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なぜイタリアの村は美しく元気なのか

市民のスロー志向に応えた農村の選択

著:宗田 好史

紙版

内容紹介

各地に広がる美しい風土と香り高いワイン、ふくよかなチーズ、香ばしく調理された肉や魚…イタリア農村の魅力は実はこの数十年で創られたものだ。村づくりの切掛けとなった四つの出来事と三つの変化を物語ることで、一見バラバラに起こったように見える動きが、地域でいかに一つに紡ぎ上げられたか、その秘密を解き明かす。

目次

第1部 きっかけとなった四つの動き

第1章 農村観光の普及をめざしたアグリツーリスト協会の誕生 
1 急増するアグリツーリズモ 
2 冷たい視線の中での誕生 
3 複数の農民組織が進めた全国展開 
4 スコットランドとフランスから学んだもの 
5 観光地型のチロルからトスカーナの農園観光へ 
6 誰が農村での休暇を楽しみ始めたか 
7 都会の顧客を引きつけたI、Uターン女性の経営 
第2章 ローマ市民による反マクドナルドデモとスローフード 
1 スローフード運動の誕生 
2 有機農業を後押しした品質保証制度 
3 原産地呼称制度とエノガストロノミー観光 
4 食生活の変化に呼応したブランド農業への変身 
第3章 スローライフ志向に応えた地方都市のスローシティ運動 
1 スローフードがスローシティに展開したわけ 
2 スローな地方小都市の人口が伸びている 
3 スローな地方都市が元気なわけ 
4 市民が果たした役割 
5 衣食住に広がるスローライフ 
第4章 オルチャ渓谷の住民による世界遺産の登録 
1 厳しくて柔軟な農村部の景観保護 
2 始まりは歴史的市街地から 
3 農村部に広がった景観計画 
4 地元主導の世界遺産登録 
5 土地所有者が規制を受け入れたわけ 

第2部  村が受け止めた三つの変化 
第5章 量から質へのEU農業政策の転換 
1 遅れたイタリアの農業と農村 
2 戦後の不十分な農地改革がもたらした人々の大脱走 
3 欧州経済共同体による自由化と所得補償・価格維持政策 
4 所得補償と過剰生産の悪循環を断つデカップリング政策への転換 
5 地域資源を豊かにした環境保全のための農地転換政策(セットアサイド) 
6 地元で総合化され地域づくりに活かされる農業政策 
第6章 マスツーリズムからゆったりを求める大人の観光へ 
1 成熟したバカンスは田園に、そしてアグリツーリズモに向う 
2 都市観光から農村観光へ力点を移したEUの観光政策 
3 ユーロフォリア時代の観光客急増 
4 混雑した有名観光地を嫌った国内・EU内の観光客 
5 都会人をうまく受入れた農村 
第7章 中央からの自立と村づくりの主役の多様化 
1 昔ながらに暮らす人と挑戦する人が共生する社会 
2 混乱する政治が生んだ地域に自立して生きる政治家 
3 農村社会を変えた女性たち 
4 農業組合の乱立が生んだ小さなグループの自由な主体性 
5 農地が市民のために開かれ、美しく元気な村づくりが始まった 
6 イタリアから日本の農業を見る

革新を続けた村人たちの勇気

註、年表 

著者略歴

著:宗田 好史
1956年浜松市生まれ。法政大学工学部建築学科、同大学院を経て、イタリア・ピサ大学・ローマ大学大学院にて都市・地域計画学を専攻、歴史都市再生政策の研究で工学博士(京都大学)。国際連合地域開発センターを経て、1993年より京都府立大学准教授、2012年より同教授。国際記念物遺産会議理事、東京文化財研究所客員研究員などを歴任。著書に、『にぎわいを呼ぶイタリアのまちづくり─歴史的景観の再生と商業政策』(学芸出版社、2000年)、『京都観光学のススメ』(共著、人文書院、2005年)、『中心市街地の創造力─暮らしの変化をとらえた再生への道』(学芸出版社、2007年)、『町家再生の論理─創造的まちづくりへの方途』(学芸出版社、2009年)、『創造都市のための観光振興―小さなビジネスを育てるまちづくり』(学芸出版社、2009年)などがある。

ISBN:9784761525361
出版社:学芸出版社
判型:4-6
ページ数:240ページ
定価:2100円(本体)
発行年月日:2012年08月
発売日:2012年08月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:KCVD