ライプニッツと西田幾多郎
分析知と直観知の両立を求めて
著:大西 光弘
内容紹介
ライプニッツの哲学を分析知=西洋的な知の、西田幾多郎の哲学を直観知=東洋的な知の典型とみなし、カッシーラーや鈴木大拙、井筒俊彦らの思想を援用しつつ、それらの知の違いを解き明かすとともに、現代文明の諸課題に対処すべく、その両立を模索する試み。
目次
まえがき
第1部 分析知と直観知
第1章 分析知と直観知
1 ベルクソンによる「分析知と直観知」の定義
2 群盲象を撫でる
3 分析知と直観知
4 マニュアル知と脱マニュアル知
5 西洋知と東洋知
6 科学的な知と非科学的な知
第2章 アインシュタインの発見法
1 帰納と演繹
2 アインシュタインの発見法
3 大陸移動説
第3章 3つの直観知
その1 脱マニュアルの直観知
その2 いわゆる直観知
その3 ライプニッツのいう直観知
第2部 ライプニッツと西洋知
序章 カッシーラーのシンボルの哲学
1 シンボル的形成体
2 シンボル現象の諸相
第1章 ライプニッツの認識理論
1 「認識、真理、観念についての省察」における認識理論
2 定義
3 『形而上学叙説』における認識理論
4 『人間知性新論』における認識理論
第2章 プラトンからライプニッツを経て人工知能へ
1 プラトン
2 デカルト
3 マルブランシュ
4 アルノー
5 ライプニッツ
6 公理的思考の起源としてのユークリッド幾何学とヒルベルトによるその完成
7 ヒルベルトとブルバキとライプニッツ
8 内的矛盾を含まない無限集合論
9 ラッセルのパラドックス
10 ラッセルの階型理論
11 ブラウワーとヒルベルト
12 ゲーデルとチューリング
13 ディープラーニングと人工知能
第3章 ライプニッツの形而上学
1 モナドとは何か
2 上位モナドと下位モナド
3 モナドロジーと複雑系科学
4 モナドと身体
5 植物と動物と人間と神のモナド
6 窓をもたないモナド
補章 ライプニッツと西田をつなぐもの――リップマンの『世論』
1 ライプニッツと西田をつなぐもの
2 リップマンの『世論』
第3部 西田幾多郎と東洋知
序章 西洋知と東洋知の違い
1 西洋知と東洋知の違い
2 鈴木大拙による「さとり」の表現
3 八木誠一の宗教的経験
第1章 原始仏教――「無執着」の教え(=空)
1 釈迦の時代の知の枠組が見せていた現実
2 釈迦がさとりによって見たもの
3 縁起
4 五蘊
5 「流動の存在論」と「常住不変の仮名」
6 四聖諦
第2章 大乗仏教――無執着への無執着(=空の空)
1 出家者の仏教と在家者の仏教
2 『般若経』
3 般若波羅蜜
4 菩薩
5 空
6 空の空
7 筏の比喩
8 般若波羅蜜は般若波羅蜜ではないからこそ般若波羅蜜である
9 蓮の花と医者
第3章 鈴木大拙の「即非の論理」
1 即非の論理
2 『日本的霊性』
3 大拙の文明論
第4章 西田幾多郎の「矛盾的自己同一」
1 『善の研究』――西田哲学の原点
2 『働くものから見るものへ(後編)』――「場所」の思想の成立
3 『一般者の自覚的体系』――三層の場所の体系
4 『無の自覚的限定』――絶対無の自己限定による有の生成
5 『哲学の根本問題』――個物的限定と場所的限定
6 『哲学論文集第一第二』――矛盾的自己同一
7 『哲学論文集第三第四第五』――西田とライプニッツ
8 『哲学論文集第六第七』――西田の宗教哲学と平常底
第5章 井筒俊彦の「有と無の二重写し」
1 「山は山ではないから山である」
2 分節と無分節
3 有と無
4 自性と無自性
5 「漢字が無意味化する」という経験
6 「山という漢字」における「有Ⅰ・無・有Ⅱ」
7 「あの山」における「有Ⅰ・無・有Ⅱ」
8 応無処住而生其心
9 井筒と西田と大拙と般若経
あとがき
謝辞
邦語文献表
外国語文献表