研究叢書 456
心敬十体和歌
評釈と研究
他著:島津 忠夫
他著:大村 敦子
他著:岡本 聡
内容紹介
本書は、『心敬十体和歌』の共著者による共同研究を重ねての評釈と、関連する資料の翻刻、および関連する五編のそれぞれ書き下ろしの論考より成る。心敬の和歌についての詳しい評釈はいまだ無く、本書は、心敬の和歌の中世和歌史に占める位置について明らかにするばかりでなく、心敬という中世のすぐれた一人の歌人・連歌師の『十体和歌』という一つの作品の詳しい評釈を通して、今後、中世和歌を読む上に大きく示唆するものがあろう。翻刻も従来容易に見ることのできなかった天理図書館蔵の重要美術品の心敬自筆『百首和謌』(寛正四年百首自注)を改めて閲覧して、従来あった唯一の翻刻における多くの誤りを正し、新しく新潟の吉田文庫蔵『於関東発句付句』を翻刻する。心敬についてのそれぞれの研究も多くの新見を含んでいる。なお、最後に、『十体和歌』初句索引、心敬自注和歌初句索引を付す。
目次
序 島津忠夫
一 評釈編
凡例
有心体
幽玄体
面白体
麗体
長高体
濃体
撫民体
一節体
写古体
強力体
長歌反歌
瀟湘八景歌
島原本異本歌
二 資料編
天理図書館蔵『百首和謌』(寛正四年百首自注)―解題と翻刻― 島津忠夫・竹島一希
解題
一 はじめに
二 成立
三 諸本
ア 市古本
イ 京大本
翻刻
吉田文庫蔵『於関東発句付句』―解題と翻刻― 竹島一希
解題
一 はじめに
二 内容
三 心敬句集との関係
四 伝記的事実 付宗祇のこと
翻刻
三 研究編
『心敬十体和歌』の成立と諸本 島津忠夫
『心敬十体和歌』にみる連歌的表現 大村敦子
心敬と『伊勢物語』注釈―「五大」思想を底流として― 岡本聡
『心敬十体和歌』における初句末「や」の機能について 押川かおり
不肖の弟子―正徹と心敬続貂― 竹島一希
四 索引編 竹島一希
凡例
『十体和歌』初句索引
心敬自注和歌初句索引
あとがき 大村敦子・押川かおり・竹島一希