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多文化ファシリテーション

多様性を活かして学び合う教育実践

編著:秋庭 裕子
編著:米澤 由香子

紙版

内容紹介

スキルや態度、倫理、学びの「場」づくり、コンフリクトなど、協同学習のファシリテーションにおける重要ポイントを取り上げ、文化的多様性を学びに活かすヒント、実践の向上につながる具体的な方法を提案する。組織のファシリテーションの事例も紹介する。

目次

 はじめに

第1部 多文化間協同学習ファシリテーションの多様な側面

第1章 教育のファシリテーションとは何か――多文化間学習に着目して[太田浩]
 はじめに
 1.1 ファシリテーション
  1.1.1 ファシリテーションとは
  1.1.2 ファシリテーターの役割:学びのプロセスを意識する
  1.1.3 ファシリテーターの心構え:学びのプロセスを意識する
  1.1.4 教育ファシリテーターとは
 1.2 多文化間学習におけるファシリテーション
  1.2.1 多文化間学習のファシリテーションとは
  1.2.2 多文化間学習のファシリテーターとは、その基準とスキルは
  1.2.3 多文化間学習において参加者のモチベーションを上げる
  1.2.4 多文化間学習における思考(認知)スタイルや学習スタイルの違いへの適応
  1.2.5 多文化間学習におけるアクティビティ(学習活動)の選択
  1.2.6 多文化間学習におけるアクティビティ(学習活動)の設定
  1.2.7 多文化間学習において抵抗する人にどう対処するか
 おわりに
  コラム1.1 フレームワークの捉え方の違い
  コラム1.2 正解のない問いに関するディスカッション

第2章 ファシリテーションとファシリテーターの異文化間能力――多文化環境での学びをうながす両者の密接な関係[マイケル・ゴー(米澤由香子訳)]
 はじめに
 2.1 異文化間能力と多文化ファシリテーション
 2.2 多文化間ファシリテーションと異文化間能力の重要な関係性
 2.3 ファシリテーターのCQ意欲
 2.4 ファシリテーターのCQ知識
 2.5 ファシリテーターのCQ方略
 2.6 ファシリテーターのCQ行動
 おわりに

第3章 ファシリテーションにおける倫理[中井俊樹]
 はじめに
 3.1 ファシリテーションにおける倫理を理解する
  3.1.1 ファシリテーションには倫理が求められる
  3.1.2 学生に対して大きな力をもつ
  3.1.3 明るみになりにくい構造がある
  3.1.4 ロールモデルとしての役割をもつ
 3.2 倫理的な問題に対応する
  3.2.1 法律や規則にそって行動する
  3.2.2 倫理綱領にそって行動する
  3.2.3 教育倫理の原則を理解する
  3.2.4 自分自身での判断の重要性を理解する
 3.3 さまざまな倫理の論点を理解する
  3.3.1 多様な学生のもつ不安に敏感になる
  3.3.2 安心して意見が言える環境をつくる
  3.3.3 教員自身のもつ偏見を自覚する
  3.3.4 教員の価値観を押しつけない
  3.3.5 説明の方法を工夫する
  3.3.6 個人としての意見を求める
  3.3.7 必要のない苦痛は与えない
  3.3.8 学生の利己主義に適切に対応する
  3.3.9 課題の内容と量を調整する
  3.3.10 学生の個人情報を保護する
  3.3.11 公平な評価をおこなう
  3.3.12 倫理の重要性を学生に伝える
 おわりに
  コラム3.1 新しい技術と倫理
  コラム3.2 安心して意見が言える環境づくり

第4章 協同学習のファシリテーター[米澤由香子]
 はじめに
 4.1 学習環境にある多様性
  4.1.1 集まるだけでは交流は生まれない
  4.1.2 多様性のマネジメント
  4.1.3 多様性を学習環境に取り入れる
  4.1.4 「内なる国際化」に必要なファシリテーター
 4.2 多文化環境を整え、学びに活かす教員
  4.2.1 多様性に関する教員の認識と課題
  4.2.2 教員が担う多文化環境における学びのファシリテーション
  4.2.3 多文化環境での授業計画と実施におけるチェックポイント
 4.3 学習者が互いのファシリテーターとなる
  4.3.1 学び合いの価値を学習者自身が理解する
  4.3.2 ピア・ラーニングの特質
  4.3.3 互いの違いを学びに活かす
  4.3.4 メタ認知としての異文化間能力
 4.4 TAや先輩学生など授業支援者がファシリテーターとなる
  4.4.1 TAによるファシリテーション
  4.4.2 先輩学生によるファシリテーション
  4.4.3 授業支援者のファシリテーションにおける留意点
 おわりに
  コラム4.1 教育における多様性のマネジメント
  コラム4.2 東北大学国際共修サポーター

第5章 学びの「場所」と「場」づくり[川平英里]
 はじめに
 5.1 学習活動の構成要素
  5.1.1 学習活動の「場所」と「場」
  5.1.2 学習活動を構成する三つの要素
  5.1.3 言語的・文化的に多様な学習者が集う「場」のファシリテーション
 5.2 多様な学習者が学ぶ「場所」を設計する
  5.2.1 学習活動の「場所」としての教室のレイアウト
  5.2.2 場所の移動による「場」づくり
  5.2.3 教材・教具の工夫
  5.2.4 オンライン空間を活用する
 5.3 多様な学習者が学ぶ「場」づくりの具体的工夫
  5.3.1 個々の学習者の状態を把握する
  5.3.2 グラウンドルールを設定し、更新する
  5.3.3 インクルーシブな言葉を使用する
  5.3.4 グループ分けを工夫する
  5.3.5 「場」の心理的安全性を高める
 おわりに
  コラム5.1 目的や対話の内容に応じたファシリテーションの工夫
  コラム5.2 「グループワークをするので、机を動かしてください」
  コラム5.3 オンライン授業でのカメラ利用
  コラム5.4 アイスブレイクアクティビティ

第6章 グループコンフリクトを学びに活かすファシリテーション[平井達也]
 はじめに
 6.1 グループコンフリクトはなぜ起こるのか
  6.1.1 グループコンフリクトとは
  6.1.2 グループコンフリクトが起こりうる「混乱期」
  6.1.3 なぜコンフリクトが起こるのか
  6.1.4 コンフリクトを学びにつなげるための工夫
 6.2 コンフリクトの原因を個人の志向の違いから考える
  6.2.1 優先順位の違い
  6.2.2 プロジェクトの進め方の違い
  6.2.3 自己表現の仕方の違い
 6.3 コンフリクトを学びにつなげるために
  6.3.1 自分の志向を理解する
  6.3.2 グループダイナミクスへの理解を深める
  6.3.3 気づきを行動につなげるための振り返りを用意する
 おわりに
  コラム6.1 意図的に不確実性を高めて学習効果を高める海外研修

第7章 問いで学びをうながす[秋庭裕子]
 はじめに
 7.1 問いの種類と教育的意図・目的
  7.1.1 問いで学習者の学びと場を活性化させる
  7.1.2 問いの種類と目的:オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョン
  7.1.3 安心して学習できる場を確認する問い
  7.1.4 言語文化的に配慮した問い
 7.2 関係性における問いによる学び
  7.2.1 知的に挑戦する問い
  7.2.2 学生同士の関係性を問いに活かす
  7.2.3 学生からの問いを活かす
 7.3 体験からの学びをうながす問い:体験学習の循環理論から
  7.3.1 体験学習の循環理論
  7.3.2 体験からの学びをうながす問いを立てる
  7.3.3 問いから「アンラーニング」する
  7.3.4 問いから多様性を学び、活かす
 7.4 問いから考えられるバイアス
  7.4.1 学習者の文化的多様性を配慮した問いを心がける
  7.4.2 詰問に注意する
  7.4.3 教員は自身のパワーを自覚する
 おわりに 
  コラム7.1 問いによる場の活性化:沈黙の捉え方
  コラム7.2 ソクラテス式問答法による問い
  コラム7.3 自分がよく使う言葉は、当たり前ではない
  コラム7.4 “Please raise your hand.”

第8章 多文化環境での協同学習ファシリテーション座談会[参加メンバー:秋庭裕子、太田浩、川平英里、中井俊樹、平井達也 聞き手:米澤由香子]
 8.1 ファシリテーターの経験
 8.2 ファシリテーションのできるTAを育てる
 8.3 多文化協同学習で心理的安全性を築く
 8.4 協同学習でコンフリクトが生じた時のファシリテーション
 8.5 問いの種類と問いの意味
 8.6 コミュニケーションスタイルの違いを知る
 8.7 協同学習ファシリテーションの倫理

第2部 組織で取り組む多文化学習環境のデザイン

第9章 組織のファシリテーション――日本の大学の場合[近藤祐一]
 はじめに
 9.1 授業運営の形としてのファシリテーション
  9.1.1 変化し続ける大学教育の現場
  9.1.2 多様な教育方法
  9.1.3 アクティブラーニングの要
  9.1.4 教育現場でのファシリテーションの必要性
  9.1.5 教育現場でのファシリテーションによって起きる学び
  9.1.6 大学の学びにおけるファシリテーターの育成
  9.1.7 学びを主体にした教育を中心に
 9.2 大学運営の形としてのファシリテーション
  9.2.1 変化し続ける大学の現場
  9.2.2 DEIとファシリテーション
  9.2.3 組織の凝集性とグループ討議
  9.2.4 ファシリテーションを組織改革のプロセスに活かす
  9.2.5 ファシリテーションによる討議の意義
  9.2.6 大学のリーダーが必要とする発想の転換
 おわりに

第10章 組織のファシリテーション――ミネソタ大学(アメリカ)の場合[マイケル・ゴー(秋庭裕子訳)]
 はじめに
 10.1 アメリカにおける高等教育
 10.2 多様性に関連した定義と理論的枠組み
 10.3 ミネソタ大学におけるDEIの取り組み
  10.3.1 組織の目的
  10.3.2 組織のパラダイムと指針
  10.3.3 組織のプログラミング
  10.3.4 組織の連携
 10.4 大学組織としてDEIリーダーたちの集団の力を活用する
 まとめ

 あとがき

著者略歴

編著:秋庭 裕子
東京学芸大学准教授
編著:米澤 由香子
東北大学准教授

ISBN:9784750356655
出版社:明石書店
判型:A5
ページ数:192ページ
価格:2400円(本体)
発行年月日:2023年11月
発売日:2023年11月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JN