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ドイツ・縮小時代の都市デザイン

著:服部 圭郎

紙版

内容紹介

産業の衰退と失業率の増加、人口の流出が著しいドイツの地方都市は、空き家の増加や都市環境の悪化に、縮小を前提とした都市政策で対応してきた。建物の保全改修と減築・撤去、アイデンティティの再構築など学ぶべき指針を探る。

目次

はじめに
第1部 縮小都市とは

第1章 日本の都市・地域の縮小の実態と特徴
1・1 人口減少の実態
1・2 マクロ的な視点から見た人口減少の特徴
第2章 ドイツの都市・地域の縮小の実態と特徴
2・1 旧東ドイツにおける人口減少の実態
2・2 旧東ドイツの人口減少の要因
2・3 旧東ドイツの縮小が及ぼした問題
第3章 旧東ドイツの縮小政策プログラム
3・1 シュタットウンバウ・オスト・プログラム
3・2 その他のプログラム

第2部 縮小都市の横顔

第4章 アイゼンヒュッテンシュタット
4・1 概要 ─ ドイツ最初の社会主義の都
4・2 縮小政策 ─ 中心を維持するため周辺から撤退
4・3 成果 ─ 減築で都心部を維持
4・4 都市のサバイバル戦略としての縮小政策
第5章 デッサウ
5・1 概要 ─ バウハウスのある工業都市
5・2 縮小政策 ─ バウハウスのある工業都市
5・3 成果 ─ 市民を巻き込む
第6章 コットブス
6・1 概要 ─ 雇用が激減した工業都市
6・2 縮小政策 ─ 都市構造のコンパクト化
6・3 成果 ─ 都心の魅力向上と空き家率の低減
第7章 ライネフェルデ
7・1 概要 ─ 世界に知られる縮小都市の優等生
7・2 縮小政策 ─ 問題から目をそらさない
7・3 成果 ─ 現実主義になること
第8章 シュヴェリーン
8・1 概要 ─ もっとも人口が少ない州都
8・2 縮小政策 ─ 再生のための空間づくり
8・3 庭園博覧会の活用
8・4 成果 ─ 進展するコンパクト化・
第9章 ホイヤスヴェルダ
9・1 概要 ─ 縮小が激しい社会主義の計画都市
9・2 縮小政策 ─ 周縁部を撤去し「核」を残す
9・3 成果 ─ 徹底した減築が再生の道を照らす
第10章 ライプツィヒ
10・1 概要 ─ 過大な期待とその後の失望
10・2 縮小政策 ─ 縮小という事実を認める
10・3 成果 ─ 内科的アプローチで都市を治癒
第11章 ルール地方
11・1 概要 ─ 衰退するかつてのドイツ経済の牽引車
11・2 縮小政策 ─ 新しいイメージの創出
11・3 成果 ─ 新しいアイデンティティの創造

第3部 縮小都市の課題と展望

第12章 縮小都市が社会環境に及ぼす影響
12・1 都市構造の再編
12・2 都市機能の再編
12・3 機会の喪失
12・4 アイデンティティの希薄化
第13章 縮小都市が人に与える影響
13・1 合意形成のむずかしさ
13・2 「縮小=マイナス」という先入観
13・3 縮小への不安
13・4 コミュニティの脆弱化
第14章 ドイツから学ぶ縮小の都市デザイン
14・1 都市のコンパクト性の維持
14・2 ハードではなくソフトの社会基盤を充実させる
14・3 地域アイデンティティ・地域文化の強化
14・4 地元に考えさせる ─ 地方分権の勧め
14・5 行政の役割の強化 ─ 市場への介入
14・6 縮小を機会として捉える
14・7 ステークホルダーとの協働を図る
14・8 移民の受け入れ
豊かさの意味を再考し、縮小をデザインする

おわりに

著者略歴

著:服部 圭郎
1963年に東京都生まれ。東京そしてロスアンジェルスの郊外サウスパサデナ市で育つ。
東京大学工学部を卒業し、カリフォルニア大学環境デザイン学部で修士号を取得。某民間シンクタンクを経て、2003年から明治学院大学経済学部で教鞭を執る。
2009年4月から2010年3月にかけてドイツのドルトムント工科大学客員教授。現在、明治学院大学経済学部教授。
専門は都市計画、地域研究、コミュニティ・デザイン、フィールドスタディ。
主な著書に『若者のためのまちづくり』『道路整備事業の大罪』『人間都市クリチバ』『衰退を克服したアメリカ中小都市のまちづくり』『サステイナブルな未来をデザインする知恵』『ブラジルの環境都市を創った日本人: 中村ひとし物語』。共著に『下流同盟』『脱ファスト風土宣言』『都市計画国際用語辞典』『Global Cities Local Streets』など。共訳書に『都市の鍼治療』『オープンスペースを魅力的にする』。技術士(都市・地方計画)。

ISBN:9784761526207
出版社:学芸出版社
判型:A5
ページ数:240ページ
定価:2600円(本体)
発行年月日:2016年03月
発売日:2016年04月06日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TQS