若夏の独奏(ソロ)
南の海で魂のさざ波に耳澄ませて
著:八重 洋一郎
紙版
内容紹介
〈沖縄・石垣の詩人が語る辺境の生き方〉
山之口貘賞、小野十三郎賞受賞詩人が石垣の海から贈る36のエッセイ。しのびやかにつづられた常世への遥かな慕情。
・・・本文より・・・
祖母は枕元に集まった自分の子供、つまり父や伯母達やその他の親戚に向かって、タルタルカイヤノーデドゥアンキャ(だれだれには何と言えばいいか)などとしきりにせかす。
祖母は自らの死に際してこの世への遺言ではなく、あの世への伝言を積極的に引き受けているのである。 (「夜中の焼香」より)
目次
さざ波・白片・瓦下飲酒・やわらかい論理・合図・夢殿・月・ホンモノ?・百歳・言遣り・カンムリワシ・二〇〇〇年問題・群青彩色・千年の孤独・祈り、超モダーン・十七歳・黒檀・七秒・水天一碧・美しくて切ないもの・サシバ、人工衛星・思いちがい・二十一世紀の楽しみ・カーブヤー・親不孝・空中撮影・三楽・化学システム工学・鯨、または感傷・カンカン日照り・夜中の焼香・思考停止・アーベル賞・雨の古都・黄色い軍艦・物語の始まり・あとがき