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こころの発達と学習の科学

デジタル時代の新たな研究アプローチ

他編著:パトリシア・K・クール
他編著:スーシャン・リン
他編著:ソニア・グエリエロ

紙版

内容紹介

知識集約的でテクノロジー主導の21世紀において、人々の学習はどのように変化し、環境要因はそれにどのような影響を与えるのか。神経科学、社会・認知・行動科学、教育学、コンピュータ・情報科学など様々な分野の最新の知見から、「学習を科学する」可能性を探る。

目次

序文[アンドレアス・シュライヒャー]

要旨
 学習者と環境との相互作用
 学習の科学:テクノロジーを用いた学習デザインとその活用
 研究・教育実践・政策に対する意義:機会と課題

第1章 こころの発達と学習の科学:序論[スーシャン・リン/ソニア・グエリエロ/ダーク・ヴァン・ダム]
 はじめに:何故、学習の科学なのか? 何故、今なのか?
 第1節 本書の内容構成とその概観
 第2節 本書の主要テーマと知見

第Ⅰ部:学習者と環境との相互作用

第2章 神経科学と教育:幼少期の脳の発達が学校教育に与える影響[パトリシア・K・クール/ナイヤ・フェルヤン・ラミレス]
 はじめに
 第1節 学習の科学の基礎:幼児は言語の天才である
 第2節 学習の科学の基礎:幼児が言語を学ぶ方法
 第3節 学習の科学の基礎:言語の導入
 第4節 バイリンガル脳の科学
 第5節 介入の科学:エビデンスに基づく実践を活用した早期の言語学習
 第6節 政策的意義と子供の将来

第3章 固定観念が子供のSTEMアイデンティティと学習をどのように形作るか[アンドリュー・N・メルツォフ/ダリオ・クベンセク]
 はじめに
 第1節 概念的枠組みの確立
 第2節 小学生の数学への固定観念と自己概念の発達
 第3節 子供の数学への固定観念と自己概念に関する比較文化研究:シンガポール
 第4節 何ができるのか? 心理科学と教育の架け橋

第4章 人種と教育:学習にとって人種と不平等はどのように重要か[ナイラ・スアド・ナシール]
 はじめに
 第1節 学校における人種的不平等
 第2節 人種化された不平等な学習経路の経験的事例
 第3節 人種化された不平等な学習経路に寄与するメカニズムと、それを解消するメカニズム
 第4節 結論
 第5節 政策的意義

第5章 不安と動機付け:生徒の数学と科学の成績における役割[クリストファー・S・ローゼック/スーザン・C・レヴィン/シアン・L・ベイロック]
 はじめに
 第1節 数学の成績への不安
 第2節 動機付け
 第3節 生徒の態度と成績における教師と親の役割
 第4節 成績への不安を軽減し、動機付けを高めるための介入
 第5節 今後の方向性
 第6節 政策的意義

第6章 効果的な数の導入:認知科学からの教訓[ドミニク・J・ギブソン/タイラ・ベルコウィッツ/スーザン・C・レヴィン]
 はじめに
 第1節 子供への早期導入の役割
 第2節 子供への介入の有効性
 第3節 有効性の研究:統制された実験室での介入
 第4節 有効性の研究:自然状態での介入
 第5節 政策的意義

第7章 身振り:学習の科学を開く窓[エリザ・L・コングトン/ミリアム・A・ノヴァック/エリザベス・ウェイクフィールド/スーザン・ゴールディン=メドウ]
 はじめに:問題の所在
 第1節 身振りと学習
 第2節 身振りの実験的操作
 第3節 身振りのメカニズム
 第4節 政策的意義

第Ⅱ部:テクノロジーを用いた学習

第8章 空間学習のためのテクノロジー[ケネス・D・フォーブズ/デヴィッド・ウータル]
 はじめに:問題の所在
 第1節 空間テクノロジー
 第2節 スケッチの理解
 第3節 地理情報システム
 第4節 結論
 第5節 政策的意義

第9章 共同注意と学習を結び付ける触媒としてのデジタルメディア[ブリジッド・バロン/アンバー・レヴィンソン]
 はじめに
 第1節 デジタルコンテンツとネットワーク機器の利用に関する地球規模の肖像
 第2節 共同関与と学習のためのテクノロジーの効果的利用
 第3節 政策的意義

第10章 幼児の科学学習支援のためのメディアとの計画的な共同関与[カーリン・ジョレンテ/サビータ・ムーシー/シメナ・ドミンゲス]
 はじめに:問題の所在
 第1節 早期の科学学習と教育メディア
 第2節 早期の科学学習を支援することの可能性と課題
 第3節 早期学習のための教育メディアと教育工学の活用
 第4節 メディアとの計画的な共同関与の理論
 第5節 DJEMアプローチによる教室での実演
 第6節 テクノロジーと研究の意義
 第7節 政策的意義

第11章 テクノロジーの社会的要素と社会的相互作用から見た学習[サンドラ・Y・オーキタ]
 はじめに
 第1節 学習と行動におけるテクノロジーの社会的要素
 第2節 人間と「もの」との関係をデザインする
 第3節 「教えることによる学び」の再帰的フィードバック
 第4節 教育におけるロボットプログラミング
 第5節 政策的意義

第12章 知的チューターを用いた基本的な実験計画の指導[デヴィッド・クラーア/ステファニー・サイラー]
 はじめに
 第1節 科学的探求への支援
 第2節 TEDチューターの概要
 第3節 政策的意義

第13章 大規模な実践的学習研究[ケネス・R・ケーディンガー]
 はじめに
 第1節 実践的な学習の科学の課題
 第2節 評価を用いた学習の尺度化の応用
 第3節 知識学習指導の枠組み
 第4節 実践的な学習研究の尺度化
 第5節 深層内容分析の尺度化
 第6節 相互作用による講座改善の尺度化
 第7節 政策的意義

第14章 野心的な学習実践の広がり[キャロリン・ペンシュタイン・ロゼ/シェリッシュ・クラーク/ローレン・レズニック]
 はじめに
 第1節 歴史的視点
 第2節 協働学習のための技術的サポート
 第3節 未来へ:大規模公開オンライン講座での協働の促進
 第4節 結論と現在の方向性
 第5節 政策的意義

第15章 音楽・認知・教育[アレクサンダー・カリル/ヴィクター・H・スミス/ジョン・イヴェルセン/ガブリエラ・ムサッチア/T・クリスチーナ・ザオ/アンドレア・A・チバ]
 はじめに
 第1節 教育の中の音楽
 第2節 音楽のスキルは転移するのか?
 第3節 音楽は世界共通の言語なのか?
 第4節 音楽と社会文化的環境
 第5節 音楽とSTEM教育
 第6節 政策的意義

第16章 図形・積み木・パズル・折り紙:空間遊びからSTEM学習まで[タマラ・スピーワック・トーブ/ブライアン・N・ヴァーダイン/ロバータ・ミシュニック・ゴリンコフ/キャシー・ハーシュ=パセック]
 はじめに
 第1節 空間能力とSTEM
 第2節 空間学習の改善
 第3節 有望な教育法としての遊びながらの学習
 第4節 今後の方向性
 第5節 結論:空間遊びの利点の最大化
 第6節 政策的意義

第17章 インフォーマルなSTEM学習環境:研究と実践の協力関係[ニコル・A・スアレス/マリーン・サマノ/シューイン・ユ/スティーブン・スナイダー/リアン・チュコスキー]
 はじめに
 第1節 インフォーマルな学習環境の重要性
 第2節 研究と実践の協力関係モデル
 第3節 サイエンスセンターの外でのSTEM学習
 第4節 研究と実践の協力関係におけるフィードバックループ
 第5節 研究と実践の協力関係をさらに進めるには何が必要か
 第6節 政策的意義

第18章 学習の科学が科学的能力の評価をどのように変えているか[バーバラ・ミーンズ/ブリート・ホーガン・チェン/クリストファー・J・ハリス]
 はじめに
 第1節 テスト実施の起源
 第2節 科学の専門的知識の性質に関する学習の科学の視点
 第3節 科学的能力を評価することの意義
 第4節 テクノロジーの進歩の重要性
 第5節 テクノロジーを基盤とした科学的能力の評価課題
 第6節 学習と評価を支援するテクノロジーを基盤とした学習環境
 第7節 大規模試験と評価システムの意義
 第8節 残された課題
 第9節 新しい機会
 第10節 政策的意義

第Ⅲ部:学習の科学におけるグローバルな展開:国際的な視点

第19章 香港大学における学習の科学に関する戦略的研究テーマ[ナンシー・ロウ/カイ・ミン・チェン]
 はじめに
 第1節 教育科学を超えた学際的研究によって支えられた教育政策と教育実践の必要性
 第2節 多層的で相互接続的なものとしての学習に関する複雑系モデル
 第3節 大学や学部の強みに基づく研究の下位テーマ
 第4節 国際的・国内的・地域的な機会を活用するための戦略
 第5節 これまでに達成されたこと
 第6節 未来を見る

第20章 教育科学のネットワーク:ブラジルからの提案[ロベルト・レント/デボラ・フォーゲル/マリア・Z・ギマランイス/ダニエル・ボテロ/ジーザス・P・メナ=チャルコ]
 第1節 考え方の基本:現在
 第2節 今後の新しいシナリオ:未来
 第3節 結論

第21章 オーストラリア学習の科学研究センター[ジョン・モリス/パンカジ・サー]
 はじめに
 第1節 教育研究の歴史
 第2節 オーストラリア学習の科学研究センター
 第3節 教育学と神経科学・心理学との違いに注目すること
 第4節 結論

第22章 学習の科学は重要か?[カイ・ミン・チェン]
 はじめに
 第1節 何故、学習の科学なのか? 何故、今なのか?
 第2節 教育か学習か
 第3節 学習の要点
 第4節 結論:規模の拡張

 謝辞
 訳者あとがき
 編著者・編者紹介
 執筆者紹介
 訳者紹介

著者略歴

他編著:パトリシア・K・クール
パトリシア・K・クール博士は、ワシントン大学学習・脳科学研究所の共同所長であり、アメリカ国立科学財団(NSF)学習の科学センター(LIFE)を統括している。クール博士は、幼児期学習におけるベゾス・ファミリー財団の寄付講座を担当し、音声聴覚科学の教授を務めている。幼児期の言語学習とバイリンガル脳の発達に関する研究、幼児に対する先駆的な脳測定、幼児の学習方法を示す研究などで国際的に認められている。クール博士はクリントン大統領、ブッシュ大統領、オバマ大統領の時にホワイトハウスで自らの研究を発表した。アメリカ科学アカデミー、アメリカ芸術科学アカデミー、ロダン・アカデミー、ノルウェー科学文学アカデミーのメンバー。AAAS、アメリカ音響学会、アメリカ心理学会、認知科学学会のフェロー。クール博士は、音響学会で金賞、IPSEN財団のジャン=ルイ・シニョート神経心理学賞、ウィリアム・ジェームズ生涯功績賞、認知神経科学におけるジョージ・A・ミラー賞、アメリカ心理学会の功労賞を受賞した。
他編著:スーシャン・リン
スーシャン・リン博士は、アメリカ国立科学財団(NSF)の社会・行動・経済科学局における「学習の科学プログラム」のプログラムディレクターである。彼女は、人間と他の動物、機械における学習について大規模で複雑な問題に対応するための知的で組織的なインフラを提供する最初の学習の科学センター(SLC)が設立された2004年から、その調整委員会における主席プログラムディレクター兼委員長を務めている。SLCのプログラムでリーダーシップを発揮する以前、リン博士は、NSFの生物科学局の6つの神経科学プログラムの部門リーダーを務めていた。NSFに入る以前、彼女はインディアナ大学医学部准教授であった。
他編著:ソニア・グエリエロ
ソニア・グエリエロ博士は、ユネスコ本部の教育調査官である。彼女は、国連の持続可能な開発目標4「包摂的かつ公平で質の高い教育」を達成するために各国を支援する国際プロジェクトの研究、戦略的開発、実施を指揮している。ユネスコに入る以前、彼女は、OECD教育研究革新センター(CERI)の効果的学習プログラムのための革新的指導プログラムを指揮し、そこで、本書の出版に至る学習の科学プロジェクトに携わることになった。彼女は、教師教育における教師の動機付け、教育学的知識、学習機会の関係を探求することを目的とした、最初のOECD教員知識調査を概念化した。意思決定指向型研究、評価、政策分析を専門とするカナダのコンサルティング会社である、ディレクションエビデンス・アンド・ポリシーリサーチグループの創設パートナー。教師の採用と定着、成人学習、社会的包摂と経済的機会、学歴における性差、数学への不安、子供と青少年の福祉など、教育政策と社会政策の様々な問題に関する幅広い著書がある。学習、認知、発達心理学を専攻し、マギル大学で博士号を取得。

ISBN:9784750355665
出版社:明石書店
判型:A5
ページ数:376ページ
価格:4500円(本体)
発行年月日:2023年04月
発売日:2023年04月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNA