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観光まちづくりの力学

観光と地域の社会学的研究

著:安村 克己

紙版

内容紹介

観光まちづくりの成功事例が脚光をあびている。観光まちづくりでパワーをえた地域社会、これは権力を志向しない、
住民の社会運動として、日本で初めての“作為の契機”、しかも新時代を模索する“作為の契機”とみなせると著者は語る。
こうした観光まちづくりとは“なに”か、それは“なぜ”、“どのように”発生したのか。
 本書は、地域社会と観光まちづくりのあり方、その生成の力学を実例研究と理論的考察から社会学的に探求した。
湯布院や長浜の観光まちづくり事例を検討し、その上で観光まちづくりの力学モデルを社会学的に提唱。
新しい時代と地域社会につながる観光まちづくりの理念とその基本指針を提示した。

目次

第Ⅰ部 観光まちづくりの現実
 第1章 観光まちづくりの政策と事例
  1-1“観光まちづくり”という用語
  1-2 観光まちづくり政策形成の経緯
   1-2-1 注目された契機と国の観光政策
   1-2-2 国の観光政策としての観光まちづくり
   1-2-3 観光まちづくり政策の意図
  1-3 観光まちづくりの現実と事例

 第2章 観光まちづくりの事例から見る現実
  2-1 湯布院の事例―自然のまちづくり百年事業構想
   2-1-1 地域の概要と沿革
   2-1-2 湯布院 観光まちづくりの沿革
   2-1-3 契機とリーダーたち
   2-1-4 戦略の構築
   2-1-5 戦略の実践
   2-1-6 湯布院の観光まちづくりの特徴
  2-2 長浜の事例―博物館都市構想と黒壁
   2-2-1 地域の概要と沿革
   2-2-2 契機と戦略
   2-2-3 実践の構造
   2-2-4 実践の社会関係
   2-2-5 長浜の観光まちづくりの特徴
  2-3 観光まちづくりのさらなる探究のために

第Ⅱ部 観光まちづくりの正体
 第3章 観光まちづくりの時代背景と関連動向
  3-1 時代の転換―近代から新時代へ
   3-1-1 近代と近代社会の意味
   3-1-2 近代化がもたらす諸問題
   3-1-3 高度近代社会内部の問題 ―“幸せ”の模索
   3-1-4 新たな時代の模索 ― ポストモダン論と持続可能な開発
  3-2 新時代を探る ―“新しいまちづくり”
   3-2-1“新しいまちづくり”が現れる経緯
   3-2-2“新しいまちづくり”のイメージ
  3-3 新時代と“新しい観光”
   3-3-1 重大な社会現象となった観光
   3-3-2 近代問題としてのマス・ツーリズム問題
   3-3-3 “新しい観光”の登場
   3-3-4 新時代と“新しい観光”の可能性

 第4章 中間考察 ―“観光まちづくり”の理念型構成の基礎考察
  4-1 考察の手続きに関する前提一概念形成と理念型の基礎問題
  4-2 考察の対象に関する前提
   4-2-1 “まち”の概念と範域
   4-2-2 観光まちづくりで“そこにつくるもの”

 第5章 観光まちづくりの力学の理念型
  5-1 時代の転換の力学
   5-1-1 時代が生み出す観光まちづくりのシナリオ
   5-1-2 戦後日本の高度産業化
   5-1-3 日本高度産業社会の仕組みの極限化
   5-1-4 近代批判と脱産業化の動向
   5-1-5 地方社会の高度産業化と脱産業化
   5-1-6 “時代背景”の力学と“観光の役割”
  5-2 新しい観光の力学
   5-2-1 新しい時代を観光まちづくりに吹き込む“新しい観光”のシナリオ
   5-2-2 日本の“新しい観光”の動向
   5-2-3 持続可能な観光の理念を反映する観光まちづくり
   5-2-4 観光まちづくりにおける“新しい観光”の力学
  5-3 社会関係の再構成の力学
   5-3-1 観光まちづくりリーダーが“まち”の社会関係を変えるシナリオ
   5-3-2 観光まちづくりリーダーの登場
   5-3-3 観光まちづくりの“社会関係の再構成”に関する予備考察
   5-3-4 社会関係の再構成 ―“住民参画”と“住民自治”
   5-3-5 根幹の仕掛け ― 持続可能な観光の施策 
   5-3-6 観光まちづくりの弁証法的力学
  5-4 観光まちづくりの力学を表す理念型

第Ⅲ部 観光まちづくりの実践
 第6章 観光まちづくり実践の構想
  6-1 実践の主体 ―「住民」が観光まちづくりの主役である
  6-2 目標 ― 観光まちづくりの目標は持続可能な“まち”である
   6-2-1 目標設定とそれを支える持続可能性の理念
   6-2-2 理想的“まちの構図”と観光まちづくりの実践目標
  6-3 方法 ― 観光まちづくりは持続可能な観光で“まち”をつくる
   6-3-1 観光まちづくりに活用される“新しい観光”
   6-3-2 観光まちづくりの“集客交流”という実践目標
   6-3-3 経済活性化の問題と集客交流

 第7章 観光まちづくり実践の体制
  7-1 組織化とプランニング ― 組織的・計画的に取り組む
   7-1-1 関係者の組織化
   7-1-2 プランニング
  7-2 実践の仕掛け ― 集客交流の仕掛けで元気な“まち”をつくる
   7-2-1 “まち”の魅力づくりの仕掛け
   7-2-2 安全と安心の仕掛け
   7-2-3 利便化の仕掛け
   7-2-4 経済活性化の仕掛け
  7-3 持続可能な運営 ― 取り組みを不断に点検し改善する

著者略歴

著:安村 克己
(やすむら かつみ)せとうち観光専門職短期大学観光振興学科教授/元追手門学院大学地域創造学部地域創造学科教授/元奈良県立大学地域創造学部教授/元鈴鹿国際大学国際学部教授/元北海学園北見大学商学部教授。

ISBN:9784762014758
出版社:学文社 (GAKUBUNSHA)
判型:A5
ページ数:176ページ
定価:1900円(本体)
発行年月日:2006年01月
発売日:2006年01月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KNSG