純粋理性批判 上
著:イマヌエル・カント
監訳:宇都宮 芳明
紙版
内容紹介
【訳者のことば】
人間は言葉を持ち、言葉をつなげてものごとを考えるが、カントはこの人間の能力、つまり「理性」とよばれる能力について、それをどのように働かせたらよいかを徹底して追究した。と言うのも、人間ひとりひとりの生き方は、その人間が自分の理性でものごとをどのように考えるかによって決まるからである。理性は、科学的知識を求める場面だけではなく、道徳とはなにか、美とはなにか、神や宗教とはなにかを考える場面でも働いている。科学的知識だけを絶対視する誤りを避け、また迷信や狂信に陥らないためには、これらのあらゆる場面で理性を正しく働かせるようにすることが必要である。カントは人間の自由と尊厳の確保を目指しつつ、こうした理性批判の道を歩んだのである。
目次
Ⅰ 超越論的原理論
第一部 超越論的感性論
第二部 超越論的論理学
序論 超越論的論理学の理念
第一部門 超越論的分析論
第一篇 概念の分析論
第一章すべての純粋悟性概念を見いだすための手引きについて
第二章純粋悟性概念の演繹について
第二編 原則の分析論[判断力の超越論的理説]
序論
第一章純粋悟性概念の図式機能について
第二章純粋悟性のすべての原則の体系
第三章すべての対象一般をフェノーメンとヌーメノンに区別する理由について
第二部門 超越論的弁証法
序論
第一篇 純粋理性の諸概念について
第一章理念一般について
第二章超越論的理念について
第三章超越的理念の体系
第二編 純粋理性の弁証論的推理について
第一章純粋理性の誤謬推理について