出版社を探す

ポーランドの中の≪ドイツ人≫

第1次世界大戦後ポーランドにおけるドイツ系少数者教育

著:小峰 総一郎

紙版

内容紹介

新生ポーランドに残留したドイツ人の、ドイツ語ドイツ文化の教育は困難だった。
だが彼らは「ジュネーブ協定」(1922・5・15)に基づきこれを実現した。
著者は国際連盟、ポーランド当局、ドイツ人少数者運動の視座から少数者教育を研究。
「主観原理」(「ドイツ人である」ことの表明)に、
言語とアイデンティティを尊重する現代国際教育の嚆矢を見る。

目次

序 章 本書の意図と構成
 はじめに
 1.「上シュレジエン」問題
 2.少数民族政策
 3.文化自治,主観原理
 4.司法裁判決とその後
 5.日本の中の「外国人」,その教育

第1章 ポーランドに留まったドイツ人―シロンスクにおけるドイツ系少数者教育
 はじめに―問題の所在
 1.ジュネーブ協定とドイツ系少数者教育
  (1)ジュネーブ協定 / (2)混合委員会とカロンデール委員長
 2.学籍登録却下と司法裁判決
  (1)「母語アンケート」と「言語テスト」 / (2)主観原理と客観原理―司法裁判決
 3.「主観原理」の波及,シロンスクの脱ドイツ化
  (1)「主観原理」の波及 / (2)シロンスクの脱ドイツ化
 まとめ―国民国家と少数者教育権

第2章 国際連盟と上シュレジエン―「ジュネーブ協定」(1922.5.15)
 1.シロンスクの人と文化
  (1)民族構成 / (2)文化,宗教
 2.上シュレジエン分割と「ジュネーブ協定」
 3.上シュレジエン学校紛争
 4.資料1「ジュネーブ協定」(1922.5.15)(抄)について

〈資料1〉
「上シュレジエンに関する[独・ポ]ジュネーブ協定」(1922.5.15)[抄]

第3章 ポーランドの国民教育建設―「シロンスク県教育令」(1922.8.21)
 はじめに
 1.シロンスク県教育令まで
  (1)ベーメン,ボヘミア,オーストリア支配
   / (2)プロイセン,ドイツ帝国における「ドイツ化」
 2.シロンスク県とその教育
  (1)ポーランド再興 / (2)シロンスク県の教育
 3.ドイツ系少数者とシロンスク県教育令,その背景
  (1)ドイツ系少数者とシロンスク県教育令 / (2)文相グラプスキー―ワルシャワ政府

〈資料2〉
「シロンスク県教育令」(1922.8.21)

第4章 ドイツの国内少数民族政策
   ―①「ポーランド語使用令」(1918.12.31)
    ②「ポーランド系少数者学校令」(1928.12.31)
 1.「ポーランド語使用令」(1918.12.31)について
 2.ポーランド人のアイデンティティーを求めて
  (1)母語権とポーランド語少数者学校運動
   / (2)ポーランド語プチ学校―私立ポーランド語学校 / (3)少数者学校のネットワーク
 3.「ポーランド系少数者学校令」(1928.12.31)について

〈資料3〉
 ①「ポーランド語使用令」(1918.12.31)
 ②「ポーランド系少数者学校令」(1928.12.31)

第5章 国境を超える「文化自治」
  ―C.G.ブルンス:「少数民族文化自治ライヒ法草案」(1926.3.15)
 はじめに
 1.カール・ゲオルク・ブルンスの生涯
  (1)出自 / (2)少数民族保護運動
 2.エストニアの文化自治
  (1)エストニアのドイツ人 / (2)エストニアの「文化自治法」
 3.「少数民族文化自治ライヒ法草案」(1926.3.15)の成立とその影響
  (1)「少数民族文化自治ライヒ法草案」成立史
   / (2)「少数民族文化自治ライヒ法草案」の内容
 【補遺】ブルンス,シュトレーゼマン,少数者政策

〈資料4〉
 カール・ゲオルク・ブルンス
  「ドイツ国内諸少数民族学校制度規整ライヒ法草案」(1926.3.15)

第6章 学校紛争とその帰結
  ―①「上シュレジエン学校紛争に関わる常設国際司法裁判所判決」(1928.4.26)
   ②「独ポ少数民族宣言」(1937.11.5)
 はじめに
 1.客観基準と主観基準―〈民族〉決定をめぐって
 2.上シュレジエン学校紛争と司法裁判決
  (1)ジュネーブ協定とドイツ系少数者教育 / (2)司法裁判決(1928.4.26)とその後
 まとめ

〈資料5〉
 ①「上シュレジエン学校紛争に関わる常設国際司法裁判所判決」(1928.4.26)
 ②「独ポ少数民族宣言」(1937.11.5)

第7章 国際化と教師
 はじめに
 1.日本の中の国際化
  (1)国際化の実態 / (2)教育問題
 2.ヨーロッパ諸国では―戦後史,教育史研究から
  (1)ドイツ・デンマーク関係から / (2)デンマーク語化政策/ドイツ語化政策
   / (3)「キール宣言」(Kieler Erklärung, 1949.9.26)と少数者教育権
 まとめ―国際化と教師

著者略歴

著:小峰 総一郎
(こみね そういちろう)中京大学名誉教授。

ISBN:9784762024337
出版社:学文社 (GAKUBUNSHA)
判型:A5
ページ数:304ページ
定価:4800円(本体)
発行年月日:2014年03月
発売日:2014年03月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNB