行に取り組む―隆昭とクラスづくり