マリオ・プラーツ 碩学の旅 Ⅲ
ギリシアへの旅
建築と美術と文学と
著:マリオ・プラーツ
訳:伊藤博明
編:金山弘昌
紙版
内容紹介
稀代の碩学マリオ・プラーツは、一九三一年の三月から四月にかけて、遙かなるギリシアを旅した。イタリア半島南端のレッチェから蒸気船ロイド・トリエスティーノ号に乗ったプラーツは、アドリア海からイオニア海へと南下し、ペロポネソス半島のパトラス湾からコリントス湾を経て、アテネの外港ピレウスで停泊したのち、クレタ島のイラクリオンをめざした。彼はたいへん精力的にギリシアの重要な遺跡を訪ねた。彼にファイストスとアギア・トリアダは「素晴らしい印象」を与え、デルフォイは「真に驚嘆すべき」ところで、アルゴリスは「輝かしかった」、と回想している。帰途はパトラスから飛行艇に三時間空中を揺られてローマ街道の終着地ブリンディジに着いた。彼は、この「忘れることのできない旅」を数々のエッセイとして書いている。永遠の都ローマを知り尽くしたこの碩学が、西欧文芸のアルカディア的幻想に誘われて、遙かなるギリシアを旅し、白い大理石の半神たちのイメージに秘められた、時空を超えた深い歴史的意味と、栄枯盛衰への哀悼と芸術的精華を探る、珠玉のエッセイ集!
目次
プロローグ マリオ・プラーツのギリシア──一九三一年春 伊藤博明
ギリシアへの序曲 伊藤博明
ギリシアへの到着 伊藤博明
イラクリオンでの下船 伊藤博明
クノッソスとファイストス 新保淳乃
アテネ 新保淳乃
スニオン岬とデルフォイ 新保淳乃
アルゴリス地方 金山弘昌
オリンピア 金山弘昌
イオニア海の上空にて 金山弘昌
エピローグ ギリシアを旅するプラーツのまなざしと悲劇の予感 金山弘昌
人名・作品名 索引