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ナラティヴ・アプローチによる グリーフケアの理論と実際

人生の「語り直し」を支援する

著:水野 治太郎

紙版

内容紹介

  大切な人との絆、かけがえのない過去の記憶。
  語り直されるストーリーによって、
  喪失がもたらす贈り物に気づくとき、
  人生の再構築が始まる。
 
 喪失体験による深い悲しみ(グリーフ)を抱える人に対し、従来の支援では、共感的な関わりにより傷を癒すことが重視されてきた。本書ではさらにその先、遺された人が未来に向かって歩き出すことを目指す、語り(ナラティヴ)を通じたアプローチを提唱する。
 
 著者は大学で臨床人間学を教える傍ら、22年にわたり、グリーフケアの実践に従事してきた。
 本文中には、著者主宰による「痛みを分かち合う集い」の事例も多く登場する。
 喪失の語りが徐々に変化し、人生の輝きに光が当てられてゆくプロセスからは、「癒し」を超えた、生きることへの「希望」を読み取ることができる。

目次

はじめに

第1章 グリーフケアの目標――語りに寄り添う

 1.グリーフケアの目標――悲嘆主義とナラティヴ・アプローチの支え合い
 2.語る意味を考える
 3.喪失体験者の語りに寄り添う意味
 4.グリーフケアへの疑問
 5. まとめ

第2章 グリーフケアの公共性

 1.悲嘆を語る・聴くことの公共性
 2.安心安全な地域づくりのための活動  
 3.グリーフ教育の具体的な内容

第3章 ナラティヴによるグリーフケア実践
 1.自然主義的な語り 
 2.人生のリ・メンバリング
 3.ナラティヴ的傾聴法

第4章 問題を外在化する意味と実践法

 1.外在化する意味とねらい
 2.グリーフケアの場面で使える外在化する会話法
 3.「もう一つのストーリー」探し
 4.まとめ――外在化のねらい

第5章 ストーリーの語り直し(再著述)の実際

 1.語り直しの条件――脱構築・脱定説
 2.グリーフケアの中のスピリチュアルケア 
 3.語り直しの意味と実例
 4.語り直しと人間的成長・成熟
 参考:グリーフケアの使命を担う受講生の感想
   「ナラティヴ・アプローチによるグリーフカウンセリング講座を受講して」 宮城県石巻市 木村直隆
   「グリーフケア従事者としての初体験の”こころ模様”」  東京都 徳永幸子

グリーフケア参考文献

付:ナラティヴ・アプローチ実践のためのエッセンスを学ぶ—―当時者の苦しさや辛さがどのように構成されるのかを理解する
  臨床心理士 生田 かおる

おわりに

ISBN:9784760830374
出版社:金子書房
判型:A5
ページ数:228ページ
定価:2600円(本体)
発行年月日:2017年07月
発売日:2017年07月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKM