小谷博泰著作集 3
木簡・金石文と記紀の研究
著:小谷 博泰
紙版
内容紹介
第一部では、木簡・金石文だけでなく、法隆寺幡銘などを含む、紙以外の布、木、石、金属などに文字が書かれた、いわゆる文字資料を中心に考察する。当時、各地から出土した七世紀の木簡の検討によってはじめて、実証的に研究を進めることができたものといえよう。第二部では、古事記と日本書紀の形成・影響関係、文体・表記の様相を考察した。記紀両書は、その細部の徹底的な対比、分析が後れていたが、それを実行することによって、より確実な考証を行ったものである。
目次
第一部 上代文字資料の表記をめぐって
1 七世紀における日本語の文章表記
2 法隆寺幡銘と斉明紀挽歌
3 文章史から見た法隆寺幡銘と薬師像光背銘
4 万葉集の「柿本人麻呂歌集」と初期木簡
5 播磨国風土記の筆録
6 上代木簡の文体史
(補)石神遺跡出土木簡
7 〔書評〕沖森卓也『日本古代の表記と文体』
8 日本語表記のルーツを探る
9 上代の文字と意味
10 万葉集と庭園
第二部 古事記の成立と日本書紀
1 木花之佐久夜毘売
2 国生み・黄泉の国・須佐之男昇天
3 天孫降臨
4 国生み・天の石屋・八俣の大蛇
5 神武・崇神・垂仁(古事記中巻)
6 古事記の形成と文体
7 古事記の筆録と和風表記
8 仁徳・允恭・安康(古事記下巻)
9 〔書評〕西條勉『古事記の文字法』
10 記紀の表記と上代文字資料
(増補)
1 古事記序文と本文の筆録―表記と用字に関して―
2 〔書評〕佐々木隆『上代の韻文と散文』
初出一覧
あとがき
著作集第三巻あとがき
(付)著者名索引
事項索引