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中心市街地活性化三法改正とまちづくり

編著:矢作 弘
編著:瀬田 史彦

紙版

内容紹介

三法改正の狙いと課題を、国交省・経産省担当者をはじめ多様な立場から論じ、さらに「広域の都市圏構造をいかに再構築するか」「まちづくり組織はいかにあるべきか」について多数の事例により詳述する。寄稿者:石原武政、中沢孝夫、木田清和、光武顕、中出文平、北原啓司、服部年明、庄司裕、卯月盛夫、三橋重昭ほか多数。

目次

まえがき

1部 法改正のねらいと課題
1・1 まちづくり三法改正のねらいと土地利用の課題
    (大阪市立大学大学院創造都市研究科教授 矢作 弘)
1 まちづくり三法改正の背景
2 まちは急には変われない
3 大型店規制:米国発最新ニュース
4 改正都市計画法をめぐる争点
1・2 中心市街地活性化から見た三法見直しのねらい 
      (経済産業省商務流通G中心市街地活性化室、経済産業省中小企業庁経営支援部商業課)
1 見直しに至った背景
2 見直しの内容
3 今後の進め方
1・3 都市計画法等改正の本当の意味 
    ( 国土交通省国土技術政策総合研究所都市計画研究室長 明石達生)
1 本当の目的は商店街の再生ではない
2 地方分権が目的だった98年の法改正
3 「都市計画法が機能していない」という批判
4 大規模店舗は市町村間の競合問題
5 少数の巨大店舗の甚大なる影響力
6 なぜヨーロッパのようにできないのか
7 都市計画のイニシアチブを取り戻す
8 広域行政庁の関与
9 公共公益施設の郊外移転問題 
10 都市計画提案制度の拡充
11 都市の維持・運営コストを管理する
1・4 人口減少社会における広域都市計画の必要性と課題
     (大阪市立大学大学院創造都市研究科助教授 瀬田史彦)
1 広域政府による大型商業施設の立地規制・調整
2 兵庫県:立地を誘導すべき地域を図示したガイドライン
3 山形県:市町村同士の調整を主眼とした要綱
4 法改正後の都市計画制度の課題
1・5 TMOへの期待と現実
    (関西学院大学教授 石原武政)
1 TMOへの期待と意図
2 なぜうまくいかなかったのか?
3 新たな制度の下で 
1・6 商店街はどのようによみがえるか
    (兵庫県立大学環境人間学部教授 中沢孝夫、 兵庫県議会議員 栗原 一)
1 はじまりは地域へのご恩返し:ボランティア精神
2 山あいの肉屋さんの話:家族経営の強さと限界
3 アメリカ・バークレー市の事例:空家への強いペナルティ
4 新しい法律とまちづくり:求められる当事者の自律

2部 都市圏構造の課題
2・1 福島県商業まちづくり推進条例制定のねらいと広域調整の手法
    (大阪市立大学大学院創造都市研究科教授 矢作 弘)
1 商業まちづくり推進条例の目的と背景
2 大型店広域調整の必要性と方向性
3 「中心地優先」とドイツの「中心地システム」
4 商業まちづくり推進条例の評価 
2・2 尼崎市の商業立地政策
    (尼崎市産業立地課参事 木田清和)
1 尼崎はものづくりのまち
2 ガイドラインはなぜ必要か
3 商業立地ガイドライン
4 実効性を確保するために
5 成果と課題 
2・3 佐世保市への大型店進出問題を振り返って
    (佐世保市長 光武 顕)
1 佐世保市のまちの変遷
2 大型SCの出店計画概要
3 佐世保市のまちづくりの考え方
4 佐世保市の商業の現状
5 今回の大型店出店予定地(相浦地区)
6 出店計画発表以降の市民の動きと佐世保市の対応
7 佐世保市の判断を振り返って
2・4 都市圏構造再構築をめざす長岡市
    (長岡技術科学大学教授 中出文平)
1 拡大指向だったこれまでの経緯とその後に迎えた転換期
2 構造改革会議の提言とその後
3 都市圏再構築を目指して 
2・5 コンパクトシティと街なか居住~青森市を事例に~
    (弘前大学大学院地域社会研究科教授 北原啓司)
1 東北地方のコンパクトシティ論
2 青森市における「街なか居住」の実需 
2・6 交通政策と中心市街地活性化~京都・金沢・青森を例に~
    (まち創生研究所・代表取締役 酒井 弘)
1 京都市の中心部の交通政策
2 中心市街地活性化と交通
3 クルマ依存の高い地方都市はどうあるべきか

3部 まちづくり組織の課題
3・1 TMO㈱伏見夢工房~住民と地域全体をまきこんだまちづくり~
    (大阪市立大学大学院創造都市研究科 山田奈津)
1 厳しい旧まちづくり三法への評価
2 伏見のTMO活動の前史
3 TMOの指定 
4 TMO㈱伏見夢工房の活動
5 TMO活動の成果と課題:住んでよし、訪れてよしの伏見へ
3・2 ㈱まちづくり長野~生活空間をまちなかに集積させる~
    (中心市街地商業活性化アドバイザー 服部年明)
1 中心市街地活性化へ、行政・TMOが口火を切る
2 行政、TMOが口火を切ることで民間が動く
3 一歩ずつ進めるまちづくり、継続できるか
4 まちづくりは、自らが行動せよ
3・3 ㈱金沢商業活性化センター~TMOは街を個性化できたか~
    (金沢工業大学環境・建築学部講師 遠藤 新)
1 タウンマネジメントの構図:金沢TMOがつなぐ二つの協議会
2 ハード整備の成果:魅力ある商業環境の形成
3 ソフト事業の成果:人・組織・街をつなぐTMO
4 個性あるまちづくりを補完するTMO
3・4 ㈱出石まちづくり公社~地域まちづくりの担い手へ~
    (㈱出石まちづくり公社 上坂卓雄)
1 城下町出石の歴史と人、文化
2 出石のまちづくりの歩み
3 まちづくり公社の設立とTMO事業
4 観光協会のNPO法人化とこれからの戦略
3・5 まちづくりAnjo~地域ぐるみの組織づくり~
    (まちづくりAnjo事務局長 鶴田伸也)
1 まちづくりAnjoとは
2 商店街、地域住民、関係者への周知啓蒙
3 まちづくりAnjoの主な主体事業
4 やる気のある商業者を集める「商業塾」
5 今後の活動
3・6 七日町通りまちなみ協議会~都市型観光と商店街の活性化~
    (七日町通りまちなみ協議会副会長 庄司 裕)
1 街がよみがえる
2 TMOの設立、女性・若者との連携
3 歴史観光から都市型観光へ
4 まちづくりの課題
3・7 熊本市中心商店街~マチの素材を活かす地域連携とソフト対応~
    (熊本大学大学院自然科学研究科(建築系)教授 両角光男)
1 若者で賑わう中心商店街 
2 熊本市中心商店街のプロフィール 
3 若者で賑わう商店街の秘密
4 賑わい創出のまちづくりに向けた地域の連携体制構築
5 中心市街地活性化のまちづくりのうねりを作る
3・8 高松丸亀町商店街~商店街による自律的再開発を目指す~
    (四国新聞社編集局報道部記者 山田明広)
1 持続可能な商店街を目指して
2 高松市と丸亀町商店街 
3 5年で一新:丸亀町商店街再開発事業の全容
4 タウンマネジメント・プログラムの策定
5 G街区の行方と今後の課題
3・9  新開地まちづくりNPO~本当に実践されるタウンマネージメント~
    (新開地まちづくりNPO事務局長 古田篤司)
1 新開地まちづくりの意義:タウンマネージメントのフレームを提示
2 神戸・新開地地区の概要
3 地区主導のまちづくり展開へ
4 新開地から見えたタウンマネージメントの実践セオリー
5 果実が得られるターニングポイントに立つ
3・10 横浜元町エスエス会~50年におよぶタウンマネージメントの実践~
    (NPO法人まちづくり協会理事長 三橋重昭)
1 元町商店街の歴史
2 街づくりの取り組みの経緯
3 タウンマネージメントの実践
3・11 自由ヶ丘TMOとまち運営会議~商業者の枠を超えた自治への模索~
    (早稲田大学芸術学校教授 卯月盛夫)
1 自由ヶ丘の沿革
2 商店街の発展と地域の取り組み
3 TMOとまち運営会議:住民自治への試み
4 駅前広場の改善とトランジットモール構想 
3・12 旧居留地連絡協議会~街のブランド化を下支えする企業コミュニティ~
    (㈱地域問題研究所 山本俊貞)
1 近代神戸発祥の地「旧居留地」 
2 企業市民の集まり「旧居留地連絡協議会」
3 企業市民による「街並みづくり」 
4 企業コミュニティが可能とした「安全まちづくり」の計画策定
5 企業市民のまちづくり活動が支える旧居留地の活性化

付録
資料1:社会資本整備審議会 新しい時代の都市計画はいかにあるべきか(第一次答申)概要 
資料2:中心市街地活性化法の改正の概要
資料3:新中活法における基本計画について 
資料4:中心市街地活性化協議会について 
資料5:中心市街地再生の推進:国土交通省の振興方策
資料6:平成18年度 経済産業省 中心市街地支援措置 

著者略歴

編著:矢作 弘
大阪市立大学大学院創造都市研究科教授。1947年東京都生まれ。横浜市立大学卒業後、日本経済新聞社入社。ロサンゼルス支局長、編集委員を経て2002年から現職。社会環境科学博士。著書に『町並み保存運動in U. S. A.』(学芸出版社、1989)『都市はよみがえるか』(岩波書店、1998)『産業遺産とまちづくり』(学芸出版社、2004)『大型店とまちづくり』(岩波新書、2005)など
編著:瀬田 史彦
大阪市立大学大学院創造都市研究科助教授。1972年東京都生まれ。東京大学工学部卒業、東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻修士課程修了、博士(工学)。東京大学先端科学技術研究センター助手、アジア工科大学客員助手、シュトゥットガルト大学客員研究員等を経て現職。著書に『新しい自治体の設計2:都市再生のデザイン 快適・安全の空間形成』(共著、有斐閣、2003)、『東京プロジェクト』(共著、日経BP社、2005)など。

ISBN:9784761531430
出版社:学芸出版社
判型:B5
ページ数:272ページ
定価:3800円(本体)
発行年月日:2006年09月
発売日:2006年09月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TQS