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CSJカレントレビュー

高機能性金属錯体が拓く触媒科学

革新的分子変換反応の創出をめざして

編:日本化学会

紙版

内容紹介

新反応開発においては,新しい金属錯体触媒の創製が鍵を握っており,現在に至るまで多種多様な金属錯体が合成反応に利用されてきた.また,現在工業的にも利用されている汎用的な錯体触媒は,そもそもの研究の端緒は独創的な配位子の設計であるものが多く,それが発展・展開して実用化へと至ったものである.こうした観点から,省エネルギー,資源の有効利用等の要求に応えうる,次世代の物質合成を支える分子変換を実現するためには,新しい配位子設計に基づく独創的な機能性金属錯体を創製することが鍵を握るものと考えられる.本書では,現在最先端で新しい高機能性金属錯体の創製に基づいて,独創的な触媒反応開発を目指して研究を行っている我が国の研究者の成果をまとめて系統的に紹介する.

目次

第Ⅰ部 基礎概念と研究現場
1章 Interview:フロントランナーに聞く(座談会)
宇都宮 賢博士(三菱ケミカル株式会社),荘司 長三教授(名古屋大学),鷹谷 絢准教授(東京工業大学),中尾 佳亮教授(京都大学),聞き手:岩澤 伸治教授(東京工業大学)
2章 高機能性金属錯体を知るための基礎
Basic concept-1:配位子の種類と性質,および錯体の構造と反応性 山下 誠(名古屋大学)
Basic concept-2:金属−配位子協働作用 藤田 健一(京都大学)
Basic concept-3:多核錯体中の遷移金属原子間の相互作用 高尾 俊郎(東京工業大学)
Basic concept-4:生体反応場の特徴と金属錯体の性質の融合による触媒機能の創発 松尾 貴史(奈良先端科学技術大学院大学)
3章 History and Future:有機金属化学の歴史と将来展望 小宮 三四郎(東京農工大学名誉教授)
第Ⅱ部 研究最前線
1章 ピンサー型錯体を用いる有機合成反応の新展開 鷹谷 絢(東京工業大学)・岩澤 伸治(東京工業大学)
2章 遷移金属錯体による触媒的アンモニア生成反応の開発 西林 仁昭(東京大学)
3章 高機能性金属錯体によるカルボン酸の水素化 吉岡 頌太(名古屋大学)・斎藤 進(名古屋大学)
4章 レドックス活性配位子の特性を活かした前周期遷移金属錯体による分子変換 劒 隼人・真島 和志(大阪大学)
5章 金属-配位子協働による水素-典型元素結合の切断と形成 楠本 周平(東京大学)・野崎 京子(東京大学)
6章 企業における均一系触媒反応の実際 青島 敬之(三菱ケミカル株式会社)・田中 善幸(三菱ケミカル株式会社)・宇都宮 賢(三菱ケミカル株式会社)
7章 電子的にフレキシブルな配位子のオレフィン多量化反応への展開:重合および選択的三量化 藤田 照典(三井化学株式会社)・中野 隆志(三井化学株式会社)・石井 聖一(三井化学株式会社)・市川 真一郎(三井化学株式会社)
8章 キラル多核金属錯体を用いる触媒的不斉合成 松永 茂樹(北海道大学)・穴田 仁洋(武蔵野大学)
9章 ルイス酸点含有錯体による分子変換 中尾 佳亮(京都大学)
10章 配位不飽和な二核ルテニウム錯体による分子変換 竹本 真・松坂 裕之(大阪府立大学)
11章 生体触媒反応場の制御と高難度酸化反応 荘司 長三(名古屋大学)
12章 バイオハイブリッド触媒による重合反応:βバレル型タンパク質反応場の利用 林 高史(大阪大学)・小野田 晃(北海道大学)
13章 水素分子の活性化と分子燃料電池 小江 誠司(九州大学)
14章 Bio-relevantな金属イオンを含む酸素発生錯体触媒の開発 近藤 美欧(大阪大学)・正岡 重行(大阪大学)
15章 計算化学が先導する酵素触媒反応の設計 堀 優太(筑波大学)・塩田 淑仁(九州大学)・吉澤 一成(九州大学)
16章 デンドリマーを精密反応場とするサブナノ粒子の合成と機能 田邊 真(東京工業大学)・山元 公寿(東京工業大学)
17章 多孔性固体配位子 前川 佳史(株式会社豊田中央研究所)・稲垣 伸二(株式会社豊田中央研究所)

第Ⅲ部 役立つ情報・データ
① この分野を発展させた革新論文38/② 覚えておきたい関連最重要用語/③ 知っておくと便利!関連情報

ISBN:9784759813975
出版社:化学同人
判型:B5
ページ数:224ページ
定価:4200円(本体)
発行年月日:2020年03月
発売日:2020年04月29日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PNR