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SDGs時代のインクルーシブ教育

グローバルサウスの挑戦

編著:川口 純

紙版

内容紹介

途上国における教育の包摂性がめざすものはなにか。アジア太平洋地域やアフリカなど11か国を対象とした現地調査に基づいて、各国の取り組みや創意工夫、障害観や教育観、政策動向などに焦点を当てて、インクルーシブ教育の受容実態と展望について考察する。

目次

 はしがき

序章 インクルーシブ教育の概念整理と研究視点[川口純/黒田一雄]
 はじめに
 第1節 発展途上国における障害児の教育状況
 第2節 教育のインクルージョンに関する国際的な潮流
 第3節 サラマンカ声明に基づくインクルーシブ教育分析
 第4節 平等性と公正性の観点からとらえるインクルーシブ教育
 第5節 途上国ならではのインクルーシブ教育――受容実態の多様性
 第6節 SDGs時代の「包摂」とインクルーシブ教育
 おわりに――教育のインクルージョンの向上に向けて

第1章 インクルーシブ教育のグローバルガバナンスと特別支援教育――その相克と連携可能性[黒田一雄]
 はじめに
 第1節 グローバルガバナンスとしてのインクルーシブ教育の歴史的展開
 第2節 インクルーシブ教育と分離・特殊教育の相克
 第3節 インクルーシブ教育と特別支援教育の連携の可能性
 おわりに

第Ⅰ部 南アジア諸国のインクルーシブ教育

第2章 ネパール――包摂性と教育政策の課題[杉村美紀]
 はじめに
 第1節 包摂性概念をめぐる議論と問題提起
 第2節 ネパールの教育政策における包摂性
 第3節 教育における「包摂性」にかかる実践と現実的課題
 第4節 社会的包摂性への配慮
 おわりに――ネパールの教育政策における包摂性の今日的解釈

第3章 スリランカ――政策形成の過程と残された課題[古田弘子]
 はじめに
 第1節 スリランカの障害児の教育
 第2節 インクルーシブ教育の導入と政策策定に向けた動向
 第3節 残された課題
 おわりに

第4章 モルディブ――インクルーシブ教育と共生社会の関係[森下稔]
 はじめに
 第1節 モルディブの社会と教育
 第2節 モルディブの障害児教育
 第3節 フィールド調査の結果を基とした考察
 おわりに――まとめと今後の課題

第5章 インド――複線的教育制度のなかの障がい児教育支援[日下部達哉]
 はじめに
 第1節 インドの教育における「インクルーシブ」と複線的教育システム
 第2節 タミルナードゥ州における障がい者に対する支援
 第3節 障がい者支援に関するフィールド調査結果
 おわりに

第6章 ブータン――インクルーシブ教育に関する教員の受容意識の変化[櫻井里穂]
 はじめに――ブータンにおける公教育のはじまり
 第1節 仏教につながる伝統的障害観と障害のある子への教育のはじまり
 第2節 インクルーシブ教育の導入と展開
 第3節 インクルーシブ教育普及の理論的概念
 第4節 インクルーシブ教育に関する教員の受容意識――調査結果から
 おわりに

第Ⅱ部 東南アジア諸国のインクルーシブ教育

第7章 ベトナム――和入教育の展開[白銀研五]
 はじめに
 第1節 ベトナムにおける和入教育政策の展開
 第2節 初等教育の普遍化からみた和入教育
 第3節 視点を変えた和入教育の取り組み
 第4節 外縁からみたベトナムの教育における包摂
 おわりに

第8章 カンボジア――政策と実践にみる平等性と公平性[林真樹子]
 はじめに
 第1節 インクルーシブ教育から遠ざかるカンボジアの若年層と社会的弱者
 第2節 カンボジアのインクルーシブ教育の実情
 第3節 インクルーシブ教育の平等性と公平性の政策の実情
 第4節 インクルーシブ教育の平等性と公平性の実践の実情
 おわりに――今後の課題と可能性

第Ⅲ部 サブサハラアフリカ諸国におけるインクルーシブ教育

第9章 ケニア――統合教育から得られた知見を活かす[大塲麻代]
 はじめに
 第1節 障がいのある児童の学校教育に関する世界的取り組み
 第2節 ケニアにおける教育政策の変遷と就学状況
 第3節 学校現場の取り組み
 第4節 考察
 おわりに

第10章 マラウイ――国際的アジェンダの現地適合性[川口純]
 はじめに
 第1節 マラウイの障害児教育の概要
 第2節 インクルーシブ教育の導入過程
 第3節 インクルーシブ教育に資する教員養成課程
 第4節 マラウイのインクルーシブ教育の特徴
 おわりに

第11章 エチオピア――インクルーシブ教育の「文脈化」[利根川佳子]
 はじめに
 第1節 初等教育における障害児教育の状況
 第2節 障害児教育の歴史と政策
 第3節 障害児が不就学である背景
 第4節 障害児のための「インクルーシブ教育」の現状
 おわりに――今後の展望

第12章 シエラレオネ――障害児教育の阻害要因を探る[西向堅香子]
 はじめに
 第1節 初等教育と障害児教育
 第2節 インクルーシブ教育の導入過程
 第3節 障害児教育のあり方
 おわりに

終章 持続発展的なインクルーシブ教育の創造に向けて[川口純]
 はじめに
 第1節 「4つの観点」からとらえる途上国のインクルーシブ教育
 第2節 包摂過程における異なる教育形態――特殊教育や統合教育の位置づけ
 第3節 インクルーシブ教育の「教育主体」について――誰が何のためにインクルードするのか
 第4節 鍵となる教員をいかに育成するのか
 第5節 今後の展望

 あとがき

著者略歴

編著:川口 純
筑波大学人間系准教授を経て、現在は早稲田大学国際教育協力研究所 招聘研究員。専門:比較・国際教育学、国際教育開発論。
著書:『国際教育開発への挑戦:これからの教育・社会・理論』(共編著、東信堂、2021年)、『教員政策と国際協力:未来を拓く教育をすべての子どもに』(共編著、明石書店、2018年)、「周縁化された子ども間に生じる教育格差の中にある格差――マラウイにおける障害のある児童の就学状況を事例に」『SDGs時代にみる教育の普遍化と格差:各国の事例と国際比較から読み解く』(明石書店、2023年)など。

ISBN:9784750357003
出版社:明石書店
判型:A5
ページ数:340ページ
価格:3600円(本体)
発行年月日:2024年01月
発売日:2024年02月08日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNS