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ヴィジュアル・リーディング

西洋中世におけるテクストとパラテクスト

著:松田 隆美

紙版

内容紹介

西洋中世の書物の大半は絵入りである。特に、写本から印刷本への移行期に当たる15−16世紀には、写本、印刷本を問わず多くの挿絵入り本が制作されて広範な読書層を獲得した。工房生産の時祷書写本、木版画による挿絵を多用して印刷された時祷書、「羊飼いの暦」として知られる実用的教訓書などはその代表例である。これらの書物は、挿絵とテクストとのあいだにダイナミックな相関性を作り上げ、読者層の実用的だが限定的なリテラシーを想定して、読者に書物を視覚的に読むことをうながしている。

目次

序章 中世写本のイメージとテクスト
1 教会によるイメージの擁護
2 中世写本の挿絵の類型
3 コンピラティオとミセラニー性
4 西洋中世の書物生産と流通
第一章 時祷書のテクストとパラテクスト
1 書物としての時祷書
2 時祷書の利用の実際
3 時祷書の基本的構成
4 時祷書の制作と書籍工房
5 活版印刷による時祷書
6 時祷書の用途の多様化
第二章 時祷書の変容−典礼書から教訓書へ
1 周縁部のイメージ
2 予型論の物語絵シリーズ
3 暦の中世的宇宙
4 「人生における諸時期」
5 時祷書の暦と「人生の十二時期」
第三章 「羊飼いの暦」と中世的宇宙
1 羊飼いの知恵と心身の「健康」
2 「羊飼いの暦」と時祷書
第四章 「専門の読み手」とミセラニー写本
1 アマチュア絵師の仕事
2 北イングランドの宗教文学ミセラニー写本
3 解釈のユニットとしてのコンピラティオ
終章 中世の書物のポピュラリティ

あとがき
主要参考文献
索引

著者略歴

著:松田 隆美
慶応大学文学部教授 イギリス・ルネサンス文学 書物文化史

ISBN:9784756610140
出版社:ありな書房
判型:A5
ページ数:256ページ
定価:4800円(本体)
発行年月日:2010年07月
発売日:2010年07月14日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AKH