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映像社会学の展開-第2版

第2版

映画をめぐる遊戯とリスク

著:原田 健一

紙版

内容紹介

これまで、映像メディアとしての映画にアプローチする研究は、マス・コミュニケーション研究の中心が、
政治社会的な問題を扱うことが多く、娯楽メディアについて十分に研究されてこなかった。

本書では、ブルーマーの映画調査データを現在の研究水準と、メディア状況のなかで捉え直し、
映像メディアのもつ「娯楽コミュニケーション」としての側面において発現される個々人のもつ
「解釈」の意味に着目し、社会的コミュニケーションの過程のなかで、捉えなおす。
従来のマス・コミュニケーション研究では、あまり触れられてこなかった様々な現象についての新たな論考を提示。

2007年に刊行した第一版に、新たな近年のデータの追加、章などに加筆を施した第2版。

目次

Ⅰ 映像と人との関係
 第1章 映像の人間化
  1 映像を理解する動物
  2 人間になろうとする動物
  3 写真―映像をメディア化する
  4 映画―社会化された映像メディア

 第2章 映像を見る人間―その想像と体験
  1 想像的なものと現実的なもの
  2 文化産業としての映像と遊戯空間としての映像
  3 映像体験の位相
  4 映像とメディア、その普及過程

Ⅱ コミュニケーションのなかの映画
 第3章 映画を見る内的経験
  1 ミードのコミュニケーション論
  2 映画を見て模倣するという行為
  3 日常生活における習慣的行為の破れと映画

 第4章 映画を見ることと模倣すること
  1 恐怖や美的なものを経験しようとする欲望
  2 仮装という遊戯によるリスク回避

 第5章 コミュニケーションとマス・コミュニケーションの関係
  1 社会的コミュニケーションにおける「受け手」
  2 映画論としての『パーソナル・インフルエンス』
  3 コミュニケーションの流れと社会変動
  4 集団の社会的位相

 第6章 シンボルが媒介する映画と流行
  1 集団行動の一つとしての流行
  2 集団行動論の展開
  3 大衆と映画との関係

Ⅲ 社会変動のなかでの映画
 第7章 アメリカ社会と映画
  1 初期映画の風景
  2 移民と映画
  3 新中産階級と映画
  4 文化闘争における検閲と調査
  5 映画というメディアの革新と保守

 第8章 映画調査モノグラフとシカゴ学派社会学
  1 シカゴ学派社会学とモノグラフ
  2 『ホーボー』の社会とその表現
  3 スラッシャー『ギャング』における映画論

 第9章 犯罪の現実と映画―『映画,非行と犯罪』をめぐって
  1 禁酒法時代における社会
  2 映画と現実との新しい関係
  3 映画を見て逸脱的な行為を模倣する過程

 第10章 逸脱としてのサブカルチャー
  1 文化としての逸脱
  2 非行における評判操作と映画
  3 非行のサブカルチャーとそのイメージ

 第11章 親密さの変容と映画―『映画と行為』をめぐって
  1 映画における感覚の変容
  2 外の世界への憧れ
  3 恋人との関係のなかで
  4 性愛をめぐる文化の変容
  5 恋愛映画を一緒に見る若い男女

Ⅳ 現在のメディア環境のなかでの映画
 第12章 重層化する映像メディア
  1 映像メディアの現在
  2 ビデオが結節化する映画とテレビとの新たな領域

 第13章 映像メディアをめぐる逸脱と性
  1 アダルトビデオという領域
  2 性行動の変容とメディア
  3 『冬ソナ』現象と女性

著者略歴

著:原田 健一
(はらだ けんいち)新潟大学人文社会科学系フェロー/元新潟大学人文社会科学系人文科学系列教授。

ISBN:9784762023163
出版社:学文社 (GAKUBUNSHA)
判型:A5
ページ数:272ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2012年10月
発売日:2012年10月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:ATF