紫式部を創った王朝人たち
家族、主・同僚、ライバル
編著:服藤 早苗
編著:東海林 亜矢子
内容紹介
中宮藤原彰子に仕えた女官で、「世界最古の長編小説」と言われる『源氏物語』を著した紫式部。本書では史学および文学の視点から、家族、主・同僚、ライバルなど周囲の人物との関わりを中心に、残された情報が必ずしも豊富ではない紫式部の人物像を浮かび上がらせる。
目次
はじめに
第一章 紫式部――その人生と文学[河添房江]
一 家系と多感な少女期
二 越前下向と結婚
三 宮仕えの時代
四 晩年と没後の評価
第二章 平安時代の女房の世界――紫式部を取り巻く構造[岡島陽子]
一 「女房」という制度
二 女房への出仕と貴族社会
第三章 藤原彰子――紫式部が教育した主[服藤早苗]
一 誕生
二 入内
三 紫式部の出仕と二人の皇子の誕生
四 国母の政治力と紫式部
五 親族を見送って
第四章 藤原道長――紫式部と王朝文化のパトロン[西野悠紀子]
一 道長と家族
二 外戚と摂関政治
三 一条朝の道長
四 三条天皇との対立
五 後一条天皇の時代――左大臣から大殿へ
六 道長の後宮対策と女房
第五章 紫式部の生育環境――受領・文人の娘として[野田有紀子]
一 紫式部の地方生活――「受領」の娘として
二 紫式部の受けた教育――「文人」の娘として
三 「受領」の娘としての女房出仕
四 「文人」の娘としての女房出仕
コラム1 藤原惟規――紫式部のキョウダイたち[服藤早苗]
第六章 夫藤原宣孝――異彩を放つ夫[服藤早苗]
一 宣孝像
二 紫式部への求婚
三 宣孝と妻たち
四 平安中期の結婚実態
五 短い結婚生活
六 宣孝との別れ
第七章 一条天皇――王朝文化全盛期をきずいた天皇[西野悠紀子]
一 一条天皇の誕生
二 摂政兼家の時代
三 一条天皇の元服と定子入内
四 疫病大流行と道長政権の開始
五 一条院と二人の后――定子と彰子
六 一条朝の公卿と文化
七 敦成親王の誕生から一条の死まで
第八章 藤原定子・清少納言――一条天皇の忘れ得ぬ人々[伴瀬明美]
一 入内まで
二 立后――四后の始まり
三 定子と清少納言
四 短い栄耀と長い憂愁
五 再参内と「出家」
六 再びの懐妊と彰子の登場
七 中宮から皇后へ
八 忘れ得ぬ人々
第九章 大斎院選子内親王とそのサロン――紫式部と同時代を生きた内親王の人生[池田節子]
一 大斎院選子内親王について
二 斎院について
三 『紫式部日記』における選子サロン
四 『大斎院前の御集』『大斎院御集』からうかがわれる選子内親王の生活
五 選子内親王の仏教信仰
六 おわりに
第十章 年上女性たちとの交流――源倫子と赤染衛門[東海林亜矢子]
一 源倫子
二 赤染衛門
第十一章 同僚女房たちとの交流――宰相の君・大納言の君・小少将の君・伊勢大輔など[諸井彩子]
一 彰子に仕える女房集団
二 宰相の君
三 大納言の君と小少将の君
四 伊勢大輔
コラム2 女房たちの装束――『紫式部日記』に描かれた女たち[永島朋子]
第十二章 公卿たちとの交流――紫式部の男性の好みとは[東海林亜矢子]
一 藤原斉信――従二位権中納言・中宮大夫(四十二歳)
二 藤原顕光――正二位右大臣(六十五歳)
三 藤原実資――正二位権大納言・右近衛大将(五十二歳)
四 藤原公任――従二位中納言(四十三歳)
五 藤原頼通――正三位・春宮権大夫(十七歳)
六 おわりに――紫式部の男性の好みとは
第十三章 天皇乳母としての大弐三位――母を超えた娘[栗山圭子]
一 彰子女房として
二 賢子の恋
三 後冷泉天皇乳母
四 母を超えた娘
コラム3 女房たちの収入――天皇乳母藤原豊子を中心に[茂出木公枝]
第十四章 堕地獄か観音の化身か――翻弄される死後の紫式部[高松百香]
一 源氏供養について――地獄に堕ちた紫式部
二 『源氏物語』の執筆動機と石山寺起筆伝承――観音となった紫式部
三 ジェンダーの視座からみる紫式部伝承
コラム4 『無名草子』から見る王朝の女房たち――二百年後の女房観[野口華世]
紫式部略年表
主要人物系図(一)
主要人物系図(二)
平安京大内裏図
平安京内裏図
一条院内裏中枢部概念図
土御門第想定図
あとがき