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限界集落の経営学

活性化でも撤退でもない第三の道、粗放農業と地域ビジネス

著:斉藤 俊幸

紙版

内容紹介

広がる廃村危機。活性化か撤退かの二択では国土も食料も維持できない。住民主体の手づくり重視から、PPPによる経営力導入と中規模の加工工場への国の直接投資へ。人口が極限まで縮小しても小さな予算で農地と農村を維持する道は開ける。肉牛の放牧、受精卵、大豆ミート事業など先進事例もすでにある。今こそ決断の時だ。

目次

序 章 限界集落の経営学
(1)地域とビジネスのイノベーション
(2)イノベーションを誘発する
(3)現場・現実から現物を差し出す

第1部 粗放農業によるむらつなぎ

第1章 活性化でも撤退でもない第三の道
1 粗放農業の延長線上に集落が荒廃しない道筋がある
2 放牧をやりたい若者は必ずいる

第2章 適正規模の農業を目指す若者たち
1 適正規模の農業とは何か
2 適正規模の牧場経営の旗を振る先駆者
3 粗放農業と相性が良い新規参入者の非競争性

第2部 新規参入者の受け入れと土地利用型地域ビジネス

第3章 後継者は長老組織からの存在承認を得る必要がある
1 「池田暮らしの七か条」が示唆する地域の思い
2 固い結束に基づく集落組織からはイノベーションは起きない
3 棚田の草刈りで存在承認を得る
4 若者が黙々と働く姿に長老組織が大規模投資を決断
5 むらつなぎ実現のための条件

第4章 イノベーションを決断できるリーダーの育成は難しい
1 多くの集落で地域ビジネスのリーダーと後継者がいない
2 組織が生き残るためにイノベーションがどれだけ重要か
3 衰退と発展の分かれ目にある浜中町農業協同組合
4 イノベーションを理念として引き継ぐ木次乳業の新リーダー
5 イノベーションを起こす当事者がいないと事業の継続は難しい

第5章 地域ビジネスを継承できるリーダーは外にいる
1 「投資と経営の分離」と「経営とオペレーションの分離」がポイントだ
2 経営リーダーは外部人材でも良いのではないか
3 弱いつながりの組織をつくれ

第6章 土地利用型地域ビジネスの実践・計画例
1 土地利用型地域ビジネスとは
2 土佐あかうし牧場クラスター ─ 適正規模農家の誘致
3 受精卵ビジネス ─ 遠隔地からのリーダーの招聘
4 子牛放牧ビジネス ─ 地域商社と牧草栽培農家の連携
5 和牛肉輸出ビジネス ─ 海外に向けたオペレーション
6 大豆ミートビジネス ─ ベンチャー企業の誘致
7 米焼酎ビジネス ─ 酒造専門家を招聘
8 農家独自流通ビジネス

第3部 国の直接投資と公民連携による所得向上

第7章 農村における公民連携
1 民間が主導せざるを得なかったまちづくりの経験
2 農家に投資を決めた大企業
3 資金調達の課題
4 土地利用型地域ビジネスによる所得向上

第8章 国の投資と地域ビジネスによる農地・農村維持
1 内発的発展論の今日的解釈を試みる
2 国も適切なリスクを負い所得倍増を果たす仕組み
3 毎年数十億~百億円の予算枠でむらつなぎは実現できる
4 むらつなぎ実現のための方策

あとがき

著者略歴

著:斉藤 俊幸
地域再生マネージャー、実務家研究者、博士(学術)。
1955年東京都生まれ。芝浦工業大学工学部建築工学科畑研究室卒業、高知工科大学大学院博士後期課程社会人特別コース修了。
地域再生マネージャーとして地域に住み込み活動したことが総務省の地域おこし協力隊のモデルの一つとなり制度化された。買い物難民の存在を日本で初めて問題提起した。
六次産業化委員会(内閣府)、農福連携委員会(農水省)、有人国境離島委員会(内閣府)、などの委員を歴任。近年は総務省地域活性化センターシニアフェローに就任し後進の指導にあたり、地域活性学会において実務家研究者の普及に努めている。
編著に『地域活性化未来戦略』(編著者)『知られざる日本の地域力―平成の世間師たちが語る見知らん五つ星』(分担執筆)

ISBN:9784761528928
出版社:学芸出版社
判型:4-6
ページ数:224ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2024年05月
発売日:2024年05月07日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:KCVD