自然の占有
ミュージアム、蒐集、そして初期近代イタリアにおける科学文化
著:ポーラ・フィンドレン
内容紹介
一六世紀と一七世紀を通じて、ヨーロッパの主導的な知識人たちは、その探求をミュージアムの中でおこなっていた。この舞台を唯一無比の知識の空間とすることで、ヨーロッパ中の博物学者たちは、その発見や見解を伝達する共通のプロトコルを打ち立てることができた。文学界の作法と宮廷の作法を結びつけることで、彼らは、科学の知を親しみやすいものにするのにもっとも適した人間として、自分たちを位置づけたのである。学問の魅力を広げることで、博物学者たちはまた、同時代の政治的風潮を把握する術を身につけもした。自然の征服は、絶対主義のレトリックと手を携えて進行した。ミュージアムは、いかに政治権力、知の新しい形式、そして自然への力が結合しうるかという、見た目にも顕著な徴となった。これらの変容のどれひとつとして、古いものと新しいものという標準的な二分法に簡単には適合しない。われわれは本書で、内容と同時に文脈に、科学的産物の文化的意味と同時に、社会的ステータスと知的アイデンティティのあいだの関係に接近して注目することで、初期近代の科学の特徴をつまびらかにしてきた。こうすることではじめてわれわれは、科学革命を決定するものは何かについて再考できるようになるのである。
目次
謝 辞
プロローグ
第1部 ミュージアムの位置づけ
第1章 「閉ざされた小部屋の中の驚異の世界」
第2章 パラダイムの探求
第3章 知識の場
第2部 自然の実験室
第4章 科学の巡礼
第5章 経験/実験の遂行
第6章 医学のミュージアム
第3部 交換の経済学
第7章 蒐集家の発明/創出
第8章 学芸庇護者、宮廷仲介者、そして戦略
エピローグ 古いものと新しいもの
原 註
文献一覧
解 説 『自然の占有』の位置づけ
人名/著作名索引