出版社を探す

近代文学研究叢刊 57

遠藤周作 〈和解〉の物語

増補改訂版

著:川島秀一

紙版

内容紹介

〈遠藤周作歿後二十年記念出版。遠藤文学の全貌を現代に問う。〉
初期短篇群から『深い河』まで、主要作品16篇を軸に、遠藤文学の世界を、その全体像として考察。前著の構成を大幅に改編し五章分を増補した遠藤研究の集大成。
私たちが生きた近代を振り返りつつ、遠藤の文学的ビジョンと想像力が、はるか先の射程をどこまで見定められるのか。あらためて、遠藤文学の意味を問い返す。時代に向けた渾身の書。
日本的風土の深層とキリスト教との相剋。語り出される《愛の原像》。グローバルな〈和解〉をめざす遠藤文学の現代性と世界性。死者と生者の域を越えて、そのビジョンと想像力は、どのような《いのちのかたち》を描くのか。精緻な読みを通して、その真髄を解明する。

目次

序論にかえて―〈文学と死〉をめぐる問い―
第1章 小説家遠藤周作の誕生―『アデンまで』から『青い小さな葡萄』まで―
第2章 二つの風土―『黄色い人』―
第3章 虚無の淵から―『海と毒薬』―
第4章 聖性と罪性―『おバカさん』―
第5章 想像力の始原―『わたしが・棄てた・女』の定位をめぐって―
第6章 甦る〈風景〉―『わたしが・棄てた・女』―
第7章 異邦人の孤独―『留学』―
第8章 地上の哀しさー『哀歌』―
第9章 〈闇〉の言説―『哀歌』再論―
第10章 煙はなぜ、黄昏の空に真直にたちのぼるのか。―『満潮の時刻』―
第11章 和解の物語―『沈黙』―
第12章 同伴者イエス―『死海のほとり』―
第13章 沸騰する文体―『死海のほとり』再論―
第14章 〈事実〉と〈真実〉の間―『イエスの生涯』―
第15章 回帰の旅程―『侍』―
第16章 悪という深淵―『スキャンダル』―
第17章 〈愛〉の言説―『深い河』の実験―
第18章 日本人につかめるイエス像―『沈黙』から『侍』まで―
第19章 ある躊躇と疑念―『侍』瞥見―
初出一覧
あとがき
索引

著者略歴

著:川島秀一
1949年、奈良県生まれ。関西学院大学大学院博士課程満期退学。山梨英和短期大学教授を経て、2002年山梨英和大学教授。2013年3月、山梨英和大学教授を定年退職。現在は、大阪成蹊短期大学特任教授。遠藤周作学会副代表、島崎藤村学会理事、日本キリスト教文学会役員。著書:『島崎藤村論考』(1987年 おうふう)、『遠藤周作 愛の同伴者』(1993年 和泉書院)、『遠藤周作 〈和解〉の物語』(2000年 和泉書院)、『表現の身体』(2004年 双文社出版)。共著(分担執筆を含む)・論文:『論集・島崎藤村』(2000年 おうふう)、「拒まれし〈私〉の物語―〈もう一つの富士〉遠望」(2010年5月 『太宰治研究』18)、「〈意味〉に憑かれた人間の物語―「どんぐりと山猫」からの出発」(2012年3月 「山梨英和大学紀要」第10号)、「〈人間〉への問いの根源性―『赤ひげ診療譚』とキリスト教」(2015年7月 「キリスト教文芸」第31輯)、他。

ISBN:9784757607873
出版社:和泉書院
判型:A5
ページ数:360ページ
定価:4800円(本体)
発行年月日:2016年03月
発売日:2016年03月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ