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ローマ百景 Ⅱ

建築と美術と文学と

著:マリオ・プラーツ
監訳:伊藤 博明

紙版

内容紹介

 原題『パノプティコン・ロマーノ・セコンド』の「パノプティコン」とは、ギリシア語の「パン」(すべて)と「オプティコン」(視覚的なもの)との合成語であり、英国の法学者・哲学者のジェレミー・ベンサム(一七四八—一八三二)が考案した、囚人に知られずに周囲の独房を監視できる円形の刑務所とともに、望遠鏡と顕微鏡との両方の機能をもった望遠顕微鏡をも表わす言葉である。すなわち本書は、ローマという都市の「看守」を自認するプラーツが、遠くは望遠鏡を覗き、近くは顕微鏡で観察した報告集とでも評することができるだろう。本書に含まれている全二四編は、書評という形式を借りたローマに関する建築と美術と文学の秀逸なエッセイである。他のプラーツの著作と同様に、ローマをめぐって書かれた滋養に富むが、少しばかり辛口の都市文化論というつもりで、個々の論考——無論、それぞれはそれなりに手強いのであるが——を味わい、楽しむと良い。

目次

亡き街路のためのパヴァーヌ
パラッツォ・プリーモリ
ローマの景観
ローマの城壁
ローマのテヴェレ川
ローマの大理石
ルネサンスのローマ
偽書によりて
ローマの広場
ローマのパラッツォ
パラッツォ・スパーダ
パラッツォ・ブラスキ
ヴィッラとカステッロ
ベルニーニをめぐる形而上学と事実
サンティ・ルーカ・エ・マルティーナ聖堂
ローマの至宝の芸術
ローマのフランス人
ピラネージとフランスの芸術家たち
略  奪
G・G・ベッリ、没後百年
クペールスの時代のローマ
二人の黄昏派の年代記に見るローマ
ローマのオステリア
ローマの口
ジュリア通りの碩学、マリオ・プラーツ——あとがきにかえて 伊藤博明
人名/著作名/美術作品名/地名/モニュメント名 索引

著者略歴

著:マリオ・プラーツ
 マリオ・プラーツは一八九六年九月六日にローマで、父のルチアーノ・プラーツと母ジュリア・マルシャーノのもとに生まれた。父の祖先はスイス系で、一六世紀にヴァッレ・ダオスタに移住してきた。他方、母の家系はオリヴィエートの領主であったマルシャーノ伯に遡る。プラーツが生まれてすぐに、父が仕事の関係でスイスに移住したため、彼も幼年期を同地で過ごす。しかし一九〇〇年に父が急死したために、プラーツは母とともにフィレンツェに移り、母方の叔父アルチビアーデ・ディ・マルシャーノ伯のもとに滞在し、一九一四年まで同地の中・高校に通った。翌年法学を勉強するためにボローニャ大学に入学するが、一年を過ごしたのみで、ローマ大学に転学する。そして、一九一八年に国際法の論文を提出して同大学を卒業する。
 そののちプラーツは、言語学と文学に対して強い関心を抱くようになり、一九一八年にフィレンツェに戻って勉学を再開した。一九二〇年に彼は、フィレンツェ大学文学部のジャーコモ・パローディのもとにガブリエーレ・ダンヌンツィオの言語に関する論文を提出した。次に、彼の関心はイギリス文学へと向かい、一九二三年には外務省から奨学…
監訳:伊藤 博明
ルネサンスとバロックにおけるイタリア文化史の日本における第1人者

ISBN:9784756606938
出版社:ありな書房
判型:A5
ページ数:336ページ
定価:4800円(本体)
発行年月日:2006年09月
発売日:2006年09月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WTL
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:WTR
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:1D