米百俵の歴史学
封印された主人公と送り主
著:坂本 保富
紙版
内容紹介
“美談”を超えた“真実”に迫る!
昭和の文豪・山本有三の作品『米百俵』によって広く知られるようになり、
また近年小泉元首相の発言でも注目された、越後長岡藩の「米百俵」の逸話。
本書は、美談としての「米百俵」の史実をあらためて検証し、
「米百俵」にまつわる新たな見地をみいだした。
山本有三に見出されるまで、地元長岡ではまったくといっていいほど省みられていなかった
小林虎三郎の存在、また、この逸話ではまったく注目されない送り主である、
三根山藩の存在。三根山藩とはいかなる藩か?
「米百俵」にこめられた、三根山藩の人々の想いとは……。幕末維新期の長岡藩、
三根山藩をとりまく政治的・経済的な状況の分析をふまえ、学際的に究明した書。
目次
まえがき 「米百俵」の主人公・小林虎三郎とは
第1章 山本有三による史実「米百俵」の作品化
(1) 長岡出身のドイツ文学者・星野慎一との邂逅
(2) 虎三郎に関する調査研究と論文、戯曲の執筆
(3) 単行本『米百俵』の出版―その内容と特徴
第2章 封印された「米百俵」の主人公と送り主
(1) 著作物における虎三郎と三根山藩の欠落
(2) 三根山藩は、なぜ「米百俵」を送ったのか
第3章 「米百俵」を送った三根山藩とは
(1) 幕末維新期の動乱に揺れる三根山藩
(2) 幕末維新期における三根山藩の経済苦境
(3) 「米百俵」を送った三根山藩の精神
(4) 三根山藩を貫く三河武士の精神