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人体のメカニズムから学ぶ臨床工学

循環器治療学

監:的場 聖明
編:白山 武司
編:八木 克史

紙版

内容紹介

本書は臨床工学技士養成校の学生さんを対象としたサブテキストである。
臨床工学技士は高度な医療機器を扱うプロフェッショナルであり,医学的知識と工学的知識の両方を併せもたなければならない。また,近年では取り扱う医療機器の高度化,業務内容の拡大などにより,従来どおりの知識では対応することができず,医学的知識においても病態生理を絡めた知識が必要となる。本書ではこのような現状を踏まえ,臨床工学技士の代表的な業務のうちの,心臓カテーテル業務,人工心肺業務,補助循環業務に必要な知識を病態生理を絡めて解説している。
また,欄外に「用語アラカルト」や「補足」を設け+αの知識を掲載するとともに,豊富な図表を用いて視覚的にも理解しやすいレイアウトとした。さらに,一通り学習した後,きちんと知識を習得できたかどうか確認するための「まとめのチェック」を章末に設けている。
ぜひ,本書を通じて臨床にもつなげられる臨床工学の知識を身につけてほしい。

目次

Chapter1 人体のメカニズム
01 心臓の構造   白山武司
 心臓の外観
 心臓の内面
 弁の構造
 心臓上方の大血管
  まとめのチェック
02 血液循環(体循環と肺循環)   齊藤暁人・小室一成
 体循環と肺循環
 収縮期血圧と拡張期血圧
  まとめのチェック
03 冠動脈の解剖生理学的機序   芳川裕亮・塩見紘樹・木村 剛
 冠動脈の解剖
  ・大動脈と冠動脈の分岐と構造(AHA 分類を含む)
  ・右冠動脈
  ・左冠動脈
 冠動脈の生理
  まとめのチェック
04 心電図の発生機序   速水紀幸・村川裕二
 電位の発生とその計測
  ・静止膜電位
  ・活動電位
  ・電位の計測
 心電図記録
  ・標準12 誘導心電図
  ・標準肢誘導とEinthoven の正三角形
  ・単極誘導
  まとめのチェック
05 刺激伝導系   永瀬 聡・草野研吾
 はじめに
 洞結節
 房室結節
 ヒス束
 右脚,左脚
 プルキンエ線維
  まとめのチェック
06 徐脈性不整脈の機序   南口 仁・坂田泰史
 徐脈とは
 洞不全症候群
  ・概念
  ・分類
  ・治療
 房室ブロック
  ・概念
  ・分類
  ・治療
  まとめのチェック
07 頻脈性不整脈の発生機序   柳澤 哲・室原豊明
 総論
  ・異常自動能
  ・撃発活動(トリガードアクティビティ)
  ・リエントリー
 各論
  ・期外収縮
  ・発作性上室性頻拍
  ・心房細動
  ・心室頻拍
  まとめのチェック
08 心肺停止状態の機序   日浅謙一・筒井裕之
 心肺停止とは
 心臓のポンプ機能と心停止
 心停止の分類
  ・心停止の4 分類
 心停止の原因疾患
  ・心停止の原因となりうる病態
  まとめのチェック
09 心不全の機序   日高貴之・木原康樹
 心不全とは
 心臓の構造・機能障害の原因
 代償機転
  ・ Frank-Starling の機序
  ・左室圧容量曲線
  ・交感神経活性化
  ・ Frank-Starling の機序と交感神経活性化
  ・心拍出の再分配
  ・慢性期の心筋リモデリング
 心不全への移行
  まとめのチェック

Chapter2 循環器治療領域の基礎知識と基本業務指針
01 心・血管カテーテル業務   中川孝太郎
 はじめに
 心・血管カテーテル室にある医療機器
 事前準備
 ポリグラフやラボ装置を用いた検査と治療
 画像処理装置を用いての診断
 清潔補助業務
 被ばく対策
 急変時や急患への対応
  ・急変時
  ・急患
 不整脈関連業務
 心臓以外のカテーテル業務
  ・末梢血管検査・治療業務
  ・脳血管関連業務
 保守管理
  ・日常点検
  ・定期点検
  ・定期点検計画書の作成
 その他
  ・カンファレンスへの参加
  ・医療機器導入時における導入計画,機種選定などへの参画
  ・物品適正使用の徹底
  ・患者確認の徹底
 心・血管カテーテル業務でのおもなトラブルと対処方法
 おわりに
  まとめのチェック
02 ペースメーカ・ICD 業務指針   綿引哲夫
 はじめに
 旧業務指針の背景から基本業務指針2010 への変更
 ペースメーカ・植込み型除細動器業務指針
 おわりに
  まとめのチェック
03 集中治療基本業務指針   木村政義
 業務指針とは
 集中治療領域での基本業務指針
 循環器治療に関する業務指針
 IABP 業務の留意事項
 VA-ECMO/VV-ECMO 業務の留意事項
 医師の指示に疑義がある場合
  まとめのチェック
 
Chapter3 循環器治療の対象となる疾患の解剖・生理と処置で使用される医療機器の構造・役割
01 心臓カテーテル検査と治療
 狭心症と心筋梗塞   田代英樹・簑田英明
  ・狭心症(AP)
  ・急性心筋梗塞(AMI)
  まとめのチェック
 CAG(心臓カテーテル検査)とPCI(心臓カテーテル治療)とPTA(経皮的血管拡張術)
    坂倉建一・小久保 領
  ・ CAG(心臓カテーテル検査)
  ・ PCI(心臓カテーテル治療)
  ・ PTA(経皮的血管拡張術)
  まとめのチェック
 血管内超音波(IVUS)   山口敏和・鈴木頼快・小林俊博
  ・ IVUS
  ・ IVUS の特徴と使用方法
  ・ IVUS の原理
  ・ IVUS 画像を構成する要素
  ・ IVUS カテーテルの種類と特徴
  まとめのチェック
 OCT/OFDI(光干渉断層撮影)   小林俊博・鈴木頼快・山口敏和
  ・ OCT/OFDI の原理
  ・ OCT/OFDI の手技の流れ
  ・ IVUS とOCT/OFDI の比較
  ・ OCT/OFDI の正常血管画像
  ・ OCT/OFDI のプラーク性状の画像
  ・ OCT/OFDI のステント画像
  ・ステントの血管壁不完全圧着(ISA)
  ・ステントストラット圧着の評価方法
  ・ステント再狭窄(内膜増殖)
  ・ IVUS とOCT/OFDI の計測結果の違い
  まとめのチェック
 FFR(冠血流予備量比)の測定とiFR(瞬時血流予備能)の測定について  村澤孝秀・小寺 聡
  ・ FFR とは
  ・ FFR の有用性
  ・実際の症例
  ・ FFR を測定するための準備
  ・最大拡張のための薬剤
  ・ FFR 測定の実際
  ・その他のモダリティとの比較
  ・ iFR(瞬時血流予備能)について
  ・ FFR におけるおもなトラブルと対処方法
  まとめのチェック
 デバイス説明(バルーン,ステント,ロータブレータなど)   横田 順・清末有宏
  ・ PCI に必要となる器具
  ・トラブル対処方法
  まとめのチェック
 右心カテーテル〔スワンガンツ(Swan-Ganz)カテーテル〕   尾越 登・加藤 敦
  ・目的
  ・スワンガンツカテーテルの挿入方法
  ・心拍出量(CO)の測定方法
  ・おもなトラブルと対処方法
  まとめのチェック
 左心カテーテル   杉村宗典・田村俊寛
  ・心機能とは
  ・左心カテーテル法
  ・左室圧との圧較差を評価する疾患(同時圧の測定)
  ・左室造影(LVG)
  ・ LVG の実際とその評価
  ・大動脈造影(AOG)
  ・左心カテーテル検査のトラブル事例・対処方法
  まとめのチェック
 経カテーテル的大動脈弁植込術(TAVI),経皮的僧帽弁交連切開術(PTMC),経皮的心房中隔欠損閉鎖術   前田孝一・市堀泰裕・宇留野達彦
  ・経カテーテル的大動脈弁植込術(TAVI)   前田孝一
  ・経皮的僧帽弁交連切開術(PTMC)   市堀泰裕
  ・医療機器の構造
  ・経皮的心房中隔欠損閉鎖術   市堀泰裕
  まとめのチェック   宇留野達彦
 体外式ペースメーカ・除細動器・ポリグラフ   坂田憲治・祝迫周平
  ・体外式ペースメーカ
  ・除細動器
  ・ポリグラフ
  まとめのチェック
02 心臓植込み型電気的デバイス(CIEDs)
 ペースメーカ   佐生 喬・藤井英太郎
  ・ペースメーカ植込み術の適応
  ・ペースメーカの目的
  ・ペースメーカの分類
  ・ペースメーカの構造
  ・ペーシングタイミング
  ・ペースメーカの基本機能
  ・特殊機能・拡張機能
  ・植込み〜 MRI 検査の流れ
  ・電磁干渉(EMI)
  ・植込み手術
  まとめのチェック
 植込み型除細動器(ICD)   磯村健二・南口 仁
  ・突然死とは
  ・ ICD とは
  ・ ICD システム
  ・ ICD の機能
  まとめのチェック
 CRT-P/CRT-D(心臓再同期療法)   足立和正・壷井里恵子
  まとめのチェック
03 カテーテル心筋アブレーション治療
 アブレーションシステム   内藤滋人・中嶋 勉
  ・心電図・心内電位記録解析装置(Lab システム)
  ・心臓電気刺激装置(カーディアックスティムレータ)
  ・高周波発生装置
  ・クライオアブレーション
  ・ホットバルーンアブレーション
  まとめのチェック
 各疾患に対する検査と治療   永島道雄・伊藤朋晃
  ・頻脈性不整脈の検査
  ・頻脈性不整脈の種類の同定ステップ
  ・各疾患に対する治療
  ・上室性不整脈
  まとめのチェック
 3 次元マッピングシステム   小倉敬士・白山武司
  ・ 3 次元マッピングシステムとは
  ・ 3 次元マッピングシステムの種類
  まとめのチェック
04 補助循環
 IABP   田仲信行・木村啓志
  ・ IABP 装置の構成
  ・ IABP バルーン構造
  ・ IABP 駆動装置の構造
  ・ IABP の効果
  ・ IABP 挿入の手順
  ・ IABP の管理
  ・ IABP の適応
  ・ IABP の禁忌
  ・ IABP の合併症
  まとめのチェック
 V-A ECMO   戸部 智・加納寛也
  ・機械の仕組み
  ・適応と禁忌
  ・導入と管理
  ・離脱
  ・ V-A ECMO の合併症
  まとめのチェック
 V-V ECMO(静脈脱血—静脈送血体外式膜型人工肺)   橋本 悟・八木克史
  ・呼吸不全への補助循環
  まとめのチェック
 VAD(補助人工心臓)   戸田宏一・丸山雄一
  ・概要: 日本における補助人工心臓治療の流れ
  ・補助人工心臓とは
  ・心不全とは
  ・心不全の重症度分類
  ・補助人工心臓の適応基準
  ・補助人工心臓の使用目的
  ・適応疾患
  ・植込型補助人工心臓: 適応基準
  ・臨床使用中の補助人工心臓
  まとめのチェック

ISBN:9784758317160
出版社:メジカルビュー社
判型:B5
ページ数:384ページ
定価:5800円(本体)
発行年月日:2017年10月
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MJ