「個人化」する権威主義体制
侵攻決断と体制変動の条件
著:大澤 傑
内容紹介
プーチン、習近平、金正恩――リーダーによる予測不能で「非合理」な意思決定が可能となる条件とは。考えうる結末は。新進気鋭の国際政治研究者がウクライナ侵攻で激震を与えたロシア、台湾有事が懸念される中国、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の3か国を分析。
目次
はしがき
序章 権威主義体制と個人化――個人支配の行動原理
1 民主主義対権威主義
2 権威主義の3つの類型
3 権威主義の類型の特徴
4 個人化の過程
5 個人支配とは何か
6 個人支配の崩壊
7 政治体制に基づく政策形成過程
8 個人支配の対外政策
9 本書のガイドライン
第1章 ロシア
第1節 ロシアの政治体制
1 民主化
2 プーチンの登場――プーチンの1期目
3 権力の集中と抑圧・懐柔・正統化の拡大――プーチンの2期目
4 個人支配への下地作り――タンデム
5 政治体制の個人化へ――プーチンの3期目
6 個人支配の完成――プーチンの4期目
第2節 ロシアの対外政策
1 プーチン以前のロシア外交
2 プーチン体制下の対外政策――ウクライナ侵攻以前
3 ウクライナ侵攻とプーチン――正統化のための戦い
第3節 プーチン体制のゆくえ
第2章 中国
第1節 中国の政治体制
1 共産党による一党支配体制
2 共産党による統治の変遷
3 個人化の進展――習近平の1期目
4 権力の固定化――習近平の2期目から3期目へ
第2節 中国の対外政策
1 成長を続ける中国と外交
2 習近平体制下の対外政策
第3節 習近平体制のゆくえ
第3章 北朝鮮
第1節 北朝鮮の政治体制
1 朝鮮労働党による一党支配の成立
2 金正日政権における個人化への道
3 個人支配の持続――金正恩政権における体制維持
第2節 北朝鮮の対外政策
1 金日成体制下の対外政策
2 金正日体制下の対外政策
3 金正恩体制下の対外政策
第3節 金正恩体制のゆくえ
終章 比較分析――個人化する権威主義と向き合う
1 個人化の違い
2 体制維持の手法と不安定化の可能性
3 分析を通じて得られた示唆――「パンドラの箱」の中のディストピア
4 個人化時代の安全保障
あとがき