出版社を探す

格差と不平等を乗り越える 教育事始

著:外川 正明

紙版

内容紹介

格差と差別を生みだす不平等社会で、子どもたちの間に生まれる教育格差をいかに乗り越えるか? 教員がなすべきことは何か? 教育の原点に立ち戻るとは? 京都の小学校で解放教育を積み重ねてきた著者が、若い教師たちに送るメッセージ。

目次

はじめに

Part1 お兄ちゃん先生と呼ばれてー新採教員の教育実践
 新採二日目に知ったランドセルのなか
 勉強に負けない子どもを
 「学力」のとらえ方に悩む日々
 しんどい子どもに焦点をあてる授業とは―初めての公開授業
 「先生、メイシンってなに?」
 荒れていく子どもたちの心のなかは
 「非行は宝」の意味
 父と娘の小学校三年生の詩
 生活背景を知ることで生まれる授業の工夫

Part2 この町のこと、もっと知りたいー子どもたちと学んだ地域教材
 教師が毅然とした姿勢をしめすとき
 本当の思いを掲載できなかった「学級通信」
 寄り添うとはなんなのか―チエさんとの再会から
 「お兄ちゃんと呼ばれて照れくさかったけど……」
 「なんで、うちらの町内だけ……」
 鹿の子絞りでひしゃげた爪
 日雇いでしか雇われなかったのはなぜ
 竹田の子守唄との再会
 竹田の子守唄に込められた思い
 竹田の子守唄を教材に

Part3 本当の思いを伝えたいーみずからの立ち位置を問われて
 初めての全同教報告で突きつけられた言葉
 「うちらの町内の人、みんなのことやろ!」
 「なんでお姉ちゃんがこんな目に……」
 思いを語り、思いを返す「生き方宣言」
 ともに差別をなくす仲間として
 「私が悔しかったのは……」
 出会いは残念なことから始まったけれど
 「無知」を克服し、未来への一歩を

Part4 学力格差をどう乗り越えるか
 学力格差の背景にあったもの
 学力格差を乗り越える道すじ
 点数に一喜一憂するのではなく
 格差を乗り越えるための家庭学習
 家庭に条件はあるのか
 学習の自立をめざして
 家庭学習のための5W1H
 学習課題の設定
 残るW・HともうひとつのW

Part5 道徳教育と人権教育―あなたの実践はどっち?
 「道徳科」がいじめを解決するのか
 国語の授業と道徳の学習
 道徳と人権学習の根本的ちがい
 「修身」と酷似する「私たちの道徳」
 同和教育の先駆者の方々の思い
 タテマエを乗り越える力のある教材
 教材を深く理解する視点
 私たちがなすべきことは……

Part6 「いま」「ここ」にある部落問題にむきあう教育とは
 部落差別とはなにか
 「名乗ること」と「暴くこと」
 ネットで広がる差別の実態
 行政が部落を指定したから?
 名乗る生き方を選択した人々
 身元調査の原簿となった戸籍
 だれも疑問に思わなかった就職差別
 統一応募用紙の闘い
 差別を商う「部落地名総鑑」
 「部落差別解消推進法」と私たち

あとがきにかえて
 教職四〇年を終えて

著者略歴

著:外川 正明
京都市生まれ。京都市の小学校教員として同和教育に取り組み、京都市総合教育センター、京都教育大学。公立鳥取環境大学に勤務。現在、京都教育大学ならびに公立鳥取環境大学の名誉教授、世界人権問題研究センター登録研究員など。

主な著書
『部落史に学ぶ―新たな見方・考え方にたった学習の展開―』解放出版社 2001
『教育不平等―同和教育から問う「教育改革」―』解放出版社 2002
『部落史に学ぶ2―歴史と出会い未来を語る多様な学習プランー』解放出版社 2006
『元気のもとはつながる仲間―解放教育の再生をめざして―』解放出版社 2009
共著『人権教育総合年表』明石書店 2013 他

ISBN:9784759220407
出版社:解放出版社
判型:4-6
ページ数:256ページ
定価:1600円(本体)
発行年月日:2019年07月
発売日:2019年07月08日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNA