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DOJIN Academic Series

抗酸化の科学

酸化ストレスのしくみ・評価法・予防医学への展開

編:大倉 一郎
編:小澤 俊彦
編:河野 雅弘

紙版

内容紹介

本書は,酸素と活性酸素・フリーラジカルによって引き起される酸化ストレス傷害を抑制する反応を抗酸化反応と解釈して,広い角度から解説するものである.活性酸素・フリーラジカルが,どこで,どのように産生し,生体傷害がどのように引き起こされるか,一方,酸化ストレス傷害を,どのように防御し,恒常性を維持しているかを解説する.さらに,体内に誘導されている抗酸化酵素や抗酸化タンパク質について理解を深め,かつ,体外から摂取することで予防医学的な役割を担っている抗酸化物質であるトコフェロール,ビタミンK,ビタミンAなどが狭義の抗酸化物質や,広義の抗酸化作用を示すアスコルビン酸やポリフェノールや,アミノ酸類,チオール化合物など還元剤として作用する物質などについて,正しい解釈とわかりやすい内容でまとめる.

目次

まえがき/カラー口絵/Overview 抗酸化物質の歴史と概観                      
第Ⅰ部 酸素活性種の科学
第1章 酸素活性種による酸化ストレス傷害のしくみ(酸化ストレス反応を惹起する酸化活性種の定義と役割/生体傷害を惹起する酸化ストレス反応/酸化ストレス反応で生成する体内物質/酸化ストレス反応を抑制する抗酸化機構の定義と機能)
第2章 酸化ストレス反応を誘起する無機媒体(気体分子,水)の役割(電子媒体としての役割を担う酸素/フリーラジカルとしての性質をもつ気体分子/気体分子を運搬する水の構造と役割/水の機能に関係する解離イオンの生成機構)
第3章 酸素活性種を生成させる物理・化学的な因子(酸素活性種の物理的な成因(I)/酸素活性種の物理的な成因(II)/酸素活性種の化学的な成因(有機物質)/酸素活性種の化学的な成因(無機イオン:金属イオン))
第4章 酸素代謝の機構(体内への酸素の取り込みと排出のしくみ)
(どのようにして体内に酸素は運搬されるのか/大気酸素の血液への取り込み(ヘモグロビン)/血液から組織への酸素運搬(ミオグロビン)/組織水に溶解する酸素(生体水)/酸素から二酸化酸素への変換(エネルギー代謝機構)/二酸化炭素しての酸素の体外放出(ヘモグロビンとの結合)/窒素酸化物の尿として体外排出(アンモニアと水としての排出))
第5章 酸化ストレス反応を誘起する活性窒素種の役割(活性窒素種の特徴/活性窒素の生成機構/活性窒素の生理的な役割/活性窒素で惹起される酸化反応/活性窒素を消去する抗酸化物質) 
第Ⅱ部 抗酸化反応の測定
第6章 酸素活性種(活性酸素,活性窒素)の計測方法(酸素/スーパーオキシド/ヒドロキシルラジカル/過酸化水素/一重項酸素/一酸化窒素と窒素酸化物/過酸化ラジカルの消去/金属酸化物/生体内抗酸化物質)
第Ⅲ部 活性酸素種・活性窒素種の反応
第7章 酸素活性分子種(活性酸素・活性窒素,金属イオン)の発生系(活性酸素・フリーラジカルとは何か?/活性な酸素分子種の特徴?/過酸化酸素によって酸化ストレス反応が惹起される機構/酸化活性な気体分子とは/鉄,銅,亜鉛,マンガン,クロム,チタン)
第8章 生体内で活性酸素・活性窒素の発生する酵素系(活性酸素の生成系/活性窒素の生成系(アルギニン,一酸化窒素合成酵素/金属酸素付加体の生成系(チロシナーゼ,p450)/金属酸化酵素(過酸化水素,酸素,水酸化酵素:HRP)/一重項酸素の産生系(次亜塩素酸,ミエロペルオキシダーゼ/体内酸素を制御する機構(ヘモグロビン,ミオグロビン)
第 Ⅳ部 抗酸化物質の性質と機能
第9章 酸化ストレス傷害を制御する抗酸化酵素の性質と機能(グルタチオン還元酵素(還元型グルタチオン)/グルタチオン酸化酵素(酸化型グルタチオン)/カタラーゼ/チオレドキシン)
第Ⅴ部 酸素活性種の制御と医療への応用
第10章 活性酸素・フルーラジカル障害を抑制する医薬品(糖尿病・糖尿病疾患の発症を抑制する薬品(アルプリノール)/過剰免疫反応を抑制する薬(酵素NADPH反応の抑制する薬)/虚血・再灌流障害を抑制する薬(ラジカット)/肝炎・肝硬変を抑制する薬品(過酸化LDLを低減する薬)/皮膚疾患を抑制する薬品/漢方製剤による活性酸素消去)
第11章 活性酸素・活性窒素で惹起される病気(心筋梗塞,脳梗塞/胃がん,肝臓がん/パーキンソン病,アルツハイマー/皮膚の炎症と皮膚がん/糖尿病,糖尿病の合併症(腎不全,抹消血管障害,眼障害)/高血圧症/白血球の活性化(アレルギー疾患)/免疫不全)
第12章 予防医学(酸化ストレス傷害を予防する食事の摂取)(プリン体摂取と活性酸素/糖質の摂取と活性酸素/脂質の過剰摂取と活性酸素/アミノ酸の摂取と活性酸素/ミネラルの摂取と生体作用)
第VI部 天然由来の抗酸化物質
第13章 酸化ストレス反応を抑制する抗酸化物(ビタミンC/ビタミンE/ビタミンB類/ビタミンA/ビタミンK/カロテノイド類)
第14章 青果物の持つ抗酸化機能(はじめに/青果物中にある抗酸化機能をもつアスコルビン酸とトコフェロールの役割/研究対象となった青果物/サンプル調製と活性酸素消去測定法/野菜の示す酸化ストレス消去活性値の統計処理と活性値の規格化/スーパーオキシドアニオンラジカルとDPPH消去活性・ORACの測定値の相関/アスコルビン酸を使った活性酸素消去活性の規格化/活性値の相関から見えてくる野菜の傾向/まとめ)
あとがき

ISBN:9784759814200
出版社:化学同人
判型:A5
ページ数:336ページ
定価:7400円(本体)
発行年月日:2019年08月
発売日:2019年08月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MB